XI:末広がり
…誰か来る!
空間を突き抜けて、煌めく星と一緒に、人がやってきた。
「…ああ、前に会った。」
前に居たヴィグラント!?
「なんであなたが「悪いが押し通る!」ちょっと待ちなさいよ!」
どこからともなく、黒い……刀?を取り出して結界を切り裂いて…あーもう!直さないと……
「ごめん亮!私あのヴィグラント追いかけないと!」
「…いや、大丈夫だと思うよ。」
「……なんで?」
「僕の知り合いだから。…面識があるってだけだけど、悪い人じゃないよ。」
「…そう。」
……見送るしかないか。何であれ戦力が増えるのは良い事だし。
さっきのは…亮さん?…そういえば、魔術局所属だったな。まあ、結界の外に居るなら心配はいらないだろう。…今は兎に角、大天使の状態を確認しな……なるほど。
…光る丘のような物が地面を動き回っている。住宅街の家々も地面の判定なのか、大した破壊は起きていないようだ。あれが大天使……前見たときは、もっと地面に埋まってたよな?…とにかく、あれを攻撃してみよう。
「【五つの星】!」
武器を飛ばしてみる。……刺さりはした…が、ダメージは入って無いな。柔すぎて貫通しないし、大天使が反応するわけでもない。……近くのアウトサイダーに話でも聞いてみようか。
「状況は?」
「大天使が第三形態に変化。」
「弱点は?」
「中心部のコア、輪の真下にあります。」
「了解。」
「……ん?今の人誰だ?」
さて、大体の状況は分かった。…現状は殆どのアウトサイダーが引いているのか?大隊長らしき人もいない……好都合だ。今のうちに、煤の試し切りと行こう。
まずは、煤なしで攻撃が通るかどうか……輪の上に立ち…厳密には耐空だが…剣を飛ばす。……うん、刺さりこそするが、中心部まで攻撃が通っていない。…まあ、注意を引くには丁度いいだろうし、このまま攻撃を続ける。
さて、こっちが本命だ。さっきの検証で魔術による結界はいとも簡単に切れた。なら、大天使はどうだ?切れるのか?
煤を構え、足と頭を反対に、そのまま空を蹴って降下。…まずは大天使の体に接触、煤で切り開きながら進む。
外から見た感じだとそこ等の建物程度の厚さはあるが、前回見た時より横の範囲が狭い。つまり、徐々に上へ上っている…ということだろうか。
まあ、そうして自身の体を操れるなら……体から盾を生成して、それで私の初撃を受け、そのまま追撃して私を落とす…なんて事もできるだろう。今やっているように。
ま、切れるだろ。
「はっ!」
ほら。出してきた盾を切り裂き、そのまま落ち続ける。…盾を切ったことへの反応は無いが、追撃はしてくるか。前の大天使とは違う、グネグネと曲がるような光が飛んできた。
こちらも盾を展開。いくつかは防げるが……盾の数を超えているな。……今の数で数秒持たせて、もう少し大きな奴作るか。
「【構築光】」
一度引きつつ、新しく盾を作っていく。現状一度に動かせるのがせいぜい五つぐらいだし、現状大した時間もない。一先ず三つ作る。小さいほうが取り回しがいいと思ったんだが……そもそも、盾に取り回しの良さを期待するのが間違いだったかな。
…先に展開した盾が全て壊れた。まあ、間に合ったしいいか。
「……よし。」
うまく防げているし、即興で作ったにしては上々だ。今後はこの型を主にしようか。…まあ、大型化したからか、速度自体は落ちてるな。防御できる範囲が上がってるから大した問題でもないか。
さて、反撃と行こう。
盾を切り替えて、再度突撃。ん?……大天使が逃げ始めた?
「逃がすか!」
地面に引っ込んだ大天使を追う。引っ込んだ、とは言っても、地面から少し体を出してはいる。…上から見ると、本体の周囲に羽?…同じく地面に引っ込んでいる…のような物があるな。…まあ、こちらに寄ってこないなら気にする必要もない。
…徐々に結界に近づいているな。この状況良くないか?あの結界が大天使の動きを止められる確証がない。…本人に聞くか。さっき居たし、ちょうど進行方向だ。先回りしてしまおう。
お、居た。
「なあ、」
「…何?」
「貴女の結界って、大天使通さないか?」
「……まあ、大丈夫だと思うけど。」
「今こっちに来てるから、万が一の時は頼む。」
「は!?ちょっと待って状況を――」
さて、迎え撃つ準備でもしようか。
「【五つの星】!」
これがあれに効くかどうかは……まあ、牽制にはなるだろ。
……何あれ?【星座に手を伸ばす】を複数展開してる?…というか、周りに浮かしてるの…【構築光】?となると適正は星と光…それをメインで使ってるってことは、それ以外に適性が無い…それで大天使の相手してる訳?
……仕方ない。
「私も手伝うわよ。」
「良いのか?」
「怪我人は亮に任せてる。あなたも知ってるでしょ?」
「あー……………まあ。」
「…なんで間が開くのかは知らないけど、とにかくあれを倒さないと。でしょ?」
「……まあ、協力ありがとう。」
彼女が結界に入ってきた。…ここらには高い場所もないし……
「飛べるか?」
「無理に決まってるでしょ?魔術師はアウターと違って飛べないのよ。知らないの?」
確かに、ブエルも飛んでなかったな。
「なら担ぐから、高所から攻撃してくれ。」
「ちょっとまってわたしたかいところむり」
「…じゃあ、私が大天使を引き付ける。貴女はそれを攻撃してくれ。」
…無理なら仕方ない。そろそろ大天使が結界に触れるし、迎撃の準備でもするか。




