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未定  作者: 大倉
崩落、聖戦、■■
40/50

IX:金と環

――――

大振りの隙を刈られ、弾かれた煤が宙を舞う。

――――


…最悪だ、


――――

空いた手で刀を握る。

――――


どうやっても押し負ける、それに装束はもう消える。……やらかした。最初から煤を抜いていれば夜で何とか出来たのに…


――――

大天使が渚に突っ込む。同時に、渚の装束が消えた。

――――


「はあっ……」


眩暈がする…力が抜ける……最悪だ、本当に最悪だ。時間を稼がれた、装束が切れた。


――――

渚の体から力が抜け、大天使に抵抗できずに上空へと押し込まれていく。

――――


…地面が遠いな。宝石…を取り出す魔力も無いか……


そういえば前線は……別の大天使と戦ってるのか。なら援護も期待出来ないな。


――――

大天使と渚の位置が反転しようとしている。

――――


…そういえば、天使はどうやって飛んでいるんだろう。魔術的な物なんだろうか。


――――

大天使の金色の瞳は、何も見ていない。

――――


僅かだが魔力は使ってるか。…この輪自体が魔力回路…いや術式回路なんだろう。


――――

渚の黒い瞳は、大天使のそれら(・・・)を見ている。

――――


……翼は関係あるのか?いや無さそうだな。あくまでもシンボルとしてあるだけなんだろう。攻撃に転用してくる奴は居たが。


――――

大天使と渚の位置が入れ替わり、渚の背が地を向いた。

――――


…ただでやられてたまるか。


――――

渚は大天使の顔に手を伸ばし、大天使の顔に僅かな傷を付けた。同時に、渚は落下を開始する。

――――


金色の血……魔力…


――――

渚は、手に付着した金色の血を舐め取った。

――――


無味か…だが魔力は取り込んだ。これを呼び水にして、最低限動けるだけの魔力を戻す。




髪が靡く感覚、腕が風を切る音、眩暈が収まる、思考が戻る。




滞空は出来ない、そもそも魔力も碌に無い。…なら神に縋ってみようか。


これから神を倒そうというのに神に縋るのもまた可笑しな話だが……




光、浮遊、天使。


――――

瞼を閉じる。

――――


物は同じだ、天使の光も、私の魔術も。




……魔力が戻ってきた。この魔力は大天使のそれが触媒なんだ、同じ様な事ぐらいできるだろ。


――――

地上が近づく。

――――


………来た!


――――

渚の髪が下を向く。渚が瞼を開き、金色の瞳で空を見据えた。

頭上には、微かに光る環が一つ浮かんでいる。

――――


…魔力は出涸らし、煤はどっか行った、武器は……避けられて落ちてた剣一本。


――上々。


さて、空でどれくらい動けるのか……


上昇、下降、錐揉みにバク宙…ブレーキが利き辛いが、これぐらいなら【巻雲(マキグモ)】で制御出来るかな。今は無理だが…


――――

大天使が地に足を付けた。同時に、渚も降りた。

――――


…煤は見当たらない、少なくとも今探し回って見つかる様な場所には無いか。


……大天使が闇を吐く前に仕留める。




――――

地を蹴り、同時に空へと飛び出す。

――――


機動力は張り合えてる、消耗度合いは私が上だが損傷度合いは向こうが上。…頭を潰せば勝機はある。


この剣がなまくらじゃ無かったら、もう少し択もあったんだが……自業自得か。


――――

互いに武器を構え、競り合う。

――――


…よし、張り合えてる。でも膂力差はまだしんどいな……


――――

渚が大天使の腹に蹴りを入れる。

――――


傷に追撃しても怯まないか。私でもちょっと怯むのに。


…真似でもしてみるか。


――――

渚の剣が二つに分かれ、それぞれが不揃いのダガーに変化した。

――――


一本で駄目なら二本で押す。大天使の刀は割と長いから、懐に入れれば…


――――

幅広の左手のダガーで刀を防ぎ、細長い右手のダガーで大天使の頭を狙う。が、避けられた。

――――


…流石に避けられたか。なら手を落とす。


――――

渚は刀を握っている右手に左手のダガーを振りかざし、手首を断ち切った。

――――


刀は落とした。私のと同じだとしても、また出すには時少し時間掛かるんじゃないか?


――――

大天使が左手で渚を殴ろうとした。が、渚は大天使の頭上へ飛び、それを避けた。

――――


…互いの環に実体が無くて良かったよ。今みたいな時に凄く邪魔だっただろうから。


――――

頭上から右手のダガーを突き刺し、続けざまに左手のダガーで首を落とす。

――――


――塵に変わり始めたか………


「はぁー……」


疲れた。もう少しの間は動けない…か。…回復したら、さっさと前線に戻ろう。

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