表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/72

3-13 女神の後奏曲《ポストリュード》

 今回の引率役の依頼を終えた(ダイダイ)はクゥを連れ、騎士団の本部を後にする。


《とりあえず、これで(アカ)の尻拭いは出来たでしょうが、まだ問題は山積みですよ?》

《尻拭い言うな!》

《……ダンジョンと聖剣か》

《あー、そっちがまだ残っとったな》

《クゥちゃんのエクスカリバーはどうなっちゃうんだろうね~》


 騎士団の新人たちの引率役の依頼は終わったが、まだ全ての問題が解決したわけではない。


「とりあえずハルコさんとこに行かなきゃなあ」

(ダイダイ)?」

(シロ)、頼むじゃん」

《ん、わかった。クゥは連れてく?》

「まあ、ハルコさんには一度会わせておきたいし連れてっていいんじゃね?」

《了解》


 (ダイダイ)はフィオたちの中で最も転移魔法を上手く扱える(シロ)へと代わり、何のことか良くわかっていないクゥの手を取り、転移魔法を発動させる。


「え? え? え?」


 女神ハルコリウスの住まう神域。突然何もない空間に連れて来られたクゥは何が起こったのかわからず困惑していた。


「あのさあ……ここに一般人を連れてくるなよ」

「いや、彼女は勇者だよ」

「まだ見習いだろ?」


 女神ハルコリウス・アヴァロンはカエルパジャマの幼女(いつも)の姿でフィオたちの前に姿を見せる。


「ま、いいや。キミがクゥ・アイル・ウエスタニアだね? マジでメイド服着てんだ、ウケる」

「え、えっと……」

「ボクは女神ハルコリウス・アヴァロン。親しみを込めてハルコさんと呼ぶように」

「め、女神様!?」


 いきなりこのような場所へと連れて来られて困惑していたクゥに、女神と名乗る幼女の存在は更に追い討ちをかけた。


「お前たちがわざわざ来た理由はそれだろ?」


 ハルコさんはクゥの携えている剣に視線を向ける。


「聖剣エクスカリバーか。昔、失くしたと思ってたけどあんなところから出てくるなんてなー」

「やっぱりハルコさんのやらかしですか……では、あのダンジョンワームも?」

「あ、あれは知らない! 一年前に騎士団長のピオリムが追い払った奴だろ? あいつ地下に潜ってそれっきり所在がわからなかったんだよ。そのあとすっかり忘れてたけど……」


 ハルコさんの話によるとエクスカリバーの件はハルコさんのやらかしで間違いないようだが、ダンジョンワームは偶然外から地面を食い破って来た無関係のもののようだった。


「とにかく、ダンジョンのメンテナンスを徹底的にお願いしますよ? 出現する魔物やアイテムの確認、外部から魔物が入らないよう結界の張り直し、各種バランス調整……」

「ウソだろ!? それ全部ボクがやるのか!?」

「当たり前です。女神の従者と言えども僕たち(フィオ)にその権限も能力もありませんからね」


 ダンジョンの構築作業は女神にしか出来ないため、ダンジョンのメンテナンスはハルコさんが一人で行わなければならなかった。

 まあ、いつもぐうたらしているハルコさんには丁度良い仕事だろう。


「それで、エクスカリバーはどうします?」

「エクスカリバーねえ……」


 もう一つの問題は聖剣の処遇。今はクゥが持っているがそれをこのままにすべきか回収すべきかが目下の悩みである。


 ハルコさんは再度クゥの持つ聖剣へと目を移す。


「聖剣とはいえ、ぶっちゃけ暇潰しで作った剣だしなー。かといって見習い勇者に使やわせるのもどうかと思うし……うーん」


 ハルコさん自身としても聖剣をどうするべきか迷っていた。

 聖剣エクスカリバー。女神ハルコリウス・アヴァロン(の暇潰し)により鋳造された伝説の聖剣。真の勇者が使えば魔王をも討ち果たすことが出来るだろうが、この剣を真の意味で扱えた者は未だに存在しない。


「よし、決めた。この剣、キミに預けるよ。クゥ・アイル・ウエスタニア」

「えっ!?」

「一旦預かるよー」


 ハルコさんはそう言うとクゥから聖剣を受け取ると、いつもの幼女の姿(ぐうたらモード)から本来の美女の姿(おしごとモード)へと自分の身体を変身させる。


「姿が変わった!?」

「そういうのいいから。こほん……勇者の力を持つ獣の国の皇女よ。そなたに我が聖剣を貸し与える。この剣がいつか来る平和な時代を創ると信じて」


 これはあくまで女神としての威厳を示すためのポーズ。別にこのようなことをしなくても普通に渡せばいいのだが、ハルコさんなりの拘りであった。

 ともあれ、聖剣エクスカリバーが正式にクゥの手へと渡る。


「あ、ありがとうございます!」

「お前が勇者として成長しないなら返してもらうぞー。他の勇者候補に渡した方がいい場合もあるからな」

「わ、わかりました! ハルコリウス様!」

「だからハルコさんでいいって」


 いつの間にかハルコさんは普段のぐうたらモードに戻っていた。


「では、ハルコさん。ダンジョンの件もよろしくお願いしますよ?」

「わかってるわかってる。作業が終わったらこっちから連絡するから」

「くれぐれもサボらないように」

「はよ帰れ」


 フィオはハルコさんがしっかり仕事をするか不安ではあったが、こればかりは女神の仕事であるため、とりあえずクゥを連れて転移魔法で元の世界へと帰るのであった。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ