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未定  作者: 大倉
魔術に関して
27/36

陽炎:III

天使の数が、凡そ半分を切った。それと同時に、大天使が自分で出した炎を纏い始めた。…おまけに、炎の出力も上がっているようだ。


「…怜、そっちの状況は?」

『此方の天使は半数程落としました。』


となると、それがきっかけか。


「大天使の形態が変わった。早めに来てくれると助かる。」

『…急ぎます。』


大天使が纏った炎が、長い上着?の様な形に定まった。……!


大天使の剣に一瞬で周囲を囲まれた。転移して回避。

転移した先に剣を置かれた。空中を蹴って回避。

その先……下から、無数の剣。


回避のしようがない。転移して避…ああ逡巡してる暇もない!


「凜!何とかして援護できないか?!」

『…そこ射程外!』

「了解!……何とかする!」


剣が飛んでくる。




……叩き落しても次から次に飛んでくるのを単独で捌き切るのは、流石にいくら何でも無理がある。


「怜まだか?!」

『……少しだけそちらに向かいます。その際に隙を作るので、何とかしてください。』


また無茶を。


『それと、幾つか足場を。僕は貴女の様に滞空できませんので。』


こっちの防御も手一杯なんだがな。


「…了解。」


やるしかないか。展開している盾五枚のうち、一枚を下の怜に回す。


『…暫しお待ちを。』


暫しも―――『【忙しなく(セトラ・ヴィジ)】』




…まずは、渚さんの援護を。


「【祝い言(ネクト)】、【鎌風(クイスト)】……ふんっ」


―――この程度でいいか。……どのみちそろそろ限界ですね。




―――待っ「後は頑張ってください。』…?


状況は……大天使が仰け反り、飛ばしていた剣全てが折れ……今叩くしかない!煤を抜いて大天使の眼前へ転移。そのまま両断――




――し損ねた。だが、左の羽は切り落とせた。…飛行能力が落ちた様には見えないな。羽は飾りか?だが、他の大天使は羽が能力の起点になる事もあったし……とにかく、このまま詰め……!


「怜、何かしたか?」

『天使の殲滅は終わりましたが……』

「じゃあそれだな。…多分だが、大天使が第三形態になった。」

『…再度援護しましょうか?』

「いやいい。何なら離れてくれ。」


大量にあった剣や、纏っていた炎全てが()()()。だが、未だ熱い。しかも、徐々に温度が増している?……いや、大天使の周りの空間が揺らいでいる。陽炎……大天使そのものが熱源か?


「凜、そこから見て、大天使はどう映る?」

『…歪んで見える。陽炎かしら。』

「私は?」

『……大天使ほどじゃないわね。』


……そこまで大天使に近くない筈なんだが。


「どの角度から観測してる?」

『あなたの右後ろ』


大天使は正面だ。つまり、凜と私の間に熱源が………試しに、少し先へ手を伸ばす。


「……っ!」


手を引っ込める。

…ある場所を境にそこから先へ手を伸ばすと、手先が焼けるように熱くなった。……まずいなこれ。


「怜、結界の外に出てくれ。」

『…渚さん一人でやるつもりで?』

「……そうせざるを得ない状況だ。」


…恐らくだが、見えないだけで既に大天使は私に攻撃をしている。剣は知らないが、纏っていた炎は恐らく、見えないだけで存在はしていそうだ。


「………」


なぜこれ以上熱を近づけないのか。私に触れれない訳では無い……まあ確かに暑いが、直に熱に触れなければ耐えられる程度の暑さだ。……我慢比べをするような質でもないだろ。


「【七つの星(ステラ・オリオン)】!」


剣を飛ば……消えた?溶けるような物でも……いや違う。耐えきれない程のダメージを負ったんだ。多分。となると…少なくとも大天使の周りは、それ程の熱を持っている、という事になる。おまけに、恐らく私はそれに取り囲まれている。…私はどこまで耐えられる?転移で逃げたとして、そこは安全圏か?………どうしようか。


…煤なら行けるか?霧を切れるなら熱ぐらい切れてもいい…はず。だが、私は熱を目視で探知できる訳じゃない。そもそも相手は熱を操作してるんだ、煤を振り回すだけで一切熱を通さない空間を作れるならともかく、私にそんな技量はない。


私が熱をある程度耐えられるなら、転移でもして切り込めるんだが…数秒なら持つか?だが、仮に切り伏せたとして、次の問題は()()闇だ。


もしも闇に切り替わった時、熱が残っていなければいいが…まあ、そこは賭けか。最悪、結界の外へ転移すれば逃げれるだろ。



煤を構え、


『何やって…』


大天使の目の前へ転移する。


「っ!!」


体中が焼ける。怯むな、それこそ――




――振りかざした煤を、大天使に向けて振り抜く。


















『Inversion complete: 【Light】 into 【Dark】』


体を焼いていた熱が、闇へと変わっていく。


…怯んだ所為だ。僅かに振るのが遅れ、大天使に回避を許した。結果として、大天使の右腕を切り落とすのみに留まる事になったし、加えて直に闇を食らった。…まだ侵食が僅かな今しかない。




力を込めて無理矢理、振り下ろした煤を横方向へ再度振り抜きつつ手を放す。




飛んで行った煤は、大天使の足を両断して、どこかへ飛んで行った。即座に刀を取り出し転移、大天使の胸に突き刺…さらない!頭にすれば良かった。


「【七つの星(ステラ・オリオン)】!」


剣を残る左腕と頭に突き刺す。刺さらなかったのは速度の違いか?刺さった剣をそのまま動かして、地上へ急降下する。私の膂力は噴き出た闇を食らった所為で鈍っている。流石にこの高度から地面に叩きつければ、最悪撃破できなくても当分は動けなくなる…はず!




…?周囲の闇が集まって……動けない。道連れにでもする気か?…落下速度は変わってないが、腕が動かせない…転移もできなくなったか。…覚悟を決めるか。




大天使の周りに、翼の様な形になった闇が集まりだした。対抗する気か?ならばこちらも推力を上げるまで。刺した剣に加えて、盾で私の背中を押す。



大天使本来の浮遊に加えて、翼の推力……これ以上の加速は見込めないか。







「【星は先へ(アストラルレイ)】」

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