002 苦手な団長
朝からとんだ目に遭った。あの女はまだお怒りらしい。当日の、しかも直前に召集を伝えるだなんて信じらんねぇ。一応俺は奴の上司なんだがな。まぁ、今は団長の話に集中しよう。
「遅刻とは珍しいな、オデムウィンギ」
「申し訳ありません。少々事情がありまして」
団長はやたら遅刻に厳しい。団員の間では、過去に何かがあったというのが通説だ。
「事情?」
どうやら全て説明しなくてはいけないらしい。ほんとになんなんだ、あの女・・・
「実は――――」
「ああ待て、当てて見せよう。そうだな、寝坊ではあるまい?」
「はい、寝坊ではありません」
ほんとにこの人ニガテだ。どうやって切り抜けようか・・・・・・?
「そういえば、朝からナミン・サンベルトの機嫌が悪いな。サンベルト絡みか?」
「時間はいいんですか?」
「ほう、お前もついに話を変えるようになったか。昔はほとんど口を開かなかったがな。成長したな」
ほんとに嫌だ。過去を掘り返すのは辞めて欲しい。
「確かに時間はない。本題に移ろう」
きたぁ――!俺のコミュニケーション能力もバカにならんな。
いかん。集中しねえと。
「今回の標的は[地図]だ」
地図?地図ってことは・・・・・・
「もしや―――」
「人類再興計画は第二段階に移った。まあ後37のステップがあるのだがな」
話の腰を折る癖、なくした方がいいと思う。てか、あの計画、人類再興計画っていうんだな。初めて知った…まあいい。
「今回はどこに行くんですか?」
「言葉遣いを学びたまえ。行くのですか、だろう。今回はドイツだ。詳しくはさっき渡した書類に載っている」
「書類をもらった記憶はありません」
「先程サンベルトに、お前に渡すように頼んだのだが…ああ、そうだったな。まったく、任務に支障がでることは止めてくれ。命令だ」
「もちろんです。団長」
結局俺が割を食う。