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夜が更け、月の光が神社に降り注ぐ頃、僕とあかねは再び神社に戻った。神社の境内は静まり返り、月明かりだけが周囲を照らしていた。僕たちは石碑の前に立ち、巻物に書かれていた通りに祈りを捧げることにした。
「これで、石碑の謎が解けるといいんだけど。」僕は心の中で祈りながら、月の光に照らされた石碑を見つめた。
月の光が石碑を淡く照らす中、僕たちは静かに祈りを続けた。月明かりの下での祈りが、石碑の謎を解く手助けになることを願いながら、その時が来るのを待った。
しばらくすると、何も変わらないまま時間が過ぎていった。月の光が神社の境内に降り注ぎ、石碑を包み込むように輝いていたが、石碑には特に異常は見られなかった。
「もう少し待ってみようか。」僕はあかねに提案した。
あかねは頷き、「そうだね、焦らずにじっくり待ってみよう。」と答えた。
その後も静かに待ち続けていると、突然、石碑の表面が微かに光り始めた。光はほんのりとした輝きで、まるで何かが動き始めたかのように感じられた。
「見て!石碑が…!」あかねが驚いた様子で指摘した。
僕たちは石碑に近づき、その変化を見守った。石碑の表面には、少しずつ新たな文字が浮かび上がってきた。月明かりの中で、その文字は鮮やかに現れ、徐々に全貌が見えてきた。
「『ここに眠る者が…』と書かれている部分が見えるね。」あかねが興奮気味に言った。
僕は慎重に文字を読み取りながら続けた。「『ここに眠る者が目覚めるとき、真実は明らかとなり、秘められた力が解放される』ということが書かれている。」
その瞬間、石碑から微かな振動を感じた。石碑の周りの空気が変わり、何かが解放される予感がした。
「これが、何かの始まりなのかもしれないね。」僕はつぶやいた。
石碑の前での祈りが終わると、再び静寂が戻った。石碑の光も収まり、普通の石碑の姿に戻っていた。しかし、その光景からは、何か特別なことが起こったことを示唆しているように感じられた。
「今日はこれで帰ろうか。」僕はあかねに提案した。
あかねも頷き、「うん、また後日調査を続けよう。」と応じた。
帰り道、突然僕の携帯電話が鳴った。電話番号は見覚えのないもので、留守番電話には知らない声のメッセージが残されていた。
「はじめまして。私は、あなたたちが石碑の調査を行っていることを聞きました。おそらく、新たな手がかりを得るためには、さらに詳しい情報が必要です。もしよろしければ、再度連絡をいただければと思います。」という内容だった。
そのメッセージを聞いた僕は、謎の男が言っていた「満月」の意味が気になり始めた。何か深い関わりがあるのかもしれないと考えながら、僕とあかねは次のステップを決める必要があった。
「この電話の主も何か知っているのかもしれないね。」あかねが言った。
「うん、連絡を取ってみよう。もしかしたら、これが新たな手がかりになるかもしれない。」僕は決意を込めて答えた。
そして、僕たちはその後、メッセージの主に連絡を取るための準備を始めた。石碑の謎を解明するためには、さらに多くの情報と手がかりが必要だと感じていたからだ。