同窓会?
「で?結局どうするんだ?」
列車が駅に着き、ブエルとバルバトスが倒した、ベリアル…さんの仲間?達が降りてきた。随分と一方的な戦いだったらしく、バルバトス達には傷一つ無い。治しただけかもしれないが。
「そうですね…列車の積み荷だけ渡して頂ければ、話が早いんですが…」
「ベリアル、お前さんの事情は良くわかってるが…」
「バルバトス、事情を知ってるなら猶の事協力すべきだろ。」
「…ま、くれぐれも怪我しないようにな。」
「もし、あなたが治せないレベルの怪我したら、私の事呼んでくれてもいいからね~」
皆、顔見知りだったのか。
「そうですよ。俺は元「クレイン」でしたから。」
「クレイン?」
前にも聞いたが…私達の事を指しているのか?
「そうですね。あなた達は、世間一般的にはヴィグラント…まあ、俗に言う「はぐれ者」です。その中でもあなた達は一つの旅団…「クレイン」として固有の名前がついている…まあ、それだけです。」
「人によっちゃ「クレインの悪魔」なんて呼ばれる事もあるがな。」
「軒並み全員が偽名だしね。」
「そういえば、貴女の名前は?」
「渚だ」
「では渚さん、ウァサゴさんの教え方がよく分からない…という際は「おい」…少し黙って下さいね。」
ウァサゴが口を挟んできた…が、一蹴されてしまった。
「"インデンス"に来てください。そこなら、私がいます。その他にも、私達のようなならず者に興味がおありでしたら、是非。」
「それでは」
いつの間にか持っていた貨物を【星座に手を伸ばす】へ格納して、伸びている仲間を担いで【星は先へ】で去っていった。…今度、暇な時にでも行ってみるか。
駅を出て、街へと降りた。ファディカと違い少々薄暗いが、案外賑わっている。
「…なあ、一応襲撃があったんだが、インサイダーとかアウトサイダーは来ないのか?」
「あー…嬢ちゃん、他では言うなよ?…実はな、ベリアルの襲撃はアウトサイダーの"隊長"が絡んでんだ。神仰宗にアウトサイダーは表立って手出しできないからな。裏で協力関係を結んで、色々と妨害して回ってんだ。今回は俺たち以外に被害が出なかったから、多分このまま消える。」
「…外には漏らさないようにする。」
案外、"ならず者"というのも、肩書だけなのだろうか。…というか、なんでそんな事を知っているんだ?
「…俺達も大概同じような事してるからだな」
「……そうか、私達も特に縛られてないのか。」
「稀だが、隊長から依頼が飛んで来る事もあるしな。」
…まあ納得はできるが……にしても、バルバトスは少々内情を知りすぎじゃないか?……まあ、今気にしても仕方の無い事か。
薄暗い街…というか、市場か?…を歩く。おそらくファディカから来たのだろう野菜や果物、別の所から来たのだろう海産物や鉱石等も売られている。酒類もあるのか。…案外、物流は潤っているんだな。
「…私が思っているより、平和そうだ。」
「人は娯楽が無いとしんどいからね~。日々戦うにしても、それ相応の後ろ盾が無いと。」
「その"後ろ盾"が腐ってたら、どうしようも無くなるからな。」
…なんか、他意あるな。
「で、結局ここは通過点なんだろ?」
「まーそうなんだけど。折角だしさ、ここでしか食べれないもの食べようよ!」
というわけで、レストラン?に来た。案外…いや、予想通り、かなり賑わっている。多分人が多い時間帯でも無いだろうに、それでもかなりの席が埋まっている。
「さーて、今日は何があるかな~」
遠隔で注文して、完成したらここに届く仕組みらしい。どんな物があるのか……
「…多くないか?」
「だから、"ここでしか"って言ったんだよ。」
やけにメニューが多い。ジャンルも様々、麻婆豆腐…ピザ…ナン…どの層を狙っているのかよくわからない。
「まあ、素材は沢山あるからなあ。色々作れるんだろ。」
まあいい、とりあえず何か頼んでみよう。ちょうどブエルが拉麺と天ぷらとパスタを…まだ座ってから五分も経ってないはずなんだが…あ、酒が来た。…もう飲み干してる………
…バルバトスも張り合う様にかなり食べている。ウァサゴは…あまり進んでいないようだ。寿司を頬張って…いや、その隣に皿が積みあがっている。かなり食べてるなこれ……私も食べるか。
…二時間ほどでようやく全員が満足して、退出した。会計はバルバトスが持ってくれた。…中々の金額ではあったが、普通に払っていたあたり、案外懐事情は気にしなくてもいい程度には持っているんだろう。
「渚ちゃん、なんか気に入ったのあった?」
「麺の類はなかなか美味しかった。」
「…俺達の席、他と比べても皿が積みあがってたな。」
「ま、大分食べたからなあ。満足したか?」
「満足!」「「まあ」」
「そりゃ良かった。そんじゃ、そろそろ次に行くか。」
ファディカに入った時と同じような場所に来た。
「今度はここから地上に出る。少し待ってな。」
「…なあウァサゴ、どうして列車で行かないんだ?」
「…俺達の一般人からの印象はあまり良くない。後は…俺等の都合上、人と関わらない方が楽なんだ。」
「後、隊長からの依頼もあるからね。地上の天使の分布とか、アウトサイダーの手が届かない所とかの調査とか。渚ちゃんが居た辺りも普通は誰も来ない場所だし。」
「元より、アンカーに寄ったのは隊長からの依頼だからな。そしたらたまたまお前が居て、予定変更してファディカに向かったって訳だ。」
「なるほど」
「よし。ブエル、馬車出してくれ。」
「はいよー」
格納庫から馬車が出てきた。
「乗った乗った!外に出たら全速力で走るんだ、しっかり掴まっとけ!」
…そうか、天使に捕捉されてそのまま攻め込まれたら問題だもんな。
「一応外には結界があるんだけど、何もない場所から急に馬車が出てきたら…いかに天使でも怪しむでしょ?一応、認識阻害は着けてるんだけど…私、あんまり得意じゃないからさ。」
……昇降機が稼働した。
バルバトス:大食漢&酒豪
ウァサゴ:特定の物だけすごい食べる
ブエル:早食い+大食い&ざる
渚:麺がお気に入り 結構食べる