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2-2 自称勇者と盗賊退治

絶対(ぜったい)正義(せいぎ)灼炎破(しゃくえんは)っ!!」

「ぎゃああああっ!!」


 盗賊退治は思いの外、あっさりと終わった。

 フィオの繰り出した剣から放たれる炎の衝撃波により街道を荒らす盗賊たちはあっという間に討伐されてしまう。


「正義は勝ーつ!!」

《やったね!》

《しっかし……呆気ないですわね。やっぱりCランクのクソ雑魚ナメクジクエストでしたわ。もう少し歯応えというものはないんですの?》

《ま、盗賊相手ならこんなもんやろ。相手が(アカ)なら尚更やで》

《さすがは勇者だね!》

「……まあ、ね」


 フィオ・フローライトの中でも(自称)最強を誇る正義の(自称)勇者である(アカ)の手にかかれば盗賊など相手にもならなかった。


 王都イスティルの東の街道に出没するという盗賊団討伐依頼もこれで終了である。フィオはジャージのポケットからロープを取り出し、先ほど倒した盗賊たちを縛り上げていく。


「くっ、だがまだオカシラたちが」

「おい、余計なことを言うな!」

「しまっ……!」

「何? まだ仲間がいるの?」


 この場にいる盗賊は10名ほど。盗賊たちにはどうやら他にもまだ仲間がいるらしく、盗賊団討伐依頼は続行のようであった。


「さあ、お仲間はどこか言いなさい? でなけば……」


 (アカ)はそう尋ねつつ、再び剣に炎を纏わせる。


「ひっ!」

「い、言う! 言うから命だけは」

「失礼ねー。それじゃあ、まるであたしが悪者みたいじゃない」


 もはや脅しとも取れる尋問の成果により、盗賊たちのアジトが近くの村の先にあることが判明する。

 フィオは縛り上げた盗賊たちを更に簀巻きにし、逃げられないようにしてからその場に放置する。


《うわぁ、かわいそ~》

《というか、盗賊をこのままここに放置してていいの?》

「大丈夫よ、一応通信用の魔道具でイスティル王国騎士団の知り合いに連絡入れといたからすぐに回収に来てくれるわ」

《いつの間に……》

《……しごとがはやい》

《通信魔道具ってこの世界スマホみたいなのあったんだ》

《スマホ……ではありませんが、簡単なメッセージを文字として送ることが出来る魔道具はありますね。まあ通信用の魔道具は一般にはあまり流通していませんから通信出来る相手は持っている者に限られますが》

《へえ、電話じゃなくてメールだけみたいなものかー》

「わかったなら、さっさと行くわよ!」


 改めて、大きな街道を外れて北へ北へとしばらく山道を進むフィオ。すると小さな村が見えてくる。


「ここね」


 東の街道から少し外れた北の山岳地帯にある小さな村の名はペルト。狩猟と農業で細々と身を立てている本当に小さな集落である。

 この村もどうやら盗賊たちの被害にあっているようであった。ペルト村に到着したフィオは早速村人たちに盗賊の情報を尋ねてみることにする。


「はい、月に二、三度やって来て──」

「食糧を要求するんです──」

「村には戦える人も誰かを雇うお金もなくて──」

「盗賊は毎回──」

「今までは何とか事なきを得ていましたが、もうそれも限界で──」

「そういえば──」


 ペルト村はお世辞にも裕福な村ではない。盗賊たちはそんな村へも月に数度食糧を奪いに来ており、村人たちも無駄な犠牲を避けるためにしぶしぶ食糧を明け渡すことを選択していた。だが、そんなことが何度も続くと村人たちの生活も限界に近づいていたのであった。


「とりあえず……盗賊のアジトをこの辺の山ごとあたしの極大爆炎魔法でぶっ飛ばしてもいいかしら?」

《いいわけないですわっ!!》

《もっと穏便に行こうよ。転移魔法で盗賊の目の前に直接転移して一人一人ぶっ殺すとかさー》

《……おんびんとは》

(クロ)は無自覚に怖いこと言わないように》

《えー?》


 そんな村人たちの話を聞けば聞くほど盗賊たちに対し怒りを覚える(アカ)であったが、極大爆炎魔法で盗賊を山ごと一網打尽にしないのにはもちろん理由がある。


「気になるのは……女の子が一人、盗賊のアジトがあるとされる北の山に向かっていったって話ね」

《オイラたちみたいに盗賊退治に来た冒険者とかなのかな?》

《……だろうな。でなければ村人でもない者がこんな辺鄙な山に入る理由はない》

《逆にその子が盗賊の仲間だって可能性はないのかな~?》

《いえ、それはどうでしょう? 村の人たちの話だとその少女も私たちと同じように盗賊の情報を聞いていたらしいですからおそらく盗賊の仲間という線は薄いでしょう》


 村人からの情報によりつい数時間前に村に立ち寄った旅人らしい少女が北の山へと向かっていったという話が聞けた。

 もちろん盗賊とは関係ないのかもしれないが、北の方へと向かうならわざわざ山を越えずとも街道から回った方が遥かに早くて安全である。

 そしてもう一つの有力な情報『盗賊たちのアジトは北の山にあるらしい』という情報を加味すると無関係とは到底思えなかった。


《で、どないする?》

「そりゃもちろん……さっさと北の山に行くわよ!」


 (アカ)は村人たちにお礼を言うと早速北の山へと向かうことにする。

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