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4-8 イスティル仮面ですわ

「──決まりましたっ!! モーブ兄弟による兄弟対決を制したのはなんと! 弟のジミー・モーブ選手です!!」


 ()がロコと話している間に第三試合は終わっていた。トミー・モーブとジミー・モーブという兄弟による兄弟対決があったようで会場は大いに盛り上がっていた。


《モーブ兄弟戦見たかったな》

《そうか?》

《もう第四試合も始まるみたいだから、そっちはちゃんと見ようか》


「それでは一回戦第四試合!」


 まず舞台に出てきたのは黒頭巾、黒装束の小柄な男。


「毒蠍の異名を持つ暗殺者(アサシン)スティンガー・ニードリオ選手! あー、ニードリオ選手暗殺者だからって相手を殺しちゃダメですからねー?」

「クク……わかっている。死ぬ前に解毒はしてやるさ」

「大丈夫かなあ……まあいいや。続いては今大会のダークホース! ヨシュ……じゃなかった、麗しの仮面戦士! イスティル仮面選手です!!」


 現れたのは白い礼装、目を隠すタイプの白い仮面に身を包んだ銀髪の男性だった。


《あれが噂のイスティル仮面?》

《あー、まあ、うん》

「ネタバラシをすればあれはヨシュア王子ですわ」

《ええっ!? あの人が!?》


 イスティル仮面の正体はヨシュア・ソル・イスティル。イスティル王国の第一王子にして次期国王。この武闘会の主催者でもあり、フィオたちを大会に招待した張本人でもある。


《でも何で王子様が大会に!?》

《あの王子、面白いことには自分から首を突っ込むタイプじゃん。一応、王子だとバレないように仮面で顔は隠してるけど》

《ばればれ》

《そうなんだ……それであの王子様って強いの?》

《それは見ていればわかる》


 そして始まる第四試合。ヨシュア王子ことイスティル仮面と暗殺者スティンガー。

 スティンガーは両手に針のような細い短剣を構え、対するイスティル仮面は普通の長剣を構えていた。おそらく暗殺者であるスティンガーの短剣には毒が仕込まれており、一太刀でも浴びてしまった時点で彼の勝利となるだろう。


「なかなかに物騒なものを使いますね」

「悪いな。俺は暗殺者(アサシン)なんでな。恨むならこの俺などを大会に招待した王子に言うんだな」

「恨みはしませんよ。その王子のお陰で私もあなたのような強者をお相手出来るのですからね」


「スティンガー選手の猛攻! イスティル仮面選手は防戦一方だー!!」


 リースが実況しているように、試合はスティンガー優勢で進んでいるようであった。


《うわあ、大丈夫かなあ!》

《心配あらへん。あのアホ王子、戦いを楽しんどる》

《ヨシュア王子ってそういうタイプなの?》

《楽しいこと大好き王子だからね。だから、何事も全力なんだよ》


 防戦一方に見えるが、イスティル仮面はスティンガーの攻撃を全て防いでおり、逆に余裕にすら見えた。


「ちなみにその毒……どの程度のものなんだい?」

「安心しろ。致死性の毒ではない。だが、一度受ければ一週間はまともに動けないがな」

「それはそれは」


 律儀にも武闘会用に毒の強さを調整しているとは言え、やはり毒を食らえばただではすまないことは確実。

 それを聞いたイスティル仮面は反攻に打って出る。


「早めになんとかしないといけまけんね!」


 先ほどまで防戦一方であったイスティル仮面の剣は速さを増し、いつの間にか逆にスティンガーの方が守りに回っていた。


「く、速い……!」

「当然です。このくらいは動けなくては愛しのの(ムラサキ)さんの速さには追い付けませんからね」


 イスティル仮面ことヨシュアの魔力属性は(ムラサキ)と同じく風である。(ムラサキ)同様に身体に風の魔力を込めることでその動きを速めることが出来ていた。


「だが、速いだけだ。これならどうかな?」


 イスティル仮面の剣を受けつつ、スティンガーは呪文の詠唱を行う。


「トキシック・レイン!」

「これはまた……司会のリースさん、離れてください。毒の雨です」

「うぇっ!? スティンガー選手、毒の雨を降らせる魔法を発動させましたー!!」


 司会のリースはスティンガーの魔法発動範囲から離れつつもちゃんと実況を続けていた。

 毒の雨を降らせる魔法トキシック・レインはイスティル仮面にダメージは与えられなかったが、その動きを制限させるには十分であった。


「スコーピオン・デス・ニードル!!」


 本命はこちら。スティンガーが隠し持っていた三本目の短剣がイスティル仮面の左腕を差し貫く。


「悪いな、王子様(・・・)。俺は暗殺者(アサシン)なんでね。いつ如何なる時も殺すための武器(・・・・・・・)は用意しているのさ」


 スティンガー・ニードリオは武闘会に参加しつつヨシュア・ソル・イスティルの暗殺を目論む暗殺者(・・・)であった。

 致死性の毒(・・・・・)が仕込まれた短剣をヨシュアに刺した時点でスティンガーは勝利を確信する。


「ああ、やはりバレてましたか。けど、あなたも暗殺対象(・・・・)の情報はちゃんと調べておくべきでしたね」

「何……!?」


 毒の短剣を受けたヨシュアであったが、いまだに平然と立っていることにスティンガーは動揺する。


「知りませんでしたか? 私の左腕は義手なんですよ。なので毒は効きません」

「しまっ──」

「もう遅いです。ゲイル・インパルス!」


 ヨシュアはとある戦いで左腕を失っており、それ以来は義手を着けて生活している。そんな情報を知ってか知らずか、最大のチャンスを逃した暗殺者は次の瞬間には疾風の剣撃を受けて気絶していた。

 

 ヨシュアは王子暗殺を計画していた暗殺者スティンガー・ニードリオをあえて武闘会へと招待し、舞台の上で王子暗殺を実行させよう動いていたのであった。


「勝負あり! イスティル仮面選手の勝利です!!」


 一回戦第四試合はイスティル仮面の勝利で終わり、暗殺者スティンガーは王子暗殺未遂の現行犯として騎士団の団員たちに連れていかれるのであった。

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