1-5 自己紹介はだいじ
《それじゃあ、改めて自己紹介でもしようか》
「よろしくー!」
スライムを倒し、あとはダンジョンから脱出するだけなのだが、その前に黒となった少女は同じフィオたちのことを教えてもらうことにする。
《僕は白。君と最初に出会ったフィオだよ。別に僕が主人格って訳じゃないんだけど……まあ、僕が面倒事を担当するために表に出てることが多いかな。属性は光でクラスは魔法使い》
「属性は何となくわかるけどクラスって?」
《簡単に言うと役割かな。戦士とか魔法使いとか僧侶とかみたいな戦い方とか自分の得意分野のことだよ》
「あー、そういうのかー」
【白】は【光】の属性を持つ【魔法使い】の少年。
光の魔法を用いた攻撃、防御、補助、回復とオールラウンダー。光の属性以外にも他の属性魔法も扱えるため、魔法使いではなく賢者のクラスと言っても差し障りのない実力者だが本人的には魔法使いであることにこだわっている。
フィオたちの中で最も真面目なまとめ役ではあるが同時に他のフィオたちの制御役にならなければならないお人好しな苦労人でもある。
《次はあたしね。あたしは赤よ。火の勇者! 正義のためにこれから一緒に頑張りましょう!》
「勇者ってすごいね!」
《勇者ってのは赤が勝手に言ってるだけだけじゃん》
《こいつはただの魔法剣士ですわ》
《あたしは勇者だってば!》
【赤】は【火】の属性を持つ自称【勇者】の少女。だが実際のクラスは【魔法剣士】である。
剣技と炎の魔法を組み合わせた火力はフィオたちの中でもトップクラスである。
正義を信条とする熱血タイプで常に正義のために行動しているが、逆にそれで暴走してしまうこともある猪突猛進で単純な熱血バカでもある。
《オイラは橙じゃん♪ ヨロシク! オイラは歌うことが大好きな吟遊詩人~♪ 属性は土じゃん♪》
《楽器は上手いんやけど》
《歌は……まあ》
《びみょう》
《微妙って言うなよー!》
【橙】は【土】の属性を持つ【吟遊詩人】の少年。
歌と楽器による演奏を媒介とした彼の魔法はフィオたちの中で最も広範囲を制圧できる。
根っからの陽気な性格のお調子者で歌や音楽を愛するミュージシャン。だが、軟派な性格でもあり女好きであるというのが玉に傷。歌は好きだが実はあまり上手くないのも周知の事実。
《で、わたくしが黄ですわ! わたくしは雷の舞踏家。わからないことはわたくしが何でも教えてさしあげますことよ!》
「よろしくですわ!」
《なんか口調が移ってますわよ?》
《あはは、黒ちゃん、面白~い☆》
【黄】は【雷】の属性を持つ【舞踏家】の少女。
踊りと体術、そして雷の魔法を組み合わせた華麗で優雅な戦い方はフィオたちの中で最も美しい。
自信家で高飛車、わがままな一面もあるお嬢様だが、その一方で他人を気遣える心優しい一面もあるツンデレ気質。
《フィオは緑……よろしく。フィオはきぞくせいでにんぎょうつかい……だよ》
「あのぬいぐるみ巨大化するやつすごかったねー」
《…………えと》
「どうしたの?」
《……あ、ありがと》
【緑】は【木】の属性を持つ【人形使い】の少女。
木人形を精製、操作して戦う器用でトリッキーな戦法を得意としており、また植物そのものをも魔法で操ることが出来る。
フィオたちの中では一番幼く純真無垢。だがたまに変わった言い回しをしたり、毒のある一言を言ったりもする掴み所のない性格でもあった。
《私は青です。知識なら役に立てると思うので何かわからないことなどありましたら気兼ねなくどうぞ。ちなみに私は学者で水の属性ですね》
《こいつ、こう見えて意外と抜けてたりするじゃん♪》
《いつも抜けてる人には言われたくありませんね》
《……だな》
【青】は【水】の属性を持つ【学者】の少年。
敵の分析、解析、鑑定等を得意としている。一方で魔法の扱いにも秀でており、水魔法のエキスパートでもある。
常に冷静で沈着。知識の面でもフィオたちの中で最も博識であり、フィオたちの参謀ポジションでもあるのだが、実は意外と天然な部分も垣間見える。
《藍だ……属性は氷、クラスは剣士。……まあ、なんだ。よろしく頼む》
「よろしくねー」
《…………ああ》
《藍はこんな無愛想な感じでも結構良い奴じゃん♪》
《……お前は黙ってろ》
【藍】は【氷】の属性を持つ【剣士】の少年。
刀に氷の属性を込めて戦う魔法剣士であり、侍でもある。
良く言えばクールで寡黙、悪く言えば無口でぶっきらぼう。そんな彼だが仲間思いな一面もある。が、お調子者の橙にだけは何故か当たりが強い。
《うちは紫や! うちは風の拳闘士で速さなら誰にも負けへんで。夜露死苦な!》
「夜露死苦やでー」
《おっ? 黒もうちと同郷なんか?》
「たぶん違うよー?」
《何やねん!》
【紫】は【風】の属性を持つ【拳闘士】の少女。
フィオたちの中で最も速く、体術でなら最強の近接スピードアタッカー。
短気で喧嘩っ早く少し不良めいた部分はあるが、困った人間は見過ごせない姉御肌の人情家でもある。
《桃ちゃんは桃だよ~! 鋼属性の狂戦士~☆ でも、桃ちゃんそんなに狂戦士じゃないよ~?》
「うん、かわいい女の子にしか見えなかったよ?」
《あはは、ありがと~☆ でも桃ちゃんは男の子だよ~?》
「えっ、そうだったの?」
【桃】は【鋼】の属性を持つ【狂戦士】の少年。
ハンマーだけではなくありとあらゆる重武器を使いこなすことが出来るパワーファイターである。
天真爛漫でかわいらしい声や性格でどこかあざどい所もあるがそれもご愛嬌。なお、フィオたちの中で最も女子力が高いが実は男の子である。
「最後はわたしね。わたしはまだ自分のことすらよくわからないけど、みんなと同じフィオ・フローライトになったからには精一杯がんばるね!」
【黒】は【闇】の属性を持つクラス【不明】の少女。
初めての戦闘で鞭や強力な闇魔法を使いこなしていたが、その本当の戦闘スタイルはいまだ不明。
とてもポジティブな楽天家。ただし転生前の記憶を失っていたためそれが彼女の本当の性格なのかも不明である。
これは十の魂を宿した女神の従者【フィオ・フローライト】の物語である。