003 説明回 再興計画編
~人類再興計画終結から80年後のルウイヤ王国内~
私の名前はレイラ・ファーブルといいます。ルウイヤ国立学校に通う17歳です。好きな教科は歴史です。今日、再興計画について授業があります。この計画は人類の生活水準を23世紀のそれと同レベルまで引き上げたものです。なので当然有名で、計画の当事者の方の中には神格化されて祀られている人もいます。
私はそこまで特定の当事者を気に入っている、ということはありませんが、人類再興計画をテーマにした本は大量に読みました。私が歴史好きになったのはそれが原因でしょう。
以下のものは、今日の授業内容をまとめて、私が知っている情報を付け足しています。一応古い方からまとめてます。
・2238年、人類再興計画執行機関として[組織]が結成される。 この[組織]に固有名詞が無いのは、組織が当時有名だった反社会的勢力の1つだったから、名前を公開するのは都合が悪いからだと私は思います。
・2242年、組織に属するリン・オデムウィンギが離反し、反組織を目標に掲げる民兵[ファタイディガー]を設立。 不思議なことに、ほとんどの文献はオデムウィンギを善人として扱っています。歴史に隠された謎。いいですねぇ
・2256年、再興計画が最終段階へ移行。この時ドイツの小さな村で組織とファタイディガーの間で大規模な戦闘が発生する。戦闘中も計画は続行され、ついに完了。戦闘は1ヶ月ほど続き、組織が勝利を納める。オデムウィンギの生死は判っていない。ファタイディガーは自然消滅。
・2256年、組織が石油の代替物質"サンベルティウム"を発見した、と発表。これにより大規模な発電が可能となった。 このサンベルティウムの名前の由来も謎なんです。気になります。
以上が80年前に起こったことの中で"事実だとされる事"です。これだけしか判っていません。何しろ組織が世界各国に認識され始めたのがリン・オデムウィンギが離反した時からなのです。それまでの経緯を示す書類も見つかっていません。完全に判らないのです。
歴史なんて長い時間が経てば経つほど事実から遠ざかるものです。