『相棒』
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第六章:黒い産業革命
帝都の夜から、闇が消えた。
いや、正確には「闇が光を生み出し始めた」のだ。
湊が進めた改革の真の狙いは、単なる効率化ではなかった。
『人材採掘所』から発掘された天才科学者たちと、湊の《影》の能力を融合させた国家極秘プロジェクト——『黒点エネルギー計画』が実を結ぼうとしていた。
帝都地下深くに建設された巨大なプラント。
そこでは、湊から分け与えられた《影》の一部がカプセルの中で蠢き、無限のエネルギーを放出していた。
「石油も、ウランも、もういらない」
視察に訪れた湊の前で、発電タービンが静かに、しかし力強く回り始める。
化石燃料への依存からの完全脱却。それは、資源を持たない島国・日本が、有史以来初めて「完全なるエネルギー自給国家」になった瞬間だった。
「これで、諸外国が資源を盾に脅してくることはなくなった」
湊は冷笑する。
これまで日本に高値で燃料を売りつけていた資源大国たちが、慌てふためく様が目に浮かぶ。
エネルギーコストがゼロに近づいたことで、日本の製造業は復活どころか、圧倒的な価格競争力を持って世界市場を蹂躙し始めた。
「影」は軍事力であり、同時に国家を動かす血液となったのだ。
第七章:氷の才女
そんな湊の覇道において、唯一、彼に直言できる存在がいた。
元財閥の令嬢でありながら、親の七光りを嫌い、自らの実力で『帝国貢献ランクS』まで登りつめた女性——九条 玲奈である。
彼女は現在、帝国財務省の長官を務めていた。
執務室に入ってきた玲奈は、湊に対して膝をつくこともなく、一枚のタブレットを突きつけた。
「陛下。スピード重視は結構ですが、地方都市の区画整理が雑すぎます。物流コストに0.5%のロスが出ていますわ」
周囲の側近たちが凍りつく。皇帝に対してこの口調。
だが、湊は不機嫌になるどころか、口元を緩めた。
「相変わらず細かいな、玲奈。だが、その0.5%が許せないのが君だ」
「当然です。陛下が『国益』とおっしゃるなら、一円たりとも無駄にはさせません。……それに」
玲奈はふと、厳しい表情を崩し、どこか憂いを帯びた瞳で湊を見た。
「あなたは生き急ぎすぎている。世界を敵に回し、国内を締め上げ……その先に何を見るおつもりで?」
「決まっている。この国を、誰も無視できない『星』にするだけだ」
「……そのために、あなたが人の心を持たない『怪物』になろうとも?」
「怪物でなければ、怪物は倒せない」
玲奈はため息をつき、しかしその瞳には深い信頼と、ある種の情熱が宿っていた。
彼女は知っていた。湊が冷酷な独裁者であると同時に、誰よりもこの国の未来を憂いていることを。
彼女は、湊の孤独を理解し、その背中を守る唯一の「共犯者」だった。
「わかりました。その修羅の道、財務面から支えさせていただきます。——ただし、私の計算通りに動いていただきますけれど?」
二人の間には、恋愛感情を超えた、鋼鉄のような絆と緊張感があった。
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次回は明日20:10に更新予定です。
次の話:『脅威』




