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未定  作者: 大倉
幕間:二千→三千
49/51

裏世界での不思議な冒険:息を止めて空を見て

「それでは、裏世界への潜航を開始します。」

「操縦は頼んだ。」


――――

渚が乗り込んだSCが、結界を超えて反対側へと落ち始める。

――――


「…10秒後、裏世界の領域へと侵入します。」


――――

葉月の告知通り10秒後、表より遥かに濃い魔力へと渚達は浸った。

――――


水に潜った…いや、水よりなんかねっとり?して抵抗がある。心なしか息苦しいし…


「機体損傷…無し、高濃度魔力による障害…無し。引き続き潜航可能です。」


さて、外の様子は…


――――

SCの狭いコックピットに備え付けられているモニターから、渚が外の様子を見る。

――――


…結構暗いな。単純に夜だからなのか、それともそういう物なのか?


お、魚だ。…水が無いのに泳いでる……あ、鳥に食われた。


「予想通り、魔力で変質してるみたいだな。」

「…そのようですね。目測ですが、体を構築している一部の細胞が、恐らく魔力に由来する物になっているようです。」

「私…は例外だが、魔力回路とかもそうじゃないのか?」

「はい、表の生命も魔力によって大なり小なり変質しています。ですので、裏の生命は表より更に変質している可能性が高いですね。」

「…恙なく(つつがなく)話が進むと良いんだが…!」


――――

渚が何か(・・)の気配を察知すると同時に、SCが消える。

――――


壊れたら困るから仕舞ったが……


「【天の川(ステラ)】!」


――――

渚が飛ばした剣の中を、細長い何かがすり抜けていく。

――――


なんっか狙いが定まらない!…魔力が濃すぎて魔術の精度が落ちたか?


「ちっ!」


――――

渚が何かに食らいつかれる。

――――


「【灯光(グレアト)】!」


――――

渚の指先に、微かな明かりが灯る。

――――


明るくならん!…というかこいつ、蛇か?蛇にしては、随分と愉快な見た目をしてるもんだ、な!


――――

渚が蛇を蹴った事で、蛇が渚を口から離す。同時に、渚の体を奇妙な感覚が襲う。

――――


…重力が表から裏に切り替わったか。……というか本当に暗い。


来るか。…転移で逃げるか?いやでも、魔術が大分弱まってる以上転移がそもそも成功するかどうか…


――――

再び突っ込んできた蛇を、体表に触れて受け流す。

――――


…うわ、なんかヌルヌルしてる。…装束で出力上げるか。


「――「星灯」!」


――――

白い装束が展開される。

――――


「――【天の川(ステラ)】!」


――――

一つだけ、剣が飛びでた。

――――


寧ろ出力が下がってる!?……装束解除、【天の川(ステラ)】。


…狙いこそ定まらないが、剣の数は元に戻ったな。となると……


「すぅっ――――」


――――

息を吸う。

――――


…やっぱり、私の魔力とここ()の魔力は、微妙に違う。


純粋な濃度もあるが、それ以前に()が違う気がする。


――――

再び蛇が渚へと向かう。

――――


…私の魔力と、この場所の魔力を反発させずに混ぜ合わせる。


――――

渚の頭上に三重の環が浮かぶ。そして、渚の瞳が金色に染まる。

――――


……本来は世代交代を経て変質していくのであろう進化の過程を、私なら数秒ですっ飛ばせる。


――――

環はより白に、瞳の色はより深く明るい金色へと変化していく。

――――


…息苦しさと抵抗が消えた、行ける。


「【天の川(ステラ)】!」


――――

無数の剣が蛇を襲う。

――――


想定通り…いや、ちょっと出力上がったか?


――――

剣が突き刺さった蛇が、渚へ噛みつこうと口を開く。

――――


「…残念。素手だと思うか?」


――――

渚の手には、格納庫から取り出した抜き身の煤が握られている。

――――


「――「星灯」、夜!」


――――

装束の展開と同時に夜を放ち、それを正面から食らった蛇は二つに裂けた。

――――


…葉月の予測だと、裏世界では魔力を介する物に制限がかかると言っていたが…この感じなら大丈夫そうだな。

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