忘れていい事、ダメな事
気づけば、年が明けてからもう三か月も経った。制圧からは五か月ぐらいか。
…私が最初に神としてした事は、皆に事情を説明する事だった。結局、二日ぐらいは説明し通しだったか?
今回、負傷者は数多く居た。その内何人かは後遺症も残るそうだ。だが、死者は……
…これは幸いな事だ。あれだけの激戦で、犠牲者が数える程すら出なかったんだから。…そう割り切る事にした。
あの後、どれだけ探しても唯は見つからなかった。「花弁になって消えた」なんて、私でも信じたくない。
後悔は終わらない、そういう物だ。分かってる……
…私がどの立場に収まるかについては、未だに決めあぐねている。何せ「神」という立場はあまりにも面倒だからだ。
……法則の言う事が確かなら、本当に大変なのはこれからだ。それが何時なのかは分からないが、私はただの一兵卒では居られないだろう。
天道と凜が相談して、アウトサイダーと魔術局を合併して、そこの頭を私にする予定ではあるらしい。
ただ、これは追々で、当分は今のまま運営していくそうだ。だから、これから数年間の私は暇人という事になる。
多分最初で最後の休暇になる…のかもしれない。
ヴォイにも挨拶はしてきた。曰く数十年後には消えてしまうらしいが、それまでは私のサポートをすると言っていた。
神になった事による私の変化も書き連ねておく。
まずは魔力が無限…正しくは実質…になった。これは私の血…つまりは魔力が、「不滅」の力で変化しなくなったからだと推測している。…少々奇妙だが、成立しているのだからそういう物なんだろう。
それに付随して、装束の発動がノーリスクになった。装束最大の弱点である「発動後の魔力切れ」を無視できるようになったのは大きい。
そして、不滅の力。…まだ私も理解が浅いが、今の所はかなり良い物だと思っている。
適用した物自体を一つの物と定義して、それが欠けないようにする……まあつまり、今の私にはどんな攻撃も通らないという訳だ。例外はあるかもしれないが、今の所は大体の攻撃を弾けている。
…これは他者や他の物にも適用できたが、どうも精度が落ちるし、私からある程度離れると効果が切れ、おまけに再度適用できなかった。…時間経過でまた出来るのかもしれないが、今の所は出来ていない。
後は…全体的に魔術の精度が上がったぐらいか。
「……こんなもんでいいかな。」
――――
河原に寝転がっている渚が、手帳を格納庫にしまう。
――――
…結界が消えてるからか、風通しが良くなった気がする。多分気のせいだけど。
ヴォイの話が私にも適用されるなら、これから先数百年は生きる事になるらしい。…色々と、覚悟は決めておかないとか。
あー面倒だ。本っ当に面倒だ。こんな嫌な気持ちを何度も何度も味わわなきゃいけない。
……嫌だな、本当に。
「んしょっ」
――――
渚が体を起こして、歩き始めた。
――――
…何から手を付けようか。これから起こる事への予防、世界の拡張、裏世界の探索……今すぐに手を付けられる事は無いか。
まあいい、気長に行こう。時間はあるらしいから。
と言う訳で事実上の最終話です
これからは1.5章の話を幾らかして、2章に移ります




