清流情景
青く深い山並み
渓流のせせらぎ
降り注ぐ木漏れ日
沢の石を踏みしめる
枝を手に取り歩進む
高い木々に囲まれた自然の広間
人の高さほどの小滝
流れ落ちる水
舞い散る飛沫
六畳間程度の滝つぼと淵
流れを変える大岩
大岩に背をもたれる
木漏れ日に渦巻く羽虫
宙を流れる蜻蛉
静かに竿を継ぐ
テグスと釣針
極少の錘
綿毛の目印
羽虫の幼生に針を掛ける
伸び始めた岩の影
変わらぬ沢のせせらぎ
軽やかに響く鳥の声
大岩を腹に竿を出す
宙舞う綿毛
寄せる水面に小さな波紋
時折そよぐ風
飛沫を運ぶ
揺れる梢のざわめき
刹那
漂う綿毛が弾ける
手首を弾く
弓しなる竿
沢のせせらぎ
梢のささやき
鳥のさえずり
踊る鼓動
揺れる竿先
水面を透かし踊る影姿
水面は透き通り歪む鏡の様
映された己が足元を揺れ動く
起き上がる竿先
水面の我を切り泳ぎ近寄る姿
影を弾く尾鰭
弾かれた水の音
舞う虹の柔肌
目に染みる木漏れ日
宙舞う滝の欠片
響く無数の音色
今更感じる甘い空気