2
日々が過ぎる中で、僕と小鳥遊の関係はますます深まっていった。放課後、僕たちはよく一緒に帰るようになり、小鳥遊との会話が日常の楽しみとなっていた。
ある日、僕は自分の未来について不安を感じていた。進学先や将来の目標について考えると、どうしても心配が募ってしまった。
その日の放課後、僕は小鳥遊と一緒に帰る途中でその不安を打ち明けた。
「小鳥遊、最近、未来のことで不安なんだ。進学先とか将来のことを考えると、どうしても心配になってしまう。」
小鳥遊はしばらく黙って考えた後、静かに言った。「未来のことを考えるのは、確かに不安なことも多いよね。でも、その不安を乗り越えるためには、自分の心の声を信じることが大事だと思う。」
「心の声を信じるって、どういうこと?」
小鳥遊は僕を見つめながら、優しく答えた。「自分が本当にやりたいこと、心から望んでいることを大切にすることだよ。それを信じて進んでいけば、きっと未来も変わってくるはずだよ。」
その言葉を聞いて、僕は少し気持ちが軽くなった。小鳥遊の言葉に背中を押されるような気がして、自分の心の声に耳を傾ける勇気が湧いてきた。
そこからの僕は必死だった。嫌いだった勉強も不思議と嫌ではなくなって、定期考査の度に順位を伸ばしていった。勉強だけでなく、他の活動にも一生懸命取り組むようになり、次第に自信を持てるようになった。
受験は無事第一志望校の大学に合格し、ついに卒業の季節がやってきた。桜が満開になり、校庭は淡いピンク色に染まっていた。
卒業式前日、僕は小鳥遊を「花見に行かない?」と誘った。
二つ返事で了承してくれた君と花見に行くことになった。桜の花びらはとても美しく、小鳥遊と出会ってから随分の月日が経過したことを実感した。
そして、僕は小鳥遊に告白をした。
「小鳥遊のことが好きです。僕と付き合ってください。」
告白の言葉はシンプルでいい。純粋な気持ちを伝えることが大切だと思ってこれだけ言った。
すると小鳥遊は目に涙を浮かべてただ一言「ごめん」と告げた。
その後、気まずい空気の中で花見を終えた僕たちは一緒に帰った。
「じゃあ、また明日ね。」僕はそう言って、足早に彼女と別れることにした。
そして次の日、卒業式当日、小鳥遊は参加しなかった。
心配になった僕は「大丈夫?」というメッセージを送ったが、そのメッセージに既読という文字が付くことはなかった。
その日から小鳥遊はいなくなってしまったのだ。