『覇権』
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第四章:外交の粛清
帝都・東京に新設された『皇帝指令室』。
壁一面を埋め尽くす巨大な世界地図のモニターを背に、湊は手元のグラスを傾けた。
目の前には、各国の大使たちが招集されている。かつては外交特権を振りかざしていた彼らも、部屋の四隅に蠢く《影》の威圧感に、顔面蒼白で立ち尽くしていた。
「諸君を呼んだのは、交渉のためではない。通達のためだ」
湊が指を動かすと、モニターに表示されたいくつかの国際機関のロゴに、赤い「×」印が叩きつけられた。
1. 国益なき国際団体からの即時脱退
「我が国は、本日12:00をもって、以下の国際人権団体および環境規制委員会から脱退した」
会場がざわめく。「な、何を馬鹿な! 手続きもなしに!」と叫んだ西側諸国の大使に対し、湊は冷淡に告げる。
「毎年巨額の分担金を支払わせ、我が国の産業に足枷をはめ、そのくせ災害時には声明文一枚しか寄越さない。そんな『社交クラブ』に付き合っている暇はない。その予算は、全て国内の科学技術開発と防衛に回す」
《影》が、大使の目の前に脱退届のコピー(すでに処理済み)を放り投げた。議論の余地など、最初から存在しないのだ。
2. 敵対国への「兵糧攻め」
次いで、モニターには近隣の特定国への資金援助データが表示された。
グラフは右肩上がりだったが、湊が手をかざした瞬間、数値は「0」へと急降下した。
「我が国に対してミサイルを向け、領海を侵犯し、歴史を捏造してプロパガンダを行う国々へのODA(政府開発援助)、および技術協力を全面凍結する」
「そ、そんなことをすれば人道的な問題が……!」と抗議する大使に対し、湊はモニターを睨みつけた。
「我々の金を使い、我々を殺す武器を作る国を助ける義理はない。これは制裁ではない。ただの『無駄の排除』だ。今日から自力で生きる努力をしたまえ」
即座に送金システムは遮断され、技術者たちの引き上げ命令が発令された。甘い汁を吸い続けてきた国々にとっては、死刑宣告にも等しい決定だった。
3. 環太平洋連合(Pan-Pacific Union)の創設
そして、湊は地図上の太平洋エリアを指し示した。
日本を中心に、海洋国家や親日的な資源国が青いラインで結ばれていく。
「古い国連は機能不全だ。拒否権を持った大国が互いの足を引っ張り合うだけの茶番劇には飽きた。ゆえに、私は新たな秩序を作る」
『環太平洋条約機構(PPTO)』の強化と拡大。
「価値観を共有し、国益を交換できる国家のみで構成される、強固な経済・軍事同盟だ。ここでの意思決定は、全会一致ではない。私の承認によって、瞬時に軍と物資が動く」
湊は、同盟への参加を表明している国々のリストを表示した。エネルギー資源を持つ国、先端技術を持つ国……彼らは日本の軍事力(=《影》の力)と経済的庇護を求め、すでに湊の傘下に入ることを選んでいた。
「日本はもはや『財布』ではない。『皇帝』だ。
私に従う国は豊かになり、仇なす国は干上がる。世界はシンプルになる」
湊が立ち上がると、足元の影が奔流となって広がり、世界地図を侵食していった。
それは、日本が再び世界の覇権を握る、独裁外交の幕開けだった。
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次回は明日20:10に更新予定です。
次の話:『富国強兵』




