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未定  作者: 大倉
崩落、聖戦、■■
44/50

4:狂花、狂い咲き

…花の匂い……唯…か…?


――――

渚の視界に映った唯の周りには、黄色い花弁が舞っていた。

――――


「唯…それは……」

「渚ちゃん、下がってて。」

「でも……」


「――「風詠」」


――――

唯の装束が展開された。

――――


…草原を吹き抜ける風の様な……でも、唯は装束を使えなかったはず……


――――

風が吹き始める。大量の石や土を巻き込んでいるが、渚の周りにはそういった物は飛んで来ていない。

――――


……第六感…じゃない、魔術のそれだろ、これは。


「【消え往く風(セトラ・ヴァン)】」

パキン


…私じゃない、唯に集中してるのか?


………唯が行ってるんだ、私が動かなくて…どうする……


――――

渚は、地面にへたり込んだ動けない。

――――


駄目か……


――――

身体の破損、そして純粋な疲労。この二つによって渚は体を動かせずにいた。

――――



渚ちゃんはもう動けない。私が何とかしないと。


パキン


…目視が条件かな。私ならすり抜けられる。


――――

風に混じって飛んでくる石や土、大天使の意識はそれに割かれている。

――――


……この距離なら!


――――

勿論、大天使が唯に気づいていない訳ではない。

――――



――――

唯が魔術を解くと同時に大天使は唯の方へ体を向け、残る右手での直接攻撃を仕掛けた。

――――


…危ない、気づかれてたか。位置がバレてる?…でも、私が解くまでは向いて来なかった。


ならもっと近くで……


――――

大天使は再び、発動可能な一瞬を見送った。

――――


……私が、何とかしないと、


――――

渚の時とは違い、致命的な唯一点のみを狙った

――――


逃げた私が、進まないと、


――――

「破損」

――――


パキン


――――

その音は、唯の能力解除と同時に鳴り響いた。

――――



「唯…」


――――

唯が纏っていた装束が消えていく。




唯の胸に、黒いモザイクが掛かっている。



「…ごめんね」



唯の体から力が抜け、花弁になって消えてしまった。

――……


「……………ははっ。――「星灯」」


――――

魔力が足りない為発動できない筈の装束を、諸々を踏み倒しつつ、煤の力を巻き込む事で強引に発動。

――――


……謝るのは私の方だ。涙すら出せない、私の方だ。


――――

渚の頭上に、再び三重の環が現れる。

――――


……何だ、笑えるのか。


――――

大天使の口角が上がる。それに釣られて、渚の口角も上がる。

――――




……心臓が鳴る。


同じ轍は踏みたくないが…多分踏むんだろうな。


…心臓が鳴る。


能力を発動してない、となるとまた狙っているんだろう。


心臓が鳴る。


……相打ち上等、絶対に殺す。


(パキン)


――――

黒い斬撃が、大天使へ飛んでいく。大天使はそれを避けたが、渚が眼前に迫る。

――――


…右腕が残ってたか。


「【五つの星(ステラ・カシオペヤ)】」


――――

飛ばした剣は大天使の右腕と渚の左腕に突き刺さった。

――――


動かないなら要らん。


――――

大天使は狙いを定めた。

――――


させるか。


――――

大天使の能力発動前に、渚は大天使の脇腹から煤を突き刺した。

――――


「夜!」


――――

大天使の体内で、魔力が発射されずに燃えている。

――――


我慢比べとっ!行こうか!


――――

渚が大天使の頭に二度、頭突きをする。

――――


…こんだけ動けるなら、さっさと動いてくれよ。唯が……死ぬ…前に……


「…夜!」


――――

再びの発動、大天使の体のあちこちから黒い炎が噴き出る。だが、装束は髪を残すのみとなった。

――――


…装束が切れるまで後何秒だ?もうこれ以上は動けない、後は……


――――

唐突に、渚の視界が暗くなる。

――――


右目も潰れたか。…いや、なんで音がしてない?


…あー、そうか。……ここまでか。


――――

僅かに残っていた装束が消え始める。

――――


……心臓の音がしない。それでも耐えた方か……


――――

既に顔の半分近くが崩れた大天使の、口元が吊り上がる。

――――


…あーそうか。煽るか、私を?


「【星座に手を伸ばす(アストルレージ)】」


――――

渚が宝石を咥えた。その宝石から、徐々に色が抜けていく。風前の灯火に、僅かだが燃料が加えられた。

――――


「【五つの星(ステラ・カシオペヤ)】」


――――

五本の剣が、大天使の頭に突き刺さる。その内幾つかは身体を貫通し、渚に刺さった。

――――


……ここまでか。


――――

剣が刺さったまま、渚の体が落下を始める。

――――


…いい気味だ。相打ちで良かったよ、本当。

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