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小鳥遊の遺体が発見された場所についての新たな情報を得た僕は、その場所を再度訪れることに決めた。そこには不穏な噂が立っていたというが、詳細は不明だった。僕はその噂の真相を確かめるため、そして小鳥遊の謎を解明するために現地に向かうことにした。
現場に到着すると、その場所は思ったよりも荒れており、人の気配が感じられないような寂しい場所だった。古びた建物や廃墟が点在し、周囲には長い間誰も手を入れていないような荒れ果てた風景が広がっていた。普段の生活では絶対に足を踏み入れたくないような場所だ。
僕はこの場所で何か手掛かりが見つかることを期待しながら、慎重に歩き始めた。周囲をよく観察し、かすかな痕跡を探していたが、特に目立った手掛かりは見つからなかった。しかし、次第に何かの気配を感じるようになり、心の中に不安が募ってきた。
その時、背後から突然声をかけられた。「こんな場所に来るなんて、珍しいね。」
驚いて振り向くと、そこには一人の男が立っていた。年齢は30代後半くらいで、どこか影のある雰囲気を持つ人物だった。見知らぬ顔に僕は一瞬たじろいだが、何かこの人が知っているのではないかという直感が働いた。
「あなたは?」と僕は尋ねた。
男はにこりともせず、冷淡な口調で答えた。「僕はただの通りすがりさ。君がここに来るのはどうしてか、興味があるだけさ。」
「小鳥遊小鳥について調べているんだ。君が知っていることがあれば教えてほしい。」
男は一瞬考え込み、やがて言った。「彼女のことはあまり詳しくは知らないけど、この場所には関係があるかもしれないね。でも、何を知りたいのかによるよ。」
「彼女がどうしてここに来たのか、そしてなぜこんな形で遺体が発見されたのかを知りたい。」
男は黙り込んだまましばらく考えた後、少し表情が和らいだように見えた。「君がそこまで知りたいなら、少しだけ話そう。だけど、ここでの話はどこまで本当か、君の判断で受け取ってほしい。」
僕はうなずき、男が話し始めるのを待った。
「実はね、この辺りには昔から変わった噂があるんだ。古い家や建物があるけれど、そこには過去に何かしらの悪い出来事があったという話が伝わっている。それに、この場所に近づくと、不思議なことが起こると言われている。」
「具体的にどんなことが?」
「例えば、失踪者や行方不明者が出ることがあるらしい。それに、ここで見つかる遺体は、時折奇妙な状態で発見されることが多い。君の友人も、もしかすると何かに巻き込まれたのかもしれない。」
その話を聞いて、僕は背筋が寒くなった。ここに来るのが正しいのか、それともただの迷信なのか、自分でもわからなかったが、男の言葉には真実味があるように思えた。
「その噂の真相を知るために、どこを探せばいいんだ?」と僕は問いかけた。
男は少し黙ってから、「この場所の近くには廃墟のような建物がいくつかあるけど、そこが怪しいかもしれない。少し足を運んでみるといいかもしれないよ。」と言った。
その後、男は足早に去っていった。僕はその言葉を胸に、廃墟の方へと向かうことに決めた。何か手掛かりが見つかるかもしれない、そして小鳥遊の謎を解明するためには、ここでの情報が必要だと思った。
廃墟に到着すると、建物は相当古びており、入り口は壊れているものの、内部にはまだ入ることができた。中に入ると、ほこりが舞い、古い家具や物品が散乱していた。僕は注意深く探索を始めた。
その時、突然背後から物音がした。振り向くと、誰かが近づいてくる気配が感じられた。僕は慎重に息をひそめ、誰が来るのかを確かめようとした。