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環による飛行、既に生成した物の再構築……土壇場で覚えた割には上出来か。
…向こうはもう決着してるのか。
「【星座に手を伸ばす】」
…回路を宝石に繋げて、宝石の魔力を吸い上げる……宝石の色が抜けたら…
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両手に握っていた幾つかの宝石の色が、徐々に抜けていく。
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…よし、粗方戻ったか。便利だが燃費悪いなこれ。そりゃ凜ですら使わない訳だ、一個や二個じゃ足りない。
煤は…あった。
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煤を拾い、鞘へと納めた。
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飛んだ方が速いか?……いやそうでも無いな、地上なら走った方が早い。
速度…は上げれるが、魔力がちょっときついか。上げるぐらいなら巻雲で走った方が良さそうだな。
検証終わり、さっさと戻ろう。
「唯~大丈夫かー?」
「渚ちゃんの方こそ大丈夫!?」
「私は大丈夫だ。前線はどうだった?」
「いやー大変だったよ~。上行ったり右行ったりで――」
――――
互いに情報交換をした。前線に来たのは重力を操る大天使という事、渚が戦いの最中、天使の環を使えるようになった事…
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「…怪我してないの?」
「多少消耗しただけだ、大丈夫。」
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前線は更に東へと進んでいく。時折天使の群れこそ襲来したが、大天使は来なかった。
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……?…ああ天使か。
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幾度目かの天使が飛んで来た。
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数は…少し増えたか?まあ、これぐらいなら捌ける。
「【二十一つの星】」
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殆ど同時に、別の場所から稲妻が天使に向けて放たれる。
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…?天使だけだよな…?
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稲妻や剣に貫かれた天使が塵の様になって消えていく。
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?嫌な予感…か?
「パキン」
!
――――
何かが割れる様な音と同時に、渚は天使の群れに居る一体の天使を蹴り飛ばした。
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天使…じゃない顔がある、大天使か!今の音は能力か?…今の所異常は無いな。
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蹴り飛ばされた大天使の背後から唯が奇襲を仕掛ける。が、大天使が振り返り互いに向き合う状態となった。
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「――――――――」
…声が聞こえない?
「パキン」
――――
巻雲で浮いていた渚と唯が、ガクッと落ちる。
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また…いや違う、第六感自体が機能してない?私はいいが唯がまずい!
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渚は環を展開し、落下中の唯を抱きかかえた。
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「―――――――――――――」
「――――――」
…口は動いてるが声が聞こえない、聴覚が駄目になったか。……通信なら行けるか?
『凛、天道にこっちに戦力を回すよう打診出来ないか?』
『いいけど、こっちも大天使来てるのよ。……ウァサゴさん達でもいい?』
『了解。』
大天使すら察知出来なくなってる、となると予想通り第六感が使えなくなってるな。
――――
渚と唯が地上に降りた。
――――
…能力こそ脅威だが膂力はそこまでだ、第六感が使えない私と互角…ぐらいだろう。
ウァサゴとブエルが居るなら多分押し切れる。
「パキン」
!…味覚か、一番マシだな。唯…は……
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唯の左目に、白いモザイクの様な物が掛かっている。
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…もしかして、
「―――――――――――――――――――――」
――――
唯が首を上下に振る。
――――
…急ごう。
「――――――――」
――――
渚が空へと昇る。
――――
……発動から再発動までに間を置く必要がある。今の所は五感と第六感にしか作用していないが、腕や脚にも同じ事ができると考えた方が良いか。どの道さっさと倒せば片付く。
環で飛んでると慣性が面倒だから煤は使わない。ただでさえ滑るのを抑えられないのにこれ以上制御する事を増やすのは無理だ。第六感も使えないし。




