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3-4 新人騎士の練習曲《エチュード》

「ダンジョン~♪ ダンジョン~♪ たのしいダ~ンジョ~ン♪」


 先ほどの醜態などどこ吹く風でギターを鳴らしながら微妙な歌を歌う(ダイダイ)

 それには各々の反応はバラバラであった。


「ダンジョン~♪ ダンジョン~♪」


 人懐っこいアルバートは(ダイダイ)と一緒になって歌っていた。


「…………」


 クールなレイズは特に反応せず、真面目に辺りの警戒を行っていた。


「クゥちゃんは何の属性なの?」

「アタシは火よ。アーシェは?」

「私は光だよー。回復も出来るから任せてね」


 クゥとアーシェは年が近いことからすぐに仲良くなり、(ダイダイ)を無視するかのように話を続けていた。


「ひっぐ、ひっぐ……」


 そして泣き虫の天才少年ピアは大泣きこそはしていなかったが、まだ泣き止んではいないようだった。


《これ本当に(ダイダイ)に任せて大丈夫なやつ?》

《ダメなやつですわ!》

《……今日はあくまで引率だ。まあ何とでもなるだろう》

《あたしとしてはクゥが心配だわ。まだ基本的なことも教えてないし》


 クゥを弟子にした(アカ)は彼女のことを心配していた。(アカ)が投獄されていた関係上、まだ実際に修行をつけたことはない。

 一応、冒険者ギルドに赴き、クゥのギルドカードを確認し、スキル構成から武器だけは整えていた。


 以前は短剣を使っていたクゥではあるが、クゥには【短剣術】スキルがなく、代わりに【剣術】スキルがあったため、今は普通の長剣を装備している。


(モモ)ちゃんはアルちゃんが気になるな~。槍二本使うのって珍しくな~い?》

《二刀流じゃなく二槍流ってやつ? どうやって戦うんだろうねー》


 (モモ)(クロ)が気になっていたのはアルバート・アクセル。このダンジョンに来るまでに(ダイダイ)と話しているのを聞いていたが、彼は背中の二本の槍を同時に使う戦闘スタイルであるらしい。


《……俺はレイズという少年だな》

《彼は剣に雷の魔力を纏わすそうですわね。わたくしや(アイ)と似たような感じみたいですわ》


 レイズ・ファランは(アイ)()のように武器に魔力を込めるタイプらしい。剣使いで属性は雷ということで二人は彼の戦いが気になっていた。


《アーシェさんは(シロ)と同じタイプでしょうか?》

《どうだろう? 光の魔力で回復魔法も使えるってくらいだからね。彼女は剣も使うみたいだし、魔法使いの僕とはタイプが違うだろうね》


 アーシェ・メリエールは光の魔力属性で回復魔法も扱えるそうだが、彼女のメインウェポンは魔法よりもレイピアを使った戦闘寄りのようであった。


《んで、問題はピアって子やな。この子はずっと泣いてて話も聞けへんかったし、どんな戦い方をするんかわからへんからな》

《……みちのりょういき》

《あのでっかい剣も気になるよねー。あんなちっちゃい子なのにあんなの使いこなせるのかな?》


 やはりフィオたちが一番気になるのは天才少女ピア・アーモニア。三属性の魔法を操るのもそうだが、背中のバスタードソードが一際目を引いていた。


「ダ~ンジョ……ん?」


 楽しく歌っていた(ダイダイ)ではあったが、これでもフィオ・フローライトを構成する一人。【魔力感知】のスキルにより、魔物の接近に即座に気付く。


「うわっ、魔物だ!」

「お、スライムじゃん♪」


 現れたのは黄緑色の粘液の塊──スライムである。

 一行の前にはスライムが五匹ほど姿を現していた。

 

「スライムは油断するとガチで危ないから気を付けて戦うじゃん」

「そんな油断しないわ」

「油断して死んだ奴いるじゃんよ」

《それってわたしのこと!?》


 転生前の(クロ)を殺したのはスライムであった。だが、異世界からの転生者ではないクゥたちはスライムの恐ろしさは十分に知っている。


《まあ、流石に先日のチートスライムとは違い普通のスライムのようですね》

《当たり前や! あんなもんが何匹もおってたまるかっ!!》

《普通のスライムと言えども油断は禁物。さて、お手並み拝見かな》

「んじゃ、とりあえず好きに戦ってみるじゃん」


 チート耐性を持つ例のスライムではないとは言え、スライムには物理攻撃は効かない。つまり有効なのは魔法攻撃。

 クゥやアーシェが魔法で攻撃しようと詠唱を始めていると、先立って後ろから魔法の矢が飛んでくる。


「ひっぐ、ひっぐ……」


 水の矢、氷の矢、そして土の矢。初級魔法である矢の魔法を放ったのはピアであった。

 ピアは水、氷、土の三属性魔力を持っており、更に新人らしからぬ【無詠唱】のスキルをも持っていた。

 無詠唱で放たれた三つの魔法の矢はそれぞれスライムのコアへと突き刺さり、五匹のうち三匹を一瞬で仕留めてしまう。


「うぅ……」


 ピアは泣きながらもバスタードソードを構え、刀身に魔力を込める。ピアは【怪力】というスキルを所持しており、幼い細腕でも巨大な剣を軽々と振り回し、残る二匹のスライムのコアを魔法剣であっさり叩き斬る。


 結局、出てきたスライムは全てピアが倒してしまい、戦おうとした他の面々はポカーンと見ているしかなかった。


「うわぁぁぁん……ひぐひぐ……」

《す、すごーい!》

《これは驚きましたね。水、氷、土の三属性にバスタードソードもあれだけ自由自在に操れるとは》

《確かにすごいよ。すごいけど……》

《どうかしたの?》

《いや、まだわからないよ。とりあえず様子見って所かな》


 天才少女ピアの実力に驚くフィオの面々ではあったが、(シロ)は彼女の方に何か思うところがあるようだったが、あえて明言はしなかった。

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