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未定  作者: 大倉
幕間:二千→三千
48/50

忘れていい事、忘れたいコト。

…再起動完了。端末損傷度…17%。


――――

アルケー内部で、渚と複数人の人影がモニターを囲んでいる。

――――


『こんにちは。』

「…「全能」、で良いんだよな?」

『厳密には、私は元「全能」です。ですが、遜色無い性能ではあります。』

「ならいい、…私を手伝え。」

『…では、現在の状況を教えていただけますか?』

「私がお前を倒してから30年経った。今の世界の組織の頭が私に挿げ替わるからそれの補助を頼みたい。」

「後、一つ作って欲しいものがあるんだが、頼めるか?」

『承知しました。』


「…僕達がやる事ってありますかね?」


――――

アルケーの新所長が渚に話しかける。

――――


「…だそうだが。」

『現在の私の本体は、この端末を構成するパーツではなく、それに取りついている魂です。』

『なのでこの端末より、より性能の高い物を用意して頂ければ幸いです。』

「分かりました。…本当にいいんですか?」

「いいよいいよ、ヤバそうなら最悪斬るから。まあ、多分敵意は無いと思うけど。」

「…わかりました。」


――――

数日後、用意された端末に全能の魂が移った。

――――


更新完了。同期正常、オールグリーン。


「稼働に問題はありません。」

「…それじゃ、これからよろしく。」

「よろしくお願いします。」


「…あそうだ、お前の事はなんと呼べばいい?」

「お好きにどうぞ。」

「うーん……じゃあ葉月(8月)で。ちょうど今の季節だし」


名称を「■■■■■」から「葉月」に更新。以後の命令は「不滅」より受け取る。


「…はい、認識しました。」

「まずは、そうだな…記憶を消したり、改竄(かいざん)したりできる装置って作れるか?」

「……構造は知っています。」

「よし、じゃあそれを魚巳達と連携して作っといてくれ。」




「…記憶への干渉は、私の時代であれば比較的メジャーな技術ではありました。」

「ですが現在の世界とは違い、魔力が無い世界なので、現在の人々に適用するには少々工夫が必要でしょうね。」

「…ならどうすればいいんです?」

「魔力を介して記憶へと作用します。…とりあえず、魔力を介さない旧型を作って、それから改良をしていく、というのでどうでしょう?」

「……分かりました。設計図は頼みます。」


設計図を出力…現代人への検証……記録を基に再調整…魔力を介して記憶へ……


「やあ魚巳。進捗はどんな感じだ?」

「…進捗はあまり芳しくは無いですね。まだまだ調整中です。」

「まあ気長で良いよ。葉月との連携も大変だろ?」

「いえ、ウチの皆が奮発してますからね。意外と皆、楽しそうです。」

「んー、やりがいを見出してくれてるとはいえ、あんまり重労働を押し付け続けるのもな…」


「葉月も元気か?」

「私に不調の概念はありません。」

「そりゃ失礼。じゃあ、進捗の方を聞こうか。」

「現在は、装置の仕組み自体を見直しています。魔力を有する人と有しない人では、身体の構造にかなりの差異がありますから。」

「…ま、私には良くわからないから、任せるよ。」


……疑問。


「…貴女は、どうしてこんな装置を?」

「……30年経っても、私は碌に年を取らなかった。知り合いはもう全員外見的には年上だ。」

「この調子だと結構長く生きそうなんで、忘れたい事を忘れられるようにしたかった……それだけだ。」

「それに、記憶消去は出来て損は無さそうだし。」


「…そうですか。では、早い内に完成させますね。」


…「不滅」への適用を可能に……安全性の確定…確実性の上昇……


「どうだー?」

「…粗方完成しました。記憶消去を除く後遺症は、現状確認されていません。」

「勿論、貴女でも使えるようにはしていますよ。」

「…それじゃ、今度使わせて貰うよ。」


「あそうだ、当たり前だけどどの記憶を消すかは指定できるよな?」

「当たり前です。」

「ならよし。…それじゃ次だ、裏世界へ潜航したい。それと土地の拡張。」

「……裏世界への潜航は可能です。土地の拡張も、貴女の神権があれば可能かと。」

「じゃ、よろしく頼む。」

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