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Episode.2 【最後の恋】は十人十色

一度の人生で経験できる出来事は一人一人に大きな個人差がある。今見えている世界を広げてくれるのが読書という行為。個人で読み終えた作品についての感想や紹介を不定期に綴っていきます。

第二回目は『最後の恋』男女作家のアンソロジーです。

女性作家、男性作家にそれぞれ分かれて綴られた恋愛アンソロジー。二冊分ある。

物語の登場人物に共通する点は「お互いにこの地球上に生きている(いた)」という一点のみ。様々な立場、角度から編み込まれていく『最後の恋』は、果たして最後にして最高のものなのか、それとも──


最後の恋。そう聞いて、人はそれぞれどのような恋を思い浮かべるのだろうか。最後というからには、人生で本当に本当の最後、それ以降に「恋」というイベントは発生しない。そういう意味での『最後の恋』。

もしくは、恋は何度も経験したしこれからもするつもりだけれど、最後の恋と聞いて思い浮かべるのはあの恋だった──そういう意味での 『最後の恋』。

それが最高のものであるのか、それともそうでないものなのか。恋という名に相応しい甘くて切なくてきらきらしているもの、反対にどろどろとしていて思い出したくもないけれど、いつまでも心の奥底にこびりついているもの。十人十色、それこそ百人いれば百通り。人によって記憶も経験も様々だろう。


そんな『最後の恋』という一つの大きなテーマに沿って、作家が思い思いの作品を書き、まとめたものがこのアンソロジーである。以前から手もとにあり、なかなか読み始めるタイミングを掴めず──いわゆる積読状態だったが、ようやく読み終えることができた。


個人的に好きな作品、女性作家版では『わたしは鏡』『キープ』『おかえりなさい』の三篇。どの作品も胸に響いたが、特に最後の締めくくりが印象的だった。特に『私は鏡』はこの三篇の中でも一等に好きだ。物語の中に『わたしは鏡』という書き手の不明な小説が登場する。美容院の鏡(施術を終えたあと、後ろ姿を確認する際に持ち出される方の鏡だ)の視点で描かれたもので、これもまた胸をつくような内容。その作者を探ろうとする主人公。だがその先で待っていた存在とは──

ネタバレになるので詳細は省くが、作者の正体を推測しながら読み進めていくちょっとしたミステリー感に加え、結末で明かされる真実に胸がきゅうと切なく疼いた。


一方、男性版で気に入った作品は、伊坂幸太郎著『僕の舟』と朝井リョウ著『水曜日の階段はきれい』の二編。どちらも始まりと結末がきれいに結ばれていて、読後感もよく、もう一度読みたいと思える短編だった。

後者『水曜日の階段はきれい』は青春特有の『恋』の切なさと美しさが上手に折り重なっていて、男女作家の作品の中での結末の結び方は断トツで好きだ。主人公の男子学生と女子学生、それぞれが持つ夢に向かって自分の道を選びとっていく。歩む道は違えど、きっとまたどこかでその道は交差する。読後に漂う切なさと爽やかさとが相まって、この先の登場人物たちの未来に思いを馳せては胸が希望に満ちていく。そのような作品だった。


これは個人的な感想だが、全体的な印象として、男性作家は論理的な構成をしている作品が多かったように思う。人間の身体的な性別としての男性脳、女性脳という言葉がある。詳しいわけではないが、男性脳は論理的な思考をする特徴があるということを耳にしたことがある。無論男女問わず作風に個人差はあれど、やはりそういう面に注目して読んでみるもの面白いのかもしれない。


時間をおいて再読したら、お気に入りは変化しているだろうか。そのような楽しみを抱えつつ、数年後にこの本を手にとったときの自分に次の感想を託したい。

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