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時間を掛けるのが一番まずい、増援が来る前に片を付けたいが…
『【二十一つの星】』
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大天使へ飛んで行った剣は
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「パキン」
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という音と共に白いモザイクが掛かり、大天使に刺さる事無く落ちていく。
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…通らないか。だが勝機はある。割れる音が鳴っても私に適用されていない、となると物量で誤魔化せば近づいても攻撃を食らわずに動ける…可能性は高い。
というか随分と毛色が違くないか?これまでの大天使はある程度"光"に関連してた。でもこの大天使は未だ光を一切使ってこない。…それに、環も三重じゃなくて一つだけだし。
……気にしても仕方ないか。何なら、攻撃手段が少ない事を喜ぶべきだ。
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剣を大天使へ飛ばしつつ、刀を構えた渚が大天使に切り掛かる。
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「パキン」
…よし突破、刀も大丈夫だな。
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渚が刀を振るのと同時に、大天使が足で刀を受ける。
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…硬い、拡大が使えてないから斬れなくなってるか。
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数秒鍔迫り合った後、互いに弾き合い距離を取った。
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…やっぱり膂力は同じぐらいか。このまま戦っても私に碌な有効打が無い以上、行動不能にされて終わりそうだ。
煤…を使うにしても、流石に私だけじゃ無理だな。とりあえず、このまま【二十一つの星】で時間を稼ぐ!
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物量で押す渚の攻撃は時折大天使の能力から漏れ、数百に一本程度ではあるが幾つかの剣が大天使に刺さった。
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「パキン」
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渚の環が唐突に消えた。
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!?魔力切れ…じゃない、環自体が使えなくなった……のか?
前みたいに盾で受け身を……
…おい嘘だろ盾が出ない。もしかしてこれ、魔術自体が……
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落下する渚の体を、誰かが受け止める。
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『ウァサゴは渚ちゃん連れて下がって!【鎌風】!』
…ブエルとウァサゴか。…
『悪いブエル、魔術が使えなくなった。』
「―――――――、――――――」
『悪いウァサゴ、音が聞こえてない。』
『…動けるか?』
『魔術が使えない以外は大丈夫だ。』
『ブエル、渚と俺に魔術。それと陽動。』
『はいはい。【祝い言】、【恨み言】、【冽球】!』
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ウァサゴの動きが俄かに速くなり、大天使の動きが少し鈍った。同時に、氷柱が大天使へと飛んでいく。
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『パキン、って音がしたら注意してくれ。今の所は五感、第六感、魔力回路がやられた。使えなくなった所には白いモザイクが掛かってる。』
『…お前の耳のそれはその所為か。』
『ブエル、できれば物量で押してほしい。数があれば幾つかは当たるから。』
『了解。』
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ブエルの出した氷柱の大きさが小さくなり、代わりに量が増えた。
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『…俺がお前を背負う。止めはやれ。』
『分かった。』
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渚を背負ったウァサゴが大天使の背後へと回り込んだ。
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『行け!』
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渚がウァサゴを踏み台にし、その勢いで渚が煤を振りかざす。
煤は大天使の左腕、そして下半身を斬り落とした。
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…くそっ、躱された!頭から両断を狙ったんだが……それでも損傷は大きい、あと数回殴れれば……
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その場に居た四人に、強烈な悪寒が走る。
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!…なんだ……?
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大天使の体は既に限界を迎えている。
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…魔力が戻った?第六感…と聴覚も戻った…ついでに味覚も……だが、何故今?
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蛙の子は蛙、という様に
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……とにかく飛べる、もう一撃…!
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神が作った物も、また神になる事が出来る。
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届け……!
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それが意図した物だとしても、意図していない物だとしても。
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パキン
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神権は、誰の手にも渡る。そういう法則の基に成り立つ物だ。条件はあるけど、基本的に僕は平等だよ。
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「ごぷっ」
…何……
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人の身で神に挑む、それは殆ど不可能だ。
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…内臓……?確かに…指定…は出来るだろうが……
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でも、偉業を為してこその神様さ。応援してるよ、■■。
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