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未定  作者: 大倉
はぐれ者の旅路
2/16

はぐれ者

…しまった、先の戦闘でPCが壊れた。USBは無事…だと思うが、備忘録は飛んだか。まあ、いいか。誰に見せるわけでもない。


…結局あの仮称天使は何だったんだ?結界に触れた事が引き金になって攻撃してきたのか?

恐らく意思のような物ではなく条件反射の類な気はするが…まあ大方生命体ではないだろう。少なくとも有機物ならあの速度で消え去ると思えない。


そもそも今この世界はどうなっている?崩落が止まったのなら人は生きているはずだ。

だがあの街には数十年以上、人が住んだ形跡が無い。いや、もっとか?いずれにしても長い間この辺りに人は住んでいない…と思う。


「……不明な事柄が多すぎる」


かつての私があの仮称天使と戦える強さだったのは幸いだが、益々謎は増えるばかりだ。

何故天文台なんかで私は眠っていた?というか、ここまでまともに食料の類を口にしていないが、体に異常が無い辺り案外私も…


……今考えても仕方の無い事は考えないようにするか。


最悪死ねば分かる。







…?


「誰だ」


「…アウターか…」


知らない単語だ。PCにも記載が無かったのなら、比較的最近できた用語か?

声の主が顔を出した。…男か。武器の類は……無さそうだ。


「あー……こっちに敵意は無い。一回その腰のから手放してくれると俺としてはありがたい。」


…どうやら無意識に手を刀に掛けていたらしい。敵意は無さそうだ。大人しく従おう。


「…お前は誰だ?」


「俺は…まあ、「はぐれ者」ってところだ。」


はぐれ者…もしや、人が暮らす街があるのか?それもそれなりの規模で。


「私は……よく、分からない。」


「…どこから来たのかもか?」


頷く。…本当なんだが、彼は信じるに信じれないような顔をしている。当たり前か。


「…嘘…じゃ無いか……行く当ては?」


首を横に振る。


「…着いてこい。…特に、色々と知りたいことがあるなら」


「なら遠慮なく」













「バルバトス!ブエル!客だ!」


少し歩いた先に馬の居ない馬車と、二つの人影があった。

片方は…男、武器らしき物は持っていない。

もう片方は…女、同じく武器らしき物は持っていない。


「…知らない顔だな。」

「あんたが客連れて来るなんて珍しいね。客自体珍しいけど。」

「内訳は?」

「アウター、天使と戦ってた、どうも記憶喪失らしい」


…なんでそこまで分かってる?というか、天使と戦っているのを見ていたなら手助けして欲しかった。


「…随分と面倒な案件を…」

「ブエル、お前の方で色々と見てやってくれるか?」

「りょーかい。貴女、名前は覚えてる?」


彼女…ブエルが此方を向いて尋ねた。


「…渚だ」

「じゃあ、渚ちゃん。ちょっとお姉さんとお話しようか。」

「………」


すっごくうさんくさい


「安心しな。言い方が悪いだけでこいつは悪い奴じゃない。」


確か…バルバトスだったか?が割り込んできた。


「ちょっと、人を悪人みたいに言わないでよ」

「今の口調は胡散臭い奴の口調だったぞ。」

「……まあいいわ。」


彼女は一度ため息をついて、まだ名前を知らない彼の方を向いた。


「ウァサゴ、貴方渚ちゃんの戦闘見てたんでしょ?どうやって戦ってた?というか、見てたなら手助けしなさいよ。」


心の中で同意した。…心なしか、彼がこちらを向いたような?


「…空を連続で跳ねて、刀で天使の首を落としてた。」


その事を口にした瞬間……二人の顔からは明らかに驚愕の表情が浮かんだ。


「アウターってより、私に近いんじゃないの?」

「だからお前に頼んだんだ。」

「……こりゃ、思ってたより厄介な案件か?」


そこまで大事なのか……


「…よく分からないが…申し訳ない。」

「あー…貴女が謝ること無いのよ。ただ、貴女の過去についてちゃんと調べないとダメって事が分かっただけだから。」


彼女の声色は穏やかだ。後ろめたい事があるわけでもないのだろう。

なら一先ずは安心できる…か。


「…てな訳で、当分は俺達と一緒に動いてもらうが、問題ないか?」


断る理由も無い。


「大丈夫だ、連れて行ってくれ。」


「じゃあ!今日は嬢ちゃんの歓迎会でもしようか!」

「私はパス、ちょっと準備しないと。」

「おいおい、ただでさえ人数少ないんだぞ?三人で歓迎会はちと寂しくないか?」

「…ちょっとだけよ。」


返事を聞いてバルバトス…さん、が、いい笑顔で笑った。

この人がここのリーダー…いや、まとめ役のほうがしっくりくるな。そういう立ち位置が似合う雰囲気の人だ。


「ウァサゴはどうする?」

「俺に断る理由は無いぞ。」

「じゃ、準備は俺が。渚君は適当に暇でも潰しててくれ。」


そう言って、二人はどこかへ行ってしまった。

…今手が空いているのはウァサゴ…さん、だけか。話し相手になってくれるだろうか。


「えーと…ウァサゴさん?」

「ウァサゴで構わん。何か用か?」

「…今の、この世界について、教えて欲しい。」

「……立ち話もなんだ、ついてこい。」

読んでくれてありがとうございます

調子がいいので二個投稿

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