夜明けを迎える空
皆様リンバス9章見ました?
感覚が広がっているからなのか、辺り一帯に居る人の気配が手に取るように分かる。だからこそ、目の前にいる者の気配を察知できない事に驚いている。
…どうすればいい?
「任せておれ。」
本から老人が出てきた。
「――任せて良いんだな?」
「手出し無用、儂の事じゃから気にせんでよい。行け。」
「…分かった。」
そうして私は、倒れていた凜と怜を連れて、ソーゲムの外へ出た。
まあその後、諸々の回収をする為にすぐに戻ってくる事になったが。
今回の主目的である、「魔術師の確保」という目的は残念ながら一切果たされる事は無く、何の収穫も、何の損耗も無くこの件は片付いた。
ソーゲムに居た魔術師たちは軒並み魔力を失い…その内の大半は、数日の内に命も失った。
死因は衰弱死。先代局長の北螺が死んだ…つまり、【夢追い人】が解けた瞬間、その大半が一気に衰弱、そのまま殆どが死んでしまった。
数名は亮と凜(ソーゲムから連れ出したら起きた)の尽力によって一命を取り留めたが…その数名の魔力は先にも言った通り完全に無くなっていた。
「――これが事の顛末だ。」
「こっちに被害が無かったのが幸いだが……どう見る?柳。」
「…此方の状況が整理出来ただけでも良しとしましょう。少なくとも、全面戦争時に後ろから仕掛けられる事は無くなりましたし。」
何があったのかの説明の為に、私、枯沢さん、六殿さん(ヘイヴンの大隊長らしい)と話す事になった。本当は私じゃなく凜を呼ぶつもりだったらしいが…今の凜は忙しいから、私が代役で呼ばれた。
「全面戦争…と言うと?」
「そろそろ、反攻に転じようかと。隊長にも進言していますが…当分は時間が掛かりそうですね。」
「なら、私はその間に仕上げとこうかね。武器の調整とかして欲しかったら言いな。」
…!
「天使…いや、大天使か。行って…」
「いや、大丈夫です。」
「…大丈夫じゃないだろ。」
「進行方向がオレスタルですので、隊長が相手します。」
………
「落ち着きな。…隊長は強いから、大天使一体ぐらいなら相手取れる。あんたもそうだろ?」
「……分かった。」
ソーゲムを出て既に数日が立っているのに、未だ感覚が広がったまま閉じない。少し慣れてはきたが…
「…はあ」
…結構疲れる。何れ慣れはするだろうが、それまでは苦労しそうだ。
「…ここ数か月で、六体の大天使が確認され、その内五体を討伐しました。」
鏡、這う光、熱、粒子…私が相手したのは四体、粒子と同時にもう一体…これは逃げた…六体目は今来ている奴か?…
「まだ戦闘中の相手を討伐に数えるのはどうか…と…」
…大天使の気配が消えた。
「…今ちょうど、隊長が大天使を倒した、という報告が来ました。」
「……悪い、続けてくれ。」
…この人をフロントに常駐させてれば全部済んだんじゃないか?
「やむにやまれぬ事情があるんですよ。色々とね。」
「…閉じてるつもりなんだが。」
「漏れてますよ。思考を閉じるのが苦手なんですね。」
……もしかすると、閉じるも何も無いんじゃないのか?
「…閉じ方が悪いんじゃないかい?引き戸を押してる、みたいな。物の例えだけどね。」
「――私の事はいいんから、話を戻してくれ。」
…話し合いの結果…現在のごたごたが片付き次第、東へ向かう事になった。
現在、アウトサイダーに所属している百数名、及び各隊長達。それに魔術局、そして……
「…久しぶりだな。」
「よう嬢ちゃん!元気してたか?」
…バルバトス達、ヴィグラントの面々。
「ウァサゴとブエルは?」
「ウァサゴはベリアルとあっちこっちに声を掛けてる。ブエルは…調整中、と言った所か。」
「…改めて、また会えて嬉しい。」
「こんな狭い世界なんだ、生きてりゃ会えるもんだろ。」
「…まあ、それはそうだが…それでも、だ。」
「…嬢ちゃん、変わったな。」
「そうか?」
「ふむ…前より、人間臭くなった…か?」
「褒めてるか?」
「…変わった、としか言っとらんぞ。だが、良い変化ではあるんじゃあないか?」
「――ならいいか。」




