表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
未定  作者: 大倉
はぐれ者の旅路
15/26

終:後を引く闇、刺す光

――眩しい…どこだここ……病院?…寝てたのか?…確か、大天使に止めを刺して…そしたら……そうだ、私は闇に呑まれて…というか、どれぐらい寝ていた?…周りには誰もいないか、仕方ない。


体を起こして、周りを見渡す。…日付がわかるような物はないな。体は……右腕に力が入らない?それに、少し視界が暗いような……闇に侵食された影響か?…右手が使えないのは困るが、足は問題なさそうだ。


左腕に何かが…管がついている。…点滴の類か。動きづらいだけだし…抜いてしまうか。さて、体の状態は……うん、あまり鈍っていないな。そう長い間寝ていた訳でも無さそうだ。目の前にあった服…元々着ていたのに似ているな…に着替える。動きやすくて助かる。


病室の外に出る。…人がいないな、というか静かだ。病院だから当たり前か?とりあえず、外に出ようか。


「【星海を越えて(アストラルブリンク)】」


魔術も問題なし。




とりあえず、大天使を倒した…はず、の場所に跳んだ。…ブエルの魔術の所為なのか、辺り一帯がまだ熱を帯びている。…これ、焦げてるんじゃなくて侵食か?…いつになったら消えるんだろうか。


そういえば、私の刀…どこ行った?寝ている間に失くしたか?案外、ここらに落ちてたりしないだろうか。




…あれか?恐らく止めを刺した…であろう場所に、黒い棒?のような物が刺さっている。近づいてよく見てみると……見事に黒い。まあ、私と同じように吞まれたんだ。そりゃあ、ここまで黒く……なんで私より侵食されてるんだ?案外、無機物の方が侵食に弱いのかもな。


まあ、刀として振れるなら問題はない。一度引き抜……けない。そこまで深く刺さっているわけでもないのに、引き抜けない。というかとんでもなく重い。…片手だけじゃ無理か?なら…


「【星座に手を伸ばす(アストルレージ)】」


これで一度格納して……あれ、入らない。無機物なら入るんじゃなかったのか?…まだ手立てはある。


「【拡大(セキ)】」


これで抜けないなら、私一人じゃ無理だ。…左手に力を込める。……少し、動いた。しかも、少し軽くなった?この調子なら……




少しずつ、少しずつだが、黒く染まった刀身の先端が姿を見せ始めた。そろそろ、完全に、抜けそうだ。




抜けた!――と同時に、天地がひっくり返った。どうやら、抜き切った拍子に足元を滑らせたらしい。…あれ、辺りに広がっていた侵食が…消えてる?…しかも、右腕の感覚が、戻った。見てみると、侵食されていた…と思わしき痕こそあるものの、侵食自体は消え去っている。


視界の方も…戻っているな。理由は……刀を抜いたから?…なんで?――考えても仕方ない事か?そうだな。そう思おう。そう思うことにする。兎にも角にも、元の状態に戻ったのは幸いな事だ。


だが…抜いた後も、格納はできない。仕方ないので鞘を取り出して、腰に差す。別に、刀を持ち歩いても大丈夫…だよな?大丈夫じゃないなら…まあ、その時考えるか。




病院に戻ったら、ブエル達が居た。…随分と焦っているようだが、何かあったんだろうか。










「どこ行ってたの渚ちゃん!」


…まあ、よく考えればそうだ。勝手に病室を抜け出したんだから。


「心配してくれてるのはありがたいが、だからといって椅子に縛り付けるのはどうかと思うぞ」


ウァサゴとバルバトスに速攻で捕縛された。…ご丁寧に手が動かない。


「お前逃げるだろ」

「…否定はしない」


余裕があるなら逃げるだろうな。


「ところで…嬢ちゃんの闇の侵食が引いてないかい?」

「…ほんとだ、寝てた時より薄くなってる」

「何かあったのか?」

「……まあ。」


――――――――――(かくかくしかじか)―――――――


「…大体状況はわかった。あのな嬢ちゃん……仮にも病人なんだ、一言相談してくれ。」

「すまない。」


話も終わったので、ウァサゴがナイフで縄を切った。どこから出したんだ?


「そういえばなんだが、ウァサゴって武器とか使えたんだな。」

「あるなら使うぞ。大体投げて放置するから手持ちが無いだけだ。」

「…私が作ってやろうか?切れ(切断)はしないが、切れ(在庫)もしないぞ。」

「じゃあ、今度籠手でも作ってくれ。素手よりかはマシになる。」


…なるほど、打撃系の武器か…私も試してみようか。思いつくのは…棒とかか?





次の日は、次の日は、次の日は……と、忙しなくしていたら…




……気づけば、五日が過ぎていた。私も起きたので、もうここに留まる理由も無い…との事で、もう次の場所へ向かう事にした。


「いつも、この程度で立ち去るのか?」

「ああ。大体一、二週間程度が目安だな。場合によっちゃあ、それ以上居る事もある。」

「…俺があまり此処を好かんからな、少し早めに出てもらった」

「ま、気持ちはわかるわよ。…嫌な思い出があるのは同じだし」


「…嬢ちゃん、別れの挨拶とかしなくていいのか?」

「別に、する相手もいない。」

「……そうか」




「それで、次はどこに行くんだ?」

「セントラルを経由して、ヘイヴンに行ったら…ノリスへ向かうつもりだ。…お前も病み上がりだ、ヘイヴンまでは鉄道で行く。」


鉄道か…景色は……期待しないでおこう。地下を走るらしいし。


「それがな、セントラル付近の峡谷で外は見れるぞ。」

「本当か!」


今から楽しみだ。

多分、新しい事を知るのは好き でもなんかあった時に抵抗できないような事は多分苦手

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ