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005 任務内容

 団長より授かった任務内容をまとめると、こうなる。

・これは、人類再興計画の第2段階の過程1にあたる作戦である。

・この作戦の成功が確認された後、当組織は名称を、[人類復興計画執行機関]と改める。

・当作戦の参加者は、現地行動班がリン・オデムウィンギ、ナミン・サンベルト、ニクソン・サクラメント、フランク・デカルト、ヨハン・リヒトシュタイナーの5名、リン・オデムウィンギを班長とする。作戦指示班はバルタザール・アロンソ、エステル・アーリア、アリーチェ・アッピアーティの三名、バルタザール・アロンソ(コバレッタ支部団長)を班長とする。

・任務開始時刻は本指令書開示から一週間後の2月11日。現地行動班は午前2時00分にコバレッタ第3飛行場管制塔正面入口に集合。そこからロンドンを経由してドイツ連邦共和国ゾンネベルク郡ゾンネベルク市ヴァルター村まで飛行機で移動。同村北部にある平原にパラシュートで降下。全員の着地と周囲の安全を確認したら作戦指示班に連絡。そこからは作戦指示班の指示に従って動くこと。

・任務期間は最短で1ヶ月。

・現地行動班は地図の入手後帰投。


 ナミンからこの書類を受け取って読んだとき、いくつか疑問に思った。


 まず、組織の名称を変えることについてだ。書面を見る限り、これからは人類再興計画のみを扱うZE☆って事な気がする。


 二つめ、現地行動班のメンバーがよくわからん。あの中で俺が知っているのはナミンだけだ。今までは、ほとんど同じメンバーで任務を遂行してきた。正確な理由はわからないが、同じメンバーだと、誰が何を嫌い、何を好むのか知っている。それに気を付けていけば作戦は円滑に進む。

 ところが、今回のメンバーは知らない奴ばかりだ。しかも俺はそれをまとめる班長になっている。

 ヤッタ、ママ見テヨ。俺、班長ニナッタヨ!コレデ父サンヲ超エラレル!

 ……不安だ。

 

 最後、パラシュート降下と「作戦指示班の指示に従うこと」ってとこ。理由がわからない。いつもなら「~で危険だから」とか「ここは正規のルートを通ると~だから――――」とか書いてある。


 なんか不安だなぁ。まず、人類再興計画自体よく知らないし。どんな事を目標としているんだろう。あ、あれか。「黙って働け!下っ端に教えることなんぞ何もない!」てことか。班長なんだけどなあ。


 腹が鳴った。昼食食ったばかりなんだけど、足りなかったんだろうか。いや、椅子に座ってから結構時間が経っている気もするな。少し気晴らしに歩くか。


 前を見たらナミンが座っていた。おかしい。1人で考え事をしていたはずなんだけどな。


「ンナ、ナミン?」


 ずっと口を閉じていたらしい。唇がくっついていた。


「どうしたの?」


 ナミンの話し方は独特だ。話している間口以外の顔のパーツが一切動かない。昨日それをからかったせいで今朝機嫌が悪かったのだ。コンプレックスらしい。簡単に直せそうだけどな……


「いつからそこに座ってた?」


「は?結構前からいたじゃない」


「そうだっけか?」


「あれ、全部生返事だったの。考え事をしているときに周りが極端に見えなくなるの、む、か、し、か、ら、変わってないわね」


 昨日の報復だ。嫌な奴だ。


「俺は自分の深層心理と対話していたのだ」


「そんなことはどうでもいいわ。あなたの考えを聞きたいの」


「考え?」


「そう。現地行動班のメンバーについて。あと、アンタの深層心理は浅いわよ、絶対」


 深層心理って浅いとかあるのか?腹立つな。それよりも、仕事の話だ。集中しよう。


「お前以外知ってる奴がいない」


「やっぱりそれおかしいわよね?」


「ああ。他にもある」


 俺は自分の考えを話した。


「同意見ね。アンタいつもそんくらい頭動かしなさいよ」


「俺の脳がフル稼働するとそれによって発生する高エネルギーによって世界が滅んじまうからな」


「やっぱり浅いわね」


「なっ」


 早くどっかいかないかなコイツ……


「あと、気になることがもう一個あってね」


「要件はまとめて言いたまへ」


「知り合いに聞いたんだけど、現地行動班のメンバー、私達以外ルウイヤ人じゃないわ」


「まじで?」


 俺そんなグループのリーダーになったのかよ……なんで?


「まぁ今そんなこと言ってももう遅いけどね」


「それもそうだな。あれ?テーブルに缶コーヒー置いてなかったか?」


「ああ、あれ。要らなさそうだったから貰ったわ」


「飲みかけだったろ?」


「未開栓だったわ。何?美女と間接キスできた、とか思っちゃった?気持ち悪いわよ」


「は?お前何言ってんだ?今更お前と間接キスしたって嬉しくもなんともねぇよ!」


「あっそ」


 そんなのはどうでもいいけど、とナミンは続けた。あれ、もしかしてちょっと傷ついちゃったかな?あいつあんな性格しといて結構ナイーブなんだよな……


「私にとって一番の驚きは、アンタが班長って事よ」


「お前本っ当になんなんだあぁぁぁぁぁぁ!」


 こうして2人は準備期間を1日浪費した。

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