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5-11 らりご・りらご

《そういえばさ》


 ラリゴ・リラゴとの戦いの最中、(クロ)はとあることが気になっていた。


《ランウ・タンオはラリゴ・リラゴに変えられちゃったんだよね?》

《ええ、彼女の話が真実なら……ですが、おそらく間違いないでしょう》

《それがどうかした?》

《ランウ・タンオは昔の魔王四天王で勇者じゃなきゃ倒せない……そんな話だったよね? だったら、今のラリゴ・リラゴはどうなのかな? ラリゴ・リラゴも勇者じゃなきゃ倒せないのか、それとももうランウ・タンオとは関係なくなってるから勇者じゃなくても倒せるのか……どうなんだろう?》

《それは……確かにどうなんだろう?》


 (クロ)が気になったのはランウ・タンオとラリゴ・リラゴがどこまで同一の存在なのかということ。

 かつてのランウ・タンオは魔王の力を受けた影響で【勇者】のスキルでないと魂までは砕けないという特性があった。

 では、ラリゴ・リラゴはどうなのか。ラリゴ・リラゴにもその特性が引き継がれているのか、あるいは全く別の存在となっているのか。


《思えば……呪いと幻術、木と風の魔法をメインに戦ってたランウ・タンオと物理攻撃重視でたまに土の魔法を使うラリゴ・リラゴ……戦い方もまるで違う。魔力は確かに似てるけど本当に同じ奴なのかも疑わしいレベルだよ》

《ぶっちゃけ呪いと幻術使わないのは助かるわよね。あのパワーに呪いや幻術まであったら厄介すぎるわ》

《というか、ラリゴ・リラゴは本当に呪いや幻術を使わないのかな~?》

《今んとこ使ってないからなあ。使えるんならさっさと使っとるやろ》

《それはそうですわね。そんな強力な技があるのに使わない意味はありませんわ》

《……思い込みは禁物だ。あれが奴の全てだとも思えないからな》


 改造されたとはいえランウ・タンオとラリゴ・リラゴに共通点が無さすぎることが気になったフィオたち。

 これまで呪いも幻術も使わずただただ力任せの攻撃しかしてこないラリゴ・リラゴ。もし、ランウ・タンオのように搦め手の攻撃もしてきているならフィオたちはとっくに全滅しているだろう。


「……タルト・タタン。ちょっとしつもん」

「ん? 何じゃ? サービスはもうおしまいじゃと言ったじゃろう」


 つい先ほどはタルト・タタンへ何も質問しなかった(ミドリ)ではあったが、戦いながら他のフィオたちの話を聞いて、木の上で高みの見物をしているタルト・タタンに問いかける。


「……ひとつだけ」

「……まあ、いいじゃろ。で、何が聞きたいんじゃ?」

「……あれは……どこまで(・・・・)ランウ・タンオ(・・・・・・・)……なの?」


 (ミドリ)がはっきりさせておきたかったのはランウ・タンオとラリゴ・リラゴのこと。

 あまりに共通点が無さすぎるその両者がどこまで同一の存在なのかということ。


「ほう? それにはまずはわしの魔法の説明をする必要があるのう」


 タルト・タタンは(ミドリ)の問いかけに対し、敵であるにも関わらずあっさりと答えるつもりであった。


「例えば……」


 タルト・タタンはキョロキョロと周囲を見渡し、近くにいた小さな森鼠を捕まえる。 

 

「わしの改造魔法は対象の肉体、魔力、魔法、技、スキルなんかを自在に造り変える」


 そう言いながら、鼠に魔力を込めるタルト・タタン。すると鼠の姿が瞬く間に変化し、白い猫の姿となり大きさまで猫と同じ程度ほどに変わってしまう。


「……やっぱり……ラリゴ・リラゴはもうランウ・タンオとはべつもの……ってこと?」

「いいや、そうとも言いきれんぞ? わしの魔法でも魂まではいじれない(・・・・・・・・・)。こんな成りになってもこの猫の魂は鼠のまま、ラリゴ・リラゴの魂もランウ・タンオとやらのままじゃよ。もっとも……魂が同じと言っても肉体や魔力を無理やり改造するといずれ魂は変質する。どう変わるかはわしにもわからんがな」


 タルト・タタンはけたけた笑いながら改造してみせた鼠だった猫を森に放つ。


「つまり……ラリゴ・リラゴは……ゆうしゃじゃなくてもたおせる?」

「勇者? ああ、一部の魔族が持つ魔王の完全耐性スキルの劣化コピーのことか。残念じゃが、あのスキルは魂に宿るタイプのスキルじゃ。わしでもどうにもならん」

「……それがきけただけでもよかった。ありがとう……タルト・タタン」


 必要な情報が聞けたことで、(ミドリ)は律儀にタルト・タタンに礼を言う。

 ラリゴ・リラゴは身体や魔力などは別物に改造されているが、魂と魔王に与えられた特殊耐性スキルはランウ・タンオのままであるということ。

 つまり、やはりラリゴ・リラゴも【勇者】のスキルを持つクゥにしか本当の意味では倒せなかった。


《結局、クゥが頼みの綱ってことかー》

《しかし、今のクゥさんの実力ではあと一撃で倒せるほどにまでラリゴ・リラゴを弱らせる必要があります》

《やっぱりあたしが出ようか? あたしの火力なら!》

「だいじょうぶ……フィオもちょっとほんきをだす……よ。ねこちゃんがとどめをさせるように……ね」


 (ミドリ)(アカ)に代わることはせず、そのままラリゴ・リラゴの相手をすることにし、今戦っているぬいぐるみ(イリス・メモリア)を元の玉へと戻す。

 そして、ラリゴ・リラゴを倒すための新しい木人形(ウッドゴーレム)を生み出す魔法を唱えるのであった。

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