過去の産物/III:燎原
「…………」
アルケーに来た。……ここは、工場というよりは、工房の方が正しい場所だろう。いや鍛冶場か?
「――天――策―」
「――無理―ろ――バ――」
「そ――や――依――」
かなり騒がしい。…忙しいのかな。
「――おや、お客さんか。何か用かい?」
眼鏡をかけた女の人が話しかけてきた。
「…ああ、忙しいなら後でも構わないが……」
「今は繁盛期って訳でも無い。用があるなら聞くよ。」
「……じゃあ、少し広い空間はあるか?見せたい物がある。」
……ガレージの様な所に連れて来られた。
「で?見せたい物って何だい?」
「……少し離れてくれ。」
「【星座に手を伸ばす】!」
地響きと共に、機械が落ちてきた。…慎重にやったんだがな。
「これは……」
改めて見ると、やはり大きいな。完全に横たわっているとはいえ、それでも私より大きい。
「…どこからこれを?」
「アウトサイダーからの依頼で、エリオンの調査に行ったときにこれを見つけた。」
「依頼……あんた、魔術局の人間か。」
言い忘れてた。
「…で、これを私達にどうして欲しいんだい?」
「私には使い道がさっぱりだから、何かに役立てられるなら。と思って持って来ただけだ。」
「じゃ、勝手にバラさせて貰うよ。」
「ご自由に。ああ後、これが何か分かったら教えてくれるとありがたい。興味はあるから。」
「わかったよ。……そういえば、自己紹介がまだだったね。」
「私は枯沢 綾。一応ここの大隊長でもある。けど、戦闘は専門じゃない。当てにはしない事を勧めるよ。」
大隊長なのに戦闘が専門じゃない……?
「…幸いな事に、ここは天使の襲撃が無いんだ。人が大勢いる訳じゃ無いのが幸いしたのかね?同じ地下にあるセントラルすら偶に天使が来るが…こっちには、ただの一度も来た事がない。」
「だからここを工房にしたのか。」
「そういう事だね。で、あんたの名前は?」
「私は渚だ。今は魔術局に居る。」
「へえ……新入りか。」
「とりあえず、こいつはうちで預かる。進展があったら知らせるよ。」
「よろしく頼む。」
……暇だし見物して居ようか『渚!』
「凜か。どうした?」
『セントラルに大天使!急行!』
「了解」
――星が煌めいた。
セントラルに到ty――
爆発音と共に、セントラルの地下に日差しが差しこんだ。
「状況は!」
「転移……君、魔術局の人?」
羽織…ここの大隊長か?
「ああ、襲撃と聞いて来た。」
「状況は……見ての通り。」
…日差しと共に、大量の天使と……三重の輪、六枚の羽、それに顔……大天使が降りてきている。
「穴の断面が溶ける程の熱か…」
「私達は避難誘導させる。大天使は君に一任しても大丈夫?」
「任せろ。」
……まあ、頑張るか。慣れてきたしそろそろ……!
「【七つの星】!」
砲門を五つから七つに増やした。まだまだだが…まあ、今はこれでもいい。剣を飛ばす。……幾つか迎撃されてるか。流石に攻撃密度が低すぎるな。……直に叩こうか。
転移して空中へ。滞空しつつ天使を撃ち落とす。…大天使の影響か、天使の攻撃が妙に強い。まあまあ数もいるし、さっさと叩き落さないと……
『渚さん、貴女はそのまま大天使を。天使は僕が。』
「怜…さん?」
『怜でいいですよ。まあ、僕も貴女と同じタイプではありますが…人手が多いに越した事は無いでしょう。』
「凜は?」
『現在結界を張っています。』
…確かに、ここら一帯を覆うような結界が張られていく。
『…援護は期待しない方がいいかと。』
『この回線私も居るんだけど。』
『失礼しました。』
「…少しうるさい。私はまだこれに慣れてないんだ。」
『音量を下げる際は、受信している思念の受付量を下げるといいですよ。』
「……とにかく、天使は任せた。」
さて、大天使は……あれか。これまでのと違って、今回のは人型か。弱点もわかりやすいし、多少楽――
「【星海を越えて】!」
――な訳無かった。
大天使が放出した光……いや炎か?とにかくそれが、剣の様な様相になって、飛んできた。同じ様な技……
……な訳も無かった。今私が同時に出せる総量は計七つ。それに対して大天使は、無数の剣を出してきた。…流石に受けきれないな。
「怜!どう足掻いても幾つか大天使の攻撃が漏れる!避けてくれ!」
『了解しました。天使の殲滅が終わり次第、其方に向かいます。』
とりあえず、大天使の上を取る。下に攻撃されるのは面倒だ。
「凜、結界の範囲とか操作できるか?」
『できるけど、どうしたいの?』
「上方向に伸ばしてくれ。上空で大天使を抑える。」
『…ちょっと待って。』
円形の結界が、徐々に楕円になっていく。
「ありがとう。」
そのまま上へ向かう。大天使は……ついて来てるか。剣を飛ばして牽制しつつ、攻撃を躱して上へ。煤を使ってもいいが……外した時が面倒だ。御しきれない以上外したらカウンターを食らいかねない。
とりあえず今は怜を待とう。




