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3-6 新人騎士の輪舞曲《ロンド》

 ガーゴイルという魔物は硬い石の身体による防御力と背中の羽での飛行という機動力を併せ持っている。主な攻撃方法は先ほども繰り出した火球とその身体の硬さと重さを利用した体当たりやのしかかりなどである。


「それじゃあ、まずはアルくんから見物するじゃん」


 新人たちの中で最初にガーゴイルに向かっていったのは二槍流のアルバートだった。


「でえぇぇぇい!!」


 アルバートは両の手に構えた槍にそれぞれ土の魔力を込め、ガーゴイルへと攻撃を仕掛けていく。


《へえ、あの小僧やるやん!》

《器用なものですわね。リーチのある槍を二つも自在に扱ってますわ》

「でもまだまだじゃんよ」


 ガーゴイルはアルバートの攻撃を空へと逃げてかわす。いくらリーチがあっても空へは届かず、逆にガーゴイルはその位置から火球を放っていた。


「さて、レイくんは……っと」


 (ダイダイ)は続けてレイズの方へと視線を向ける。


「……おっと!」


 レイズ・ファランは冷静にガーゴイルの火球を回避していた。レイズはアルバートとは違い、積極的に攻撃を仕掛けはせず、ガーゴイルの弱点を観察しているようだった。


《か、彼はも、問題……問題なさそうですね》

(アオ)まだ怖いんだ》

《……こわいならしかくしゃだんすればいいのに》


 次はアーシェ・メリエール。彼女は一人でガーゴイルと戦うことを不安に思っていたが、実際に戦ってみると四人の中で一番善戦しているようであった。


「光よ、矢となりて我が敵を射ぬけ! シャイニング・アロー!」


 アーシェは光の矢の魔法で遠距離からガーゴイルを狙い撃つ。ガーゴイルは逆に接近しつつ、アーシェに体当たりを仕掛けていく。


 だが、それこそがアーシェの狙いのようであった。


《スライムやガーゴイルのような魔法生物系の魔物は身体の何処かにコアがある。そこさえ破壊できれば》

《イチコロだよね~☆》


「……たあっ!!」


 アーシェは向かい来るガーゴイルのコアを目掛け、レイピアで的確に貫いていた。


 コアを破壊されたことでまずは一匹。アーシェと戦っていたガーゴイルはその場で崩れていく。


「おおっ! すごいじゃん!」


 そして、もう一人。クゥは四人の中で最も苦戦していた。


《ああっ、クゥは何やってんのよ!》

《……師匠ならもう少し弟子を信じてやれ》

《わ、わかってるけど!》


 クゥの師匠である(アカ)はその戦いぶりをはらはらしながら見守っていた。


 クゥはスキルの都合上、武器を短剣から長剣に変えたが、長剣を実戦で扱うのは初めてでまだ慣れてはいないようだった。


「火よ、我が剣に宿れ!」

《一応、剣に魔力を込める方法だけは教えたのよね》

《……まあ、基本は大事だからな》


 それでも(アカ)(アイ)もよく使う武器に魔力を込める魔法は詠唱ありではあるが使えるようにはなっているようで、(アカ)はその様子を見てほっと胸を撫で下ろす。


「あっちももう終わりそうじゃんね」


 (アカ)はもう少し弟子の戦いを見たいようであったが、(ダイダイ)は視線を別の戦いに視線を移す。


 レイズの戦いもすでに決着に向かっていた。レイズもクゥ同様に剣に魔力を込め、更にその身体にも雷の魔力を纏わせていた。


「迅雷刃っ!」


 ガーゴイルの動きを完全に見切っていたレイズは雷の如く一気に駆け抜け、その剣の一閃にてガーゴイルをコアごと斬り裂くのであった。


《おお、こっちの小僧もやるやないか!》

《……あざやかなおてなみ》

《新人って言うからどうなるかと思ったけど、何の心配も無さそうだね》


 そしてもう一人。アルバートの方もガーゴイルとの戦いに決着がつきそうであった。


 空に逃げたガーゴイルに対し、アルバートは左手に持った槍を地面へと突き立てる。


「せー……のっ!!」


 そして、アルバートは地面に突き立てた槍の柄に足を掛け、一気に跳び上がる。これによりガーゴイルとの距離を詰めたアルバートは更に右手に持った槍を槍投げの要領で思いっきり投げつける。


「いっけぇぇぇっ!!」


 アルバートの投げた槍は土の魔力で強化されており、硬い石の身体を貫いてガーゴイルのコアを砕くのであった。


「さ、これで残るはクゥちゃんだけじゃん」


 最後に残ったのはやはり騎士ではなく戦い慣れてもいないクゥであった。

 クゥも頑張って慣れない剣を振ってはいるが、ガーゴイルには当たらず、魔法を使ってもクゥのファイア・アローでは満足なダメージを与えられずにいた。


《ああっ、じれったい!》

《あなた、もう少し落ち着いたらどうですの?》

《あはは、師匠も大変だねえ……ん?》


 ガーゴイルに苦戦するクゥであったが、戦況は一気に変わる。


 クゥの戦いぶりを見て心配したのか、業を煮やしたのかはわからないが、ピアがその戦いに割って入ったのである。


「ピ、ピア……!?」

「ドリルロックレイン!!」

「おわっ!」


 ピアは(ダイダイ)が作った防御壁を利用し、岩の弾丸としてガーゴイル目掛けて大量に撃ち出していく。その影響で足場が崩れ、(ダイダイ)は地面へ落ちる。


 回転する岩弾はあっという間にガーゴイルを粉微塵に粉砕してしまう。


「……ご、ごめん……ごめんなさぁぁぁい!! うわあぁぁぁん!」


 突如として戦いに参加し、ガーゴイルを倒したと思ったらまた謝りながら泣き出してしまうピア。


「い、いいよ! アタシを助けてくれたんだよね?」

「ひっぐ、ひっぐ、ひっぐ……」


 クゥの戦いの邪魔をしたことを謝っているのか、はたまた別の理由なのか。ピアはやはり泣いているだけで何も話そうとはしなかった。


 ともあれ、これで新人たちとガーゴイルズとの戦いも決着である。                                                        

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