裏世界での不思議な冒険:神域
補足:この世界はコインみたいな円盤型になってる
…葉月は格納庫のSCに居るから出さないと話せないが……
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渚の周りでは、大小様々な魚が泳いでいる。時折鳥も居る。
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こんな所に出したらどうなるか。
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現在渚は、魚達と共に空を流されている。
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空が海…あーいや、結局海は下か。でもやっぱり空が海か?…わからん。
環の推力じゃ抜けれないし、転移しようにもさっきから妙に私の魔力が不安定で発動できないし。
…無理に取り込んだのがまずったかな。どうも調子が悪い。
まあ焦る事も無いし、気楽に行こうか。皆には、当分は帰らないとは言ってるし。
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数時間後、潮流が緩やかになり始めた。
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…速度が落ちたな、地表に近づいたからか?
……うん、環で離脱できるぐらいにはなったかな。転移も多分、短距離なら問題なさそうだし。
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渚が魚の群れから離れる。
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まあまあ時間置いた筈なんだが、それでも結構薄暗いな…そういう場所なんだろう、多分。
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環を解除して地面に降り立つ。
暗い空では星の光、そしてその光を反射した魚が瞬いている。
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…表よりも気配が多い。やっぱり、崩落で落ちなかった生き物より、落ちた生き物の方が多いからか。
そして、さっきの蛇とか魚みたいに、魔力を受けて変質、進化した…と、言う訳か。
……どう考えても、表の土地の広さじゃ受け入れられないな。葉月曰く崩落前の総人口が100億人……その内どれだけの人数がここに残れたのかは知らないが、確実に表より人数が居る事は覚悟しないとか。
…そうだ、葉月を出さないと。
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格納庫からSCと小さな端末を取り出す。
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「葉月、起きてるか?」
「はい。…裏世界に到着した様ですね。」
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渚が耳につけた端末から、葉月の声がする。それを確認した渚は、SCを再び格納庫へ戻した。
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「道中は私の記憶読んでくれ。」
「…成程、此方の魔力に適応したんですね。」
「転移だけ不調だが、それ以外は寧ろ出力が上がったかな。」
「……その様ですね。」
「……現状、付近に命の気配はあるが人の気配は無い。」
「…上空から見た際、特に明かりは無かったと思います。ですが、人里があるなら明かりも存在します。」
「となると……何らかの結界で隠してる?」
「あり得ますね。渚様が対峙したのと同じような生命が多数存在する場合、空は人のテリトリーでは無い可能性が高いです。」
…意外と過酷か?この世界。
「結界が魔術的な物なら多分察知できる。立ち止まるのもなんだし、探索を始めようか。」
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渚達は暗い森の中を歩いていく。鬱蒼とした枝葉のせいでより暗くなっているが、渚の魔術で周囲は明るくなっている。
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……人の気配を微塵も感じない。結界以外の何かで隠してるのか、私の探知方法が良くないのか…
ただ、人以外の気配はするんだよな…明らかに体形が動物っぽいから無視してたんだが。
後試して無いのは……
「葉月、裏世界って神域か?」
「…その様ですね。」
「誰のだ?」
「………不明です。」
…この世界にこれまで居た神は四種。祝福、全能、破損、不滅。それら全てを知る葉月が判別できてないという事は……
「…五体目の神か。」
「そうなりますね。」
そうと決まれば話は早い。
「神域侵食・――」
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神域とは、神が自身の力を及ばせている空間の事。それは神自身の力の基盤となる。
自身の神域内であればその神が負ける確率は大幅に下がるが、そうでない場合……例えば、他者の神域にてその神域の主と戦う場合、殆どの確率で負ける。
その対策が神域侵食。自身の神域を他者の神域に強制的に生成し、力量次第ではあるが……その空間全てを自身の神域に上書きする事が可能。
神が神と戦う際に最初に行う、基本技能の一つである。
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「――「不滅」!」
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神域内は神の心象を基にしたテクスチャで上書きされる。
黒い草原などはその代表例と言えるだろう。
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……完全には押し切れないか…だが、見つけた。
「葉月、人を見つけた。ここから二時方向、200mぐらい先。」
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現在、裏世界の大半が不滅の神域に置き換わっている。
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「…それと多分、五体目も。」
「守りながら戦うつもりですか?」
「さあな。…最悪外に弾き出す。」
…感覚が戻った、多分転移も行ける。
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渚は押しきれていない一部、つまりは五体目の神がいる所へと転移した。
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