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4-12 カミーユですわ

「お疲れ様です、フィオさん」

「ん?」


 試合を終え、次の試合を見ようと舞台の傍らへと移動したフィオに声をかける人物がいた。


《わっ、すごいイケメン!》

「カミーユ……久々ですわね」

《あ、この人が噂のカミーユ?》

《おんなのなまえなのにおとこなんだよ》

《へえ、確かにイケメンだなあ》


 フィオに声をかけたのはヨシュア王子に匹敵するほどの金髪長身のイケメンであった。

 カミーユ。数年前に女神ハルコリウスによりこの世界に召喚された勇者候補。その中でも最も強く、【勇者】のスキルにも目覚めた現在最も魔王討伐に近いとされている勇者である。


「私がこの世界に転生した時以来ですね」

「そうですわね。あなたの噂はよく聞いていますわよ。【勇者】のスキルも覚醒してこれからボルティアスの魔族砦を攻略するって話ですけど、あなたはどうしてこのような大会に?」

「私としても一刻も早く砦攻略に行きたいのですが、ヨシュア様に懇願されまして。人々の笑顔のために武闘会に参加してくれないかと」

「あー、なるほど……あの王子らしいですわね」


 ヨシュアが武闘会を開いた真の目的はイスティルの国民のためであった。こんな時代だからこそ、娯楽が必要だと思い武闘会を開催してフィオやカミーユといった魔王や魔族にも対抗しうる強者を人々の希望として招いたのである。


《あの王子、ただの変態じゃなかったんだ》

《まあ、変態ではあるけど普段は真面目な王子様だからね。ああなるのは(ムラサキ)が関わってる時だけだし》

《それやと、うちが悪いみたいやないか!》

《……ましょうのおんな》

《やめーや!》


「それに……私はフィオさんと戦えるのも楽しみなんですよ」

「それは光栄ですわね。でも、わたくしとあなたが戦えるのは決勝戦。どちらも最後まで勝ち抜かなくては無理ですわよ?」

「ええ、問題ありません。私は負けませんし、フィオさんも勝つでしょう?」

「確かに……その可能性は高いですけど、はっきり言いますのね」

「事実ですから」


 カミーユは自らとそしてフィオの勝利を確信しており、自信たっぷりに告げるのであった。


《すごい自信家だね》

《それに見合う実力があるからな》

《カミーユちゃんは最強の勇者だもんね~》

《最強の勇者って……あたしの前でよくそんなこと言えるわね》

《……そもそも(アカ)はゆうしゃじゃい》

《あたしは勇者よっ!》

《まあまあ、ともかくカミーユの実力は本物だよ》


「──勝者! イスティル仮面選手です!!」

「おっと、すみません。次は私の出番なのでもう行きますね」


 カミーユと話しているうちに二回戦第二試合は終了していた。モーブ兄弟の弟の方、ジミー・モーブに勝利したのはイスティル仮面ことヨシュアであった。つまり次の準決勝で()と戦うのはイスティル仮面ということになる。


 そして、次の第三試合はカミーユの出番であるため、カミーユは()にペコリと頭を下げ、舞台の方へと向かっていく。


《結局モーブ兄弟見れなかったね》

「そんなの別に見なくていいですわよ」

《それより問題なのは次の相手だ》

《あー、イスティル仮面》

《ヨシュア王子とか絶対強いじゃんよ》

《あのアホはうちが直接ぶん殴りたいんやけど……()うちの代わりに頼んだで!》

「ええ、思う存分やらせてもらいますわ」


 フィオたちがそんな話をしているうちに第三試合が始まろうとしていた。


「それでは二回戦第三試合です! 優勝候補筆頭、双剣の勇者! カミーユ選手! 対するは剛剣使いの暗黒剣士! カーマ・セーイーヌ選手!」


 カミーユのクラスは双剣士。両手に剣を持って戦う剣士系のクラスである。

 対するカーマという男は同じく剣士系のクラスである暗黒剣士。漆黒の全身鎧に身を包み、闇属性の魔法も得意としていた。

 くしくも二回戦第三試合は剣士同士の対決となっていた。


「試合開始です!!」

「闇よ、我が剣に集え! ダークネス・ブレード!」

「火よ、氷よ、我が剣に集え! デュアル・ブレード!」


 試合が始まると同時に互いに剣にカーマは闇の魔力を、カミーユは火と氷の魔力をと、それぞれの魔力を宿らせ、魔法剣へと変化させる。


《火と氷!?》

「カミーユは二属性の魔力持ちなんですのよ」

《騎士団のピアみたいに三属性ってほどじゃないけど、二属性でも結構レアなんだよ》

《奴は火と氷、相反する二つの属性を使いこなすと聞く》

《へえ、(アカ)(アイ)のいいとこ取りみたいな感じかー》

《ま、まあ? 火の魔法も剣技もあたしほどじゃないけどね?》

《……少なくとも双剣使いとしては(クロ)よりは遥かに勝るだろうな》


 何にせよフィオたちによるカミーユの評価はかなり高かった。

 現にそんなことを話している間もカーマの重い剣を難なくいなし、炎と氷の二つの刃をカーマの黒い鎧へと叩き込んでいた。


炎天華(えんてんか)! 氷天華(ひょうてんか)!」

「ぐわっ!!」


 炎の剣と氷の剣はカーマの硬い鎧をあっさりと砕き、カミーユは更なる一撃を加えていく。


双天華(そうてんか)!!」


 同時に放たれた剣撃により、カーマの巨体は地に伏せる。


「そこまでっ! カーマ選手、戦闘不能! カミーユ選手の勝利です!!」


 優勝候補のカミーユは順当に勝ち抜き、準決勝への切符を手にするのであった。



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