表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
未定  作者: 大倉
魔術に関して
28/36

燃え殻:III

痛い。…流石に無茶をし過ぎた。身体の状態は……概ね問題無しだが、闇の影響で少し鈍い上動けない。おまけに魔力回路は闇の侵食で使い物にならない。大天使は……


「…ちっ」


切り落とした筈の手足が戻っている。…闇で体の一部を再構成したのか?動きも特に鈍った様子は無い……


――これ以上私はどうしようもない。出来る事と言えば、早い所凜か怜が助けに来てくれるのを待つだけ……か。


『――無――?』


通信?…上手く聞こえない、侵食の所為だな。聞こえない以上、聞かせる事も出来ないだろうし……


大天使が腕を振り上げた。…直に止めを刺す気だろうか。










「――【飛風(コガラシ)】!」


見えない何かが大天使の腕を刎ねた。あれは、前にウァサゴが使った……

そんな事を思っていたら、突然目の前に人が現れた。転移…か?


「聞こえる?私と君、さっき会ったんだけど覚えてる?」

「……聞こえてるし、覚えてる。」


…ここに転移して来た時、状況を教えてくれたアウトサイダー……確か、大隊長…のはず。


「…見た目の割に元気そうだね。大天使片付けるから、ちょっとだけ待ってて。」


彼女…名前知らないな…が、大天使の前に立つ。


「【拍車(イダテン)】」


そう唱えるや否や、大天使の頭は体から離れていった。…彼女の構えが変わっている。持っている剣で首を撥ねた…にしては早い。…そういう技か?


「死んだ…かな?」


大天使の体が、徐々に崩壊していく。…まあ、大半は闇で覆われていたから、天使のように血が流れるわけじゃないが。


「死んだと思うぞ。」

「で、君、動ける?」

「…四肢の感覚が鈍い、魔力回路使用不可、聴覚が鈍い、視界が暗い。まあ、動けないと言う事だ。」

「OK。」




「…ああそうだ、あまり私に触れないほうがいいぞ。侵食が貴女にまで行きかねない。」

「じゃあどうやって運ばれるつもり?」

「凜に、【星は先へ(アストラルレイ)】とかで…」

「…面倒だし、担ぐ。君、侵食何とか出来るんでしょ?知ってるわよ。」


…担がれた。


「大丈夫か?体の感覚が鈍くなってたりしないか?」

「……今の所問題なし。杞憂じゃない?」


そうなら、いいんだが。













…結局そのまま担がれて、セントラルの病院に運ばれた。…未だ魔術は使えない。闇の侵食をどうにかしたくても、煤を放り投げてしまったせいで、どこに行ったのかさっぱりわからない。


「…もう少し、後先考えたらどうですか?」

「今度からはそうするよ…」


そのせいで、私がある程度動けるようになる…のかどうかも不明だが…とにかく、それまではここに留まる事になるだろう。


「あなた、熱源に突っ込んだのよね?」

「まあ。」

「…の割に、随分と軽傷なのよね……案外出力が弱かったのかしら。」


まあまあ熱かったが……そんな物なんだろう。たぶん。


「とはいえ、怪我はしてるし…【回復の祈祷(ゼータフレイア)】!」


………ふむ、かなりマシになった。疲労が取れた…?様な感じがする。


「大分良くなった。…私も使えたらいいのに。」

「適正外の魔術を使うのは危険ですので、できる人に任せるのが一番かと。」

「…それはそうなんだがな。」


さて、体の状況は……まあ、動くようにはなったか。だが、依然として魔術は使えないし、視界は暗いままだ。


「…動けるようになった事だし、煤探してくる。」

「場所の目星は付いていますか?」

「いやまったく。…まあ、投げた方向は覚えてるから、その辺りを探してくる。」











…結局、セントラルの端の端まで行って、やっと外壁に突き刺さっている煤を見つけた。刺さっていた煤を一度抜き、地上の侵食箇所に刺し、


「…すまない。こんな事まで手伝ってもらって。」

「いやいや、感謝したいのはこっちの方だからさ。少しは手伝うよ。」


大隊長…名前を、杉原 雪と言うそうだ…に手伝ってもらいながら、


「…結構重いねこれ。」

「闇に刺してる時だけだ、普段はここまでじゃない。」

「ふーん……【拡大(セキ)】!」




…何とか抜いた。




「どう?魔術、また使えるようになってる?」

「……ああ。他の箇所の侵食も引いた。」


幸い地上の侵食も、全て煤が取り込んだ?ようだ。…幾つか黒ずんでいる箇所はあるが、大天使の熱で焼け焦げただけらしい。


「それじゃ、私は今回の件の諸々の処理と調査に戻るから。またね~」


振られた手を振り返す。…どうやら今回、都市への被害こそ凄まじかった物の、人的被害はそこまでだったらしい。実際、病院にそこまで人がいなかった。まあ、凜が即座に対処できる程度だっただけで、被害自体はそこそこあるのかもしれないが…そこまで疲弊していなかったのを見るに、精々数十人程度だろう。




…にしても疲れた。気付けば、差し込める光は陽光から月光に変わっているし…というか、この大穴…どう塞ぐんだ?他の都市みたいに、結界でも張るんだろうか。


そもそも、結界をどうやって維持してるんだ?ファディカの外円部にあった機械?を使うのか?…例の術式回路という奴だろうか。


『渚、聞こえる?』

「聞こえるぞ。」

『良かった、魔力回路も戻ったみたいね。』

「何か用か?」

『これから数日、私達ここに泊まり込みね。』

「何か要件でもあるのか?」

『上の大穴、術式回路で結界張るにしても準備までに時間がかかるから、それまで私達で仮の結界張るの。』

「わかった。術式回路の準備が終わるまで、天使をここに寄せ付けない様にする、という事だな?」

『そういうこと。…まあ、精々一週間ぐらいだから。』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ