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未定  作者: 大倉
魔術に関して
30/36

V:黒

黒い、黒い草原が広がっている。度々聞く、東の領域とやらだろうか。この黒い草原と、緑の草原の境界線上に…随分と機械的な壁がせり立っている。


「渚さん、」

「――悪い。急ぐ。」


…こうしている場合じゃなかった。今は大天使の相手だ。


大天使は私達と同じく、壁の上で…止まっている。その代わり、周囲に光の結界…いや、粒子か?を展開している。動かない理由は分からないが、好機…という訳でもないらしい。


「遅れました、魔術局です。」

「お、やっと来たか……って、局長さんは?」

「魔力切れで寝てます。」

「そういや、さっきの稲妻局長のか。」


怜が大隊長らしき人と話している。…なんとなくだが、柄が悪そうな感じがする。嫌悪感は無いが。


「そこのは…新入りか?」

「渚だ、よろしく。」

坐摩(いかすり)だ、よろしくな。で、連れてきたって事は戦力にはなるんだろ?」

「…まあ、足手纏いにならない自信はある。」

「現状は見たまんまだ。あの領域を形成している粒あるだろ?あれが天使の光と同じっぽくてな。まー近づいたらいい感じに日焼けできるって感じだ。」

「突破方法は?」

「前回は局長さんに頼って、粒貫通できる魔術撃ってもらった。んだが…」


ふむ……


「【七つの星(ステラ・オリオン)】」

「お」


剣を飛ばす。……案の定、突入した瞬間に消えた。


「あちゃー」

「…見た所粒子の数にも限りがありそうだし、物量で潰せないか?」

「そりゃ無理だと思うぞ。生成し続けてるから。」


む……


「…お前、接近戦行けるか?」

「そっちの方が得意だ。」

「ならいい。俺と隊長で切り開くから、その後は頼む。」

「…その隊長は?」

「………あ、」


周りを見ても、そのような感じの人がどこにもいない。


「あの野郎帰りやがった!?」

「……は?」

「……またですか。」


怜がすごいげんなりしてる。坐摩さんもげんなりしてる。もしかして、普段からこんな感じなのか……


「…しょうがない。怜、お前も付き合え。」

「初撃はお願いしますよ。」

「あいよ。」


彼が、剣を構えた。


「――炭火」


そう言うと、黒い衣?を羽織って、いや、色が変わって……燃え切った炭の様な色になった。


「【祝い言(ネクト)】、【恨み言(レクティ)】」

「【拡大(セキ)】、【拍車(イダテン)】」


そういって飛び出していった。随分と速……まさか突っ込むのか?


「あれ大丈夫なのか?」

「問題無いですよ。大丈夫だから突撃したので。」

「ならいいんだが…」


粒子の範囲に突入して……接触した粒子が消えていく?そのまま突撃して、大天使に一撃を当てた。大天使の体に、亀裂が………







……おえっ


「…気持ち悪い……」

「貴女もですか………離れましょう。渚さんは坐摩と一緒にファディカへ……」

「お前は……」

「…僕はやれるだけやってから逃げます。」


…そこまで青白い顔してるのに、置いていけるか。


「…急いでください。」

「……【星は先へ(アストラルレイ)】」


坐摩さんと…


「なっ――」

「…どうやら私のほうが軽傷だからな、先に行ってろ。」


怜をファディカへ送った。明らかに顔色が悪い奴と、大天使に最も近い人が優先だ。




…さて。


「何をしたのかは知らないが、どうせ碌な事じゃないだろ?」


……返答はない。相変わらずだな。対して動かないのが幸いか?…煤を構え、転移で距離を詰める。さして動かないお陰で、攻撃が容易なのが…どことなく不安ではある。







1、2、3、4、5…五体全てを切り落とした。…本当に抵抗がない。どうなって……


「…!」


周囲を舞っていた粒子が黒く変色し始めた。そして、大天使の体も……闇か。だが、もう達磨にしたぞ?




――そうか、そういう事か。どうやらこれは虚像で、本体じゃなかったらしい。……ちょうど真上か?その辺りに、多分、いる。嫌悪感、というか何と言うか、そんな物を感じる。……向き合いたくない感じだ。


…目を閉じて、上へ飛ぶ。……まあ斬るなら、流石に目視はしたい。目を開け――






「――ひゅっ」






……嫌だ、嫌だ、嫌だ、いやだ、いやだいやだいやだ。心臓が跳ねる。吐き気がする。嫌悪がある。気持ち悪い。…見たくない。


何かの力、違う?違くない、そうじゃない、斬る、もう















「………ん」


白い天井……室内?ファディカの病院か?横に誰か居る……


「…唯か。久しぶり。」

「久しぶり~。調子どう?」

「……まあ、概ね問題ない。」

「良かった。なんかね、亮さんが凄い焦ってたんだよ。なんとか障害?だとかなんとかで。」

「…怜と坐摩さんは?」

「どっちも元気だよ。も少し様子は見ないとらしいけど。」

「そうか。…無事で良かった。」

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