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松明の脅威の下で

旅は単調なものになっていた。もう3日、いや4日が過ぎていたが、毎日が同じことの繰り返しだった。馬車の揺れ、眠そうな乗客たち、そして道路に舞う埃が全てを茶色に染めていた。


休憩中、イレーネと一緒にオーク肉の串焼きを食べたり、道中で採れた野生の果物で空腹を満たしていた。名前は知らなかったが、能力で評価するとこう表示された。


【ポーレの果実】

レア度:普通

柔らかい皮を持ち、非常にジューシー。自然染料として利用可能。布や皮膚に触れると深紅の染みを残す。




(…染みが残る果物か)


横を見ると、イレーネの頬や唇が真っ赤に染まっていた。こっそりと笑ってしまった。すると彼女は、仕返しのように胸に顔を擦りつけてきた。服に赤い跡が残ったが、構わなかった。


その髪を撫でながら、俺は遠くの景色に視線を向ける。


—「ああ…平和だな。何も起きなくてよかった」


無意識にそう呟いた自分を、直後に呪いたくなった。


言ってしまった。フラグを立ててしまった。


空は橙色に染まり、太陽が沈もうとしていた。空気は徐々に重くなっていく。背筋をぞくりと冷たいものが走る。


そして、見えた。


遠くにゆらゆらと揺れる小さな炎。すぐに消えたが…確かに見えた。


数分後、日が完全に落ちた。


イレーネは俺の膝の上で眠りにつき、他の乗客たちも同様に眠っていった。御者だけが目を開けたまま、どこか遠くを見ていた。


俺は眠れなかった。不自然な沈黙が辺りを支配していた。


音がない。命の気配がない。


ふと視線を上げると、緑色の目がこちらを見ていた。


彼女だ。エルフの少女。


旅の間ずっと口を開かなかったフードの人物。今は、俺と目が合った…ように思えた。すぐに目を閉じたが、その一瞬に確かな感覚があった。


(あの耳…触ってみたいな)


そんな馬鹿な考えが浮かぶほど、俺の神経は張り詰めていた。


そして、それは来た。


松明の火が闇の中から浮かび上がるように現れた。一つ、三つ、八つ、十五。輪のように、俺たちを囲むように。


そして、男の声が夜空を切り裂いた。


—「よぉし!“黒嵐の兄弟団”の出番だ! 抵抗する奴は殺せ! 女どもは好きにしてやれ!」


商人たちは顔を青ざめ、冒険者の若者たちは剣を抜くこともできずに震えた。御者はただ目を伏せ、まるでこれが初めてではないかのように動じなかった。


そのとき、ひとりの商人が笑った。


まるで仮面を外すように、顔を歪ませたその男は…腐った笑みを浮かべていた。


—「クククク…今夜の獲物は上等だ。商人たちは高く売れる。冒険者どもは実験体か玩具にしてやればいい…」


俺たちの馬車に目を向け、さらに続ける。


—「あそこには赤髪の男と桃髪のガキ、それから…あのフードの奴。男か女かは知らんが、使えるなら売れる。見た目がよければ…ふふふ」


拳が震えた。


「編み込みインベントリ…」


俺は小声で呟き、静かに膝の上に石を数個並べていった。


暗闇に紛れれば、気づかれることはない。


…だが、彼女は気づいていた。


フードの人物が立ち上がった。


手には一振りの弓。見たこともない材質、幻想のような輝き。


彼女は矢をつがえずに弦を引いた。


風がうねり、矢が形を成す。


その瞬間、フードが落ちた。


世界が止まったようだった。


彫刻のような完璧な顔立ち。宝石のように輝く緑の瞳。陽光を編んだような黄金の髪。


—「…ちっ。穢れた人間ども。私の同胞に触れていないだろうな?」


盗賊たちと裏切り者の商人は、金でも見つけたかのように目を輝かせた。


—「エルフだ!本物のエルフだ!」


—「売れば一財産になる!」


—「ふふふ…この身体、味わってやる…!」


歪んだ欲望が目に宿る。


そして、彼女は…


弦を引き絞ったまま、言葉もなく、ただ静かに矢を放とうとしていた。


そして、俺はただ見ていた。


これから始まるのは、戦いじゃない。


狩りだった。


そして狩られるのは——“狩人”を名乗る連中だった。

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