この世界の在り方について:魔術師
数日が過ぎた。寝込んでいた二人もだいぶ元気になったようで、既に仕事に戻っている。
私はと言うと……
「装束?…まあ、使えるけど――」
「なら、教えてくれないか?」
唯に、装束の使い方を教えてくれと頼み込んでいる。
「…でもさ、別に要らないんじゃないの?渚強いし。」
「どちらかと言うと、知りたいのは仕様だ。」
……見ただけだから何とも言えないが、セントラルで戦った大天使は…装束を使っていた…のかもしれない。となると、他の大天使も使える奴が居ると考えた方がいいだろう。なら、対策ぐらいは知っておきたい。
「仕様か……説明だけでいいならできるよ。見せるのは…無理だけど。」
「ならそれでいい。頼む。」
「まず、装束というのは――」
「――えー、…凛先生、お願いします。」
「引き受けたのはあなたでしょ……」
…どういう訳か、二人とも眼鏡と学士帽を身に着けている。…凜の表情から推測するに、恐らく無理やり着せられたのだろう。
「そもそも、私は装束なんて使えないから。それを念頭に置いて話を聞くこと。」
「わかった。」
「は~い。」
「…なんで唯もこっち側に?」
「ん~、理論は知らないから。」
ええ……
「……まず、装束は完全に才能。使える人は使えるけど使えない人は使えない。…少なくとも、現状はそう考えられてる。」
「現状使える人は総隊長、坐摩隊長、それと唯。」
「私だけ呼び捨て…」
「…愛宕隊長。これで満足?」
「OK!」
「実際の所は使える人はもっと多いとは考えられてる。ただ、実証が難しいのよね。」
「どうしてだ?」
「それはこれから話す。まず、装束の発動には条件があるの。さっきも言った才能ともう一つ、膨大な量の魔力。最低でも上位魔術を発動できるぐらいの魔力がないと無理ね。」
「そうなんだよね~、そのせいで私普段は使えないし。」
「…?ならなんで、使えるって分かったんだ?」
「アウトサイダー入るときの素質テストで出来るって分かっただけ。実戦では使った事ないよ。」
「…基本的に、装束の能力は個人によって違うわ。純粋な強化、何らかの能力が付いている物とかね。前者は総隊長の、後者は坐摩隊長が代表例ね。唯も後者。」
「後は見た目も違うかな。…説明の仕様がない見た目なんだけど、何となくイメージが伝わってくる感じ。渚も見たんだし分かるでしょ?」
「ただ、通常は使われない。原因は単純、持続時間が凄く短い。…大体一分程度だったかな。」
「…対天使じゃ、使えなさそうだな。」
「わかる。」
「つまり、使える人が限られてて、使える時間が限られてて、使った後は何もできなくなるって事!わかった?」
「なんであなたが纏めるの…」
「…まあ、大体分かったよ。ありがとう。」
「これ以上の事は分かって無いのが現状ね。そういう訳で、これで説明は終わり。唯、あなたは仕事に戻りなさい。」
「はーい。」
……セントラルの大天使は、どう考えても一分以上装束?を維持していた。それに、装束の模様を見たときに、その模様について何となく説明できる…のなら、恐らくあれは装束ではない…のだろう。
「なあ凜、天使や大天使も装束を使えると思うか?」
「……考えたく無いけど、あり得ない訳じゃない…と思う。天使も、魔力回路みたいな物を持ってるみたいだから。」
「それに、天使の攻撃って魔術に類する物だし。」
「そうなのか?」
「多分ね。なんか感覚?が魔術に近い感じがするのよね。浮遊は知らないけど、攻撃は間違いなく魔術かな。」
「…じゃあ、私達でも再現が出来たり――」
「無理ね。あれはそういう物で、私達の使える魔術とは物が違う。」
「残念だ。…私も、焔系統とかが使えれば良かったんだが。」
「?私がいるでしょ。貴女一人で戦ってる訳じゃ無いんだから。」
「そう…そうだな、……ちゃんと頼るよ。」
「昔みたいにもっと魔術師が居たら、怜や貴女の苦労も減るんだろうけど。」
「……その魔術師達は、ソーゲムに居るんだよな?」
「まあそうだね。…生きてるかは、何とも言えないけど。」
「…行けるぞ。ソーゲムの中に。」
「………本気で言ってる?」




