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エピローグ

 翌日、化学部の活動が開かれる。

 俺と綾音が戻ってきたということもあり、今日の人員はフルメンバーだ。

 ──フィオを含めたフルメンバーである。


「あやねん!!大丈夫だった?アイスに酷いことされてない?」


「ほーちゃん、大丈夫だよ〜」


「良かった……。本当に良かった!アイスも……少しは感謝しておくわ」


「あぁ、どいたま」


 俺は適当に感謝を受け流す。

 俺と白餡が結婚、及び交際をしていること、並びに同棲していることは化学部を含め、この学校にいる人物の誰も知らない。

 結婚、及び交際としているのは、単純に籍を入れてないからという理由だ。

 籍を入れると、夫婦別姓が認められていないこの世の中では何かしら不都合があるらしく、高校を卒業してから、籍を入れることを母親からおすすめされた。

 俺は納得し、その通りにしている。というわけだ。


「しっかし、アイスも意外と男前なところがあるんだね。私見直しちゃったかも?」


「はいはい」


「今ならもう1回私に告白してきてもいいんだよ。ワンチャンあるって」


「はいはい」


 俺はふぃーからの冗談も軽く受け流す。

 どうせこいつは俺が告白した所で振るだけだ。相手にする必要も無い。


「もー、なんなのさ?ちょっと私に冷たくない?白餡ちゃんもそう思うよね?」


「……ふぃーちゃん。ちょっと黙ってほしいかな」


「え!?白餡ちゃんまで……」


「綾音、そう露骨に嫌悪感を露わにするのはやめた方が……」


「「「「綾音!?」」」」


 あ、まずい。


「えぇ〜。でも今のは流石にキレちゃうよ〜」


「「「「は???」」」」


 綾音はデレデレの顔で俺と対話を続ける。

 そして、その様子はどう考えても化学部の他の面々からすれば、違和感がマシマシだ。


「あやねん?ちょっとここ数日で何があったのか聞かせてもらってもいい。」


「え〜。何も無いよ〜」


 まっちゃは綾音への尋問を開始する。


「うんうん」


 けいちゃんは笑顔を崩さず、ニコニコで頷いているだけだ。ちょっと怖い。


「アイス、どういうことかな?アイスは私のことが好きなんだよね?」


「……さぁ?」


「……!???!??」


 フィオは俺の様子に激昂している様子だ。

 激昂したいのは数ヶ月前の俺だ。なんなんだお前は。


 とまぁ、こんな感じで、誤魔化せているのか、誤魔化せていないのかよく分からないまま、化学部の日常は進んでいく。

 6月も後半に差し掛かり、もう少しで夏休みだ……!



 ───────────────────────


 ♣︎


 化学部の活動の帰り道、私は1人で下り坂を歩く。


「今日、私の方を1回も見てくれなかった」


 確定だ。予知は『真実』になった。そうとしか考えられない。


『水曜日、白餡はアイスに自殺を救われて結婚する』


 あの日、受けた予言はこうだった。

 まだ、希望はあったんだ。『結婚する』の主語がこの予言だと不明、だから、誰と誰が結婚するのかはまだ分からなかった。

 けれど、さすがに文脈通りだった。


「やっぱり、予知は外れない。こんな有り得なさそうなことでも、外れないんだ」


 こうなってしまった以上、私の想いを伝えることは出来ない。いいや、伝えてはいけない。


 それは、白餡ちゃんに対する冒涜だ。


「そろそろ、明日の天気が分かるかな……っ!」


 何年も予知を受けていると、大体来るタイミングすら予知できてしまう。予知の予知って面白いなぁ、なんて。


『明日の天気は1日中雨』


「うわぁ、最悪だ。皆にLINEで送っとこ、明日は雨……っ!」


 2連続で予知が来た。これは天気予報以外の出来事が予知されたことを意味している。

 そして、悪い出来事じゃないことを常日頃思っているのだが……。


「ははっ、はは、は、」


 私は乾いた笑いを浮かべることしか出来なかった。


「これが、私の運命か……」



『8月6日、夏祭りでトラックに轢かれて死亡する』




11章 未来予知は終わってる

の更新は数ヶ月後となりそうです。お待ちください。

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