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数日後、僕と立花あかねは石碑の謎を解明するため、地域の歴史家に話を聞くことにした。古い文献や地元の伝承が手がかりになるかもしれないと考えたからだ。


歴史家の家は町外れの古びた家で、訪れると中には様々な歴史的資料が所狭しと並んでいた。僕たちは歴史家に石碑の写真を見せ、説明を求めた。


「これは興味深いですね。」歴史家は写真をじっと見つめながら言った。「こういった石碑は、古い宗教儀式や伝説に関連していることがあります。しかし、これだけの情報では特定するのは難しいです。」


「それでは、何か特定の文献や記録で調べるべきものはありますか?」僕は尋ねた。


歴史家は考え込みながら答えた。「古い神社や石碑に関する記録は、地方の図書館やアーカイブに残っていることが多いです。特に、その地域の伝承や民間信仰に関する資料が有力です。」


そのアドバイスを受け、僕たちは地域の図書館へ向かうことにした。図書館には古い書物や地域に関する資料が豊富に揃っており、調査にはうってつけの場所だった。


その日の夕方、図書館で古い文献を調べている最中に、見覚えのある男に出くわした。彼は以前、廃墟の近くで見かけた謎の男だった。彼はその場で静かに本を読んでおり、僕の姿に気づいた様子もなかった。


「あいつ、一体ここで何をしているんだ・・・?」


僕は慎重に彼に近づき、反応を観察した。すると、男はこちらに気づくと、穏やかな表情を浮かべて立ち上がり、僕に向かって歩み寄ってきた。


「また会いましたね。」彼は軽く微笑みながら言った。「何かお手伝いできることがあれば、おっしゃってください。」


「まさか、また出会うとは思わなかった。しかし、いい機会だ。丘の上にある神社の石碑について知っていることはないか。」僕は驚きながらも冷静に返答した。


男は少し考え込み、しばらく黙ってから言った。「石碑ですか…それについては私も詳しくはありませんが、その神社には昔から伝わる言い伝えがあるかもしれません。古い文献を調べるのは良い考えですね。」


「その神社について、何か知っていることはありますか?」あかねが興味津々に尋ねた。


男は首を振りながら言った。「残念ながら、私は何も知りません。そういえば、もうすぐ満月の日が訪れますね。」


「満月?それが一体何の関係があるんだ。」結局何もわからないまま、僕たちは改めて調査することにした。


数日後、図書館での調査を終えた僕と立花あかねは、得られた情報を基に再び神社を訪れることにした。歴史家が言っていた通り、古い文献や伝承には神社や石碑に関する重要な手がかりが隠されている可能性があると感じたからだ。


丘の上にある神社に到着すると、僕たちはまず、再度石碑の周りを徹底的に調査することにした。先日、石碑の表面を擦った際にわずかに文字が浮かび上がったが、それ以上の詳細はわからなかった。今日は、より慎重に文字を読み取ろうと考えていた。


「これが、先日よりも少し見やすくなっている気がする。」あかねは言いながら、再度石碑に近づいた。


僕も石碑に近づき、あかねが使っていたブラシで表面を軽く擦ってみることにした。すると、以前よりも少しだけ文字が浮かび上がってきた。


「この文字、もう少し読み取れるかも。」あかねが言いながら、懐中電灯で石碑に光を当てた。光の加減で文字がはっきりと浮かび上がると、僕はそれを注意深く見つめた。


「『ここに眠る者、あらゆる願いを受け入れ、時の流れを超えて、真実を明らかにせよ』という部分はそのままだけど…この下の部分に、小さな文字が追加されているみたいだ。」僕はつぶやいた。


あかねが興味津々に文字を見つめた。「それは何て書いてあるの?」


僕は文字をじっくりと読み取ろうとしたが、部分的にかすれているため、完全には読めなかった。「『…受け入れし者の…』と続いている部分がある。でも、それ以上はわからない。」


その時、ふと僕は神社の周囲に目を向けた。神社の境内には、他にも古い石像や祠が散らばっている。これらも調査する価値があると感じた。


「神社の他の部分も調べてみよう。」僕は提案した。


あかねは同意し、僕たちは神社の境内をくまなく調査し始めた。しばらくして、神社の奥の方で小さな祠を見つけた。祠の扉を開けると、中には古びた巻物が置かれていた。


「これ、何だろう?」あかねは巻物を取り出して、慎重に広げた。


巻物には古い文字で書かれた詩が記されており、その内容は神社の神話や伝承に関するものであった。その中には、「石碑の謎を解くためには、月の光の下で祈りを捧げることが必要」と書かれていた。


「月の光の下で祈りを捧げる…?」僕はその文を読みながら、何かが見えてくるような気がした。「もしかしたら、石碑の謎を解くためには、特定の条件が揃わなければならないのかもしれない。」


あかねもその意味を考えながら、「月夜にここに戻ってきて、石碑に向かって何かをする必要があるのかもしれないね。」と意見を述べた。


その日の調査を終え、僕たちは月夜に再び神社を訪れることを決めた。石碑の謎を解明するためには、月の光と祈りが重要な要素になると感じたからだ。



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