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4-14 決勝戦ですわ

「さあ、いよいよ決勝戦です!」


 そしてやってきた決勝戦。


「まずは女神の従者! フィオ・フローライト選手!」

「まあ、そうなるとは思いましたけど」

《あっけなかったよねー》

「対するは双剣の勇者! カミーユ選手!」


 フィオの対戦相手となったのはもちろん優勝候補である勇者カミーユであった。

 なお、準決勝第二試合は不戦勝で勝ち上がったディバン・ナシーという名の男がカミーユにあっさり敗北していた。


「手加減はいたしませんわよ?」

「ええ、必要ありません。あなたに勝てないようではボルティアスの魔族砦の解放も出来ませんからね」

「ボルティアス……あなたにそれが出来るかどうか、わたくしが確かめてさしあげますわっ!!」


 ボルティアスの名を聞き、依然としてやる気の出た()は扇を構える。


「イスティル武闘会決勝戦……開始ですっ!!」


 リースの合図で最後の(ゴング)が鳴らされ、決勝戦が開始される。


「双天華!!」


 いきなり繰り出されたのはカミーユの必殺技である双天華。炎と氷の二振りの刃から放たれる斬撃を()は扇を用いて何とか凌ぐ。


「あなた、今までの試合は本気じゃありませんでしたわね?」

「当然です。殺したら負けというルールでしたから、相手の実力に合わせて戦ってましたよ」

「……ま、確かにそれはそうですわね」


 カミーユが今まで戦ってきた対戦相手はお世辞にも強いとは言い切れない相手ばかりであった。

 だが、今のカミーユは本気であり、それだけフィオ・フローライトの力を認めていた。


「ではわたくしも魔法マシマシ、体術マシマシの激しいダンスを踊らせていただきますわね!」


 ()もカミーユの実力を認め、ダンスのテンポを更に高めていく。


「サンダー・ボルト!!」


 雷系中級呪文サンダー・ボルト。無数の雷撃を発生させる魔法を発動し、闘技場の舞台上に落雷が走る。


「わっ!」

「リースさんでしたっけ? 司会のあなたも舞台から降りた方がよろしくってよ!」

「そ、そうしますー!」


 ()に促され、司会のリースは慌てて舞台から離れる。それを確認した()は再度サンダー・ボルトを展開させる。


「確かにすごい魔法ですが、当たらなければ!」

「かーらーのー!」


 もちろんサンダー・ボルトだけではない。雷撃を縫うように()はダンスを続ける。雷撃魔法と体術の組み合わせ。


「雷神の舞・朱雀ですわ!!」


 【雷神の舞・朱雀】は雷神の舞にサンダー・ボルトを加えた派生技の一つ。相手の動きを制限しつつ、雷撃魔法と体術で同時に攻撃する()の踊りの中でも特に難易度の高いものであった。


「炎天華! 氷天華!」


 普通の相手であればサンダー・ボルトと体術のどちらかの対応で手一杯であるのだが、カミーユは違った。

 最強の勇者というのは大袈裟な呼称ではない。

 カミーユは右手の炎の剣、左手の氷の剣でそれぞれ魔法と体術を相手に凌いでいた。それは()に匹敵する動体視力と魔力感知、戦いの勘であった。


《てか、この人強すぎじゃない!?》

《これが異世界からの転生者……それも勇者と呼ばれる者の真の実力です。彼には【勇者】スキルに加え【女神の加護】のスキルもありますからね》

《悔しいけど勇者を名乗るっていうならこのくらいは強くなくちゃね。ま、かつてのあたしには劣るけど!》

《……勇者か。確かに強いが、(アカ)ほど強くても魔王には勝てなかったからな》

《あたしは魔王自体には負けてないし!》

(アカ)ちゃんのは自爆だもんね~》

《自爆じゃない!》


 カミーユの強さの秘密はそのスキルにもあった。【勇者】【女神の加護】という強力な二つのスキルを有していること。もちろんそれだけではここまでの強さは得られない。


「わたくしの朱雀にここまで対応したのはあなたが初めてですわ」

「光栄です」

「あなたも相当な修羅場をくぐってきたようですわね」

「まあ、それなりに」


 カミーユがこの世界に召喚されて数年。わずか数年ではあるが魔物や魔族相手に戦った経験値は他の転生者を遥かに凌駕する。

 その戦いの経験こそがもう一つのカミーユの強さの秘密であった。


「確かにあなたはお強いですわ。ですが、経験でいうならフィオ・フローライト(わたくしたち)には勝てませんわよ?」


 数百年を生きる女神の従者。フィオ・フローライトもこれまでの長き人生で数多くの修羅場を経験している。


 ()でいうと120年前。


 ボルティアスの一件が最大の修羅場であっただろう。


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