洞窟の主 (2)
2匹のゴブリンが同時に飛びかかってきた。
まるで放たれた狂犬のように。
重い骨の棍棒を振り上げ、その重力で相手を押し潰す気だった。
その叫び声は、荒々しく、獣の咆哮だった。
理性など見えない。ただ――飢えと欲望。
—「隙だらけだ……!」
俺は右へ転がるように回避した。
1匹のゴブリンの一撃は外れ、骨の棍棒は地面に当たって土と小石を撒き散らした。
もう1匹は――
運が悪かった。
起き上がると同時に足を踏み込み、俺は手に持つ針を前に突き出した。
針の穴に指を通し、残りの手で自然に角度を制御する。
そのまま――
グサリッ。
針の先端がゴブリンの胸に突き刺さる。
悲鳴はない。出す暇もなかった。
肋骨を砕き、肺を貫き、背中から突き抜ける。
俺は体重をかけて押し出し、ゴブリンの体は地面に崩れ落ちた。
最後の痙攣のあと、動かなくなる。
その瞬間、視界にウィンドウが浮かび上がった。
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《縫合(EX)– 自動評価》
「名前:ゴブリン(♂)
レベル:2
HP:0 / 40
STR:12 / VIT:8 / AGI:14 / INT:4
スキル:
▷ 野蛮な突撃
▷ 部族の咆哮
魔法適性:なし」
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(よし……ステータスが見えれば、こちらも対応できる。)
だが、勝利に浸る暇はなかった。
空気を切る音。
投擲――槍だ。
—「チッ!」
なんとか避けたが、服の袖が裂けた。
視線を飛ばす。
槍を投げたのは、ゴブリンの槍使い。
もう静止してはいなかった。
まるで最初から計算していたかのように、ゆっくりと立ち上がる。
そして倒れた仲間の傍へ歩き、その棍棒を拾い上げた。
また、視界にウィンドウが浮かぶ。
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《縫合(EX)– 自動評価》
「名前:ゴブリン・リーダー(槍)
レベル:3
HP:58 / 58
STR:11 / VIT:10 / AGI:15 / INT:8
スキル:
▷ 役割変更
▷ 本能的分析
▷ 部族の咆哮
魔法適性:???」
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(こいつは……ただの雑魚とは違う。
力は並だが、頭が働く。
戦術を変え、こっちの行動を読み取ろうとしてる……!)
背後にいるイレーネは、大きな石を両手で持っていた。
震えるような瞳――だが、手は緩めない。
動かない。ただ、待っている。
(――一手間違えれば、俺が食われる。
もう一手遅れれば、デザートとして差し出される。)
ゴブリンの棍棒が振り下ろされる。
ギリギリでかわし、距離をとる。
わずかな隙間――それしか動ける空間はなかった。
—「チッ……面倒な連中だ!」
休む暇もない。
針で突き刺すような小さな攻撃しかできず、
ゴブリンの体には、血のにじむ穴がいくつも開いていた。
だが――倒れない。
そして、槍を投げたリーダーは……
冷静に俺の動きを見て、次の一撃の機会を伺っている。
まるで俺の"型"を読むかのように。




