東西南北ヤンキー異戦
コメディ色強めの演劇を募集していた際に執筆し、採用された台本をそのまま載せております。
そのため、台本形式となっております。
よって、台本であるために、心情描写及び風景の描写はされておりません。
登場人物名と大まかですが衣装を載せておきます。
登場人物
ツトム 腕時計を右腕に付けている
ユウヤ
『東の獅子』カヨコ(スケ番) 竹刀持ち
『西の大蛇』セイヤ(ヤンキー) ボンパドール
『北の林修』カゲユキ(博識ヤンキー) 指示棒持ち
『サウス・サウスポー』ゼウス(厨二病) 左腕に包帯・右目に眼帯
ツトム・ユウヤが歩いて登場。
ツトム「なぁ、ユウヤ聞いてくれよ。ポケGOで強いポケモン手に入れたんだよ」
ユウヤ「そうか、それはよかったね。それで、なんのポケモンを手に入れたの?」
ツトム「コイツなんだけど...」
ツトムとユウヤがスマホの画面に釘付けになりながら、歩く。そして、カヨコとぶつかる。
カヨコ「あぁ?なんだ、オメェ!どこ見て歩いてんだ?」
ユウヤ「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!」
カヨコ「謝って許してもらえるとでも思ってんのかぁ?オメェ、社会ってのを舐め過ぎじゃねぇか?おぉい!ワタシのことを、誰だか知らねぇだろ!ワタシは───」
ツトム「あ、アナタは『東の獅子』の異名を持つ伝説のヤンキー!カヨコさんですか?!」
カヨコ「───って、オメェはワタシのこと知ってんのか!折角、人がカッコよく名乗ろうとしたのにセリフを取りやがって!」
ユウヤ「カヨコって...大久保?」
カヨコ「チゲぇよ!誰が大久保佳代子だよ!どこもかしこも大久保佳代子には見えねぇだろ!ぶち殺されたいんか!」
ユウヤ「ひぃぃ!す、すみません!すみません!」
カヨコ「ったく、イライラさせやがる!お前ら、ボコボコにしてやんよ!」
ツトム「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!だ、誰かに助けてもらわないと!」
カヨコ「残念だな!ワタシのことを倒せるのは最強のヤンキー『天空の覇者』しかいねぇよ!でも、その『天空の覇者』も今は見なくなった!残念だな、お前を助ける人はいねぇのさ!」
セイヤ登場。
セイヤ「おうおうおう!そこにいるのは『東の獅子』のカヨコさんじゃあないですかー!ここは、ボクチンの縄張りですぜ?人の獲物を勝手に取ろうとしてんのかぁ?あぁん?」
カヨコ「お、お前はッ!」
セイヤ「そう、ボクチンは───」
ツトム「あ、アナタは『西の大蛇』の異名を持つ極悪の殿堂!セイヤさんですか?!」
セイヤ「おいおいおい!ボクチンのことを極悪の殿堂だなんて...ドン・キホーテみたいな感じで呼んでくれるじゃないですかぁ!それに、ボクチン
が気持ちよく名乗ろうとしてくれてんのによぉ!」
ユウヤ「セイヤって...聖闘士?」
セイヤ「チゲぇよ!誰が天馬星座の星矢だよ!ペガスス座でも無ければ、射手座でもねぇよ!」
ユウヤ「じゃあ...へびつかい座?」
セイヤ「なんで、13星座占いなんだよ!朝の星座占いで仲間はずれじゃねぇか!お前、ボクチンのことなめてるだろ?しょうがねぇなぁ!星矢じゃねぇがペガサス流星拳でも放ってやろうか?!」
ユウヤ「ひぃぃぃ!すみません!すみません!」
セイヤ「おい、カヨコ!ここはボクチンと協力してこの2人をボコボコにすっぞ!」
カヨコ「『西の大蛇』って異名だから、やっぱりへびつかい座じゃね?」
セイヤ「いや、お前も疑問に持つなよ!じゃあ、お前は『東の獅子』って異名だからしし座なのかよ!」
カヨコ「いや、ワタシは水瓶座だ」
セイヤ「聞いてねぇよ」
カゲユキ登場。
カゲユキ「なんだか、楽しそうな声が聞こえてきますねぇ?この私もこの口喧嘩に参戦してしまってもいいのでしょうか?おっと、そこにいるのは『東の仔猫』のカヨコさんに『西のミミズ』のセイヤさんではないですか」
カヨコ「なっ!お前が!」
セイヤ「どうして、お前がこんなところに!」
カゲユキ「自己の紹介です。私は───」
ツトム「あ、アナタは『北の林修』の異名を持つ秀逸なヤンキー!カゲユキさんですか?!」
カゲユキ「いかにもそうです。ですが、アナタはこの私が発言しようとしていたところを妨害し、この私の台詞を取った。それは、重大で重要で肝要な問題です。到底、許される行為ではありません」
ユウヤ「カゲユキって...朝倉?」
カゲユキ「朝倉ではございません。もし仮に、この私が朝倉景行だと言うのであれば、この私は今現在何歳になるのでしょうか。海砂利水魚過ぎですよ?」
ユウヤ「海砂利水魚って...くりぃむしちゅーの昔のコンビ名!?」
カゲユキ「それはそうですけれど!上田晋也でも有田哲平でもないです!」
ユウヤ「じゃあ、寿限無?!」
カゲユキ「寿限無、寿限無、五劫のすりきれ、海砂利水魚の、水行末・雲来末・風来末、食う寝るところに住むところ、やぶらこうじのぶらこうじ、パイポ・パイポ・パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナの、長久命の長助!!!」
カヨコ「すげぇ...全部覚えていやがる、流石は『北の林修』だ...予備校で現代文を教えているだけはある!」
カゲユキ「落語と現代文の関係性は無いと思うんですけれど!」
セイヤ「───って、『北の林修』のカゲユキさんがボクチンの領土であるここには何のようだって聞いてんだ?もしかして、ボクチンと戦争でもしに来たんかぁ?」
カゲユキ「残念ながら、この私は君たちと喧嘩しているつもりはないのです。この私は、ママに任せられたおつかいがありますので」
カヨコ「お前...ヤンキーじゃないのかよ...」
カゲユキ「博識ヤンキーですが?」
カヨコ「博識ヤンキーってなんだよ!それに、ヤンキーって自覚があるならお袋のことをママって呼ぶな!聞いてて恥ずかしいだろ!」
カゲユキ「ママはママです!低俗なあなた達に文句を言われる筋合いはございません!」
セイヤ「ハッ!おもしれぇな。『北の林修』って恐れられてるカゲユキだってまだ乳離れはできてなかったのか!───って、『北の林修』ってなんだよ!ヤンキーの異名で『林修』って、中々聞かねぇぞ!予備校行くなら絶対ヤンキーじゃねぇよ!」
ツトム「た、た、大変だ...東西南北の異名を持つ内の3人がここに集結している...きっと、大きな戦いが行われるんだぁ...」
ユウヤ「何?コイツラ今のところただの騒がしいだけの奴らだけど本当に名を轟かせたヤンキーなの?」
ツトム「うん、そうだよ。最後の1人───『サウス・サウスポー』の異名を持つ人物が現れたらマズい!大戦争が起こっちゃうよ!」
ユウヤ「大戦争だって?そんなぁ!俺たち、巻き込まれちゃうよ!逃げなきゃ!」
カヨコ「おい、待てよ!ワタシは逃さねぇぜ?」
セイヤ「ボクチンも同感だ。お前、少しふざけすぎじゃねぇか?」
カゲユキ「この私のことをこけにしやがって。ママと呼んでもいいでしょう!」
ユウヤ「ママの呼称に関しては俺ら関係ないよ!」
ツトム「マ、マズいよ!3人でも相当マズい!ユウヤ、逃げよう!」
ユウヤ「わ、わ、わかった!」
逃げようとしたところで、ゼウスとぶつかる。
カゲユキ「なっ...アナタは!」
セイヤ「おいおい、勢ぞろいじゃねぇか!面白くなってきやがった!」
カヨコ「ど、どうしてここにいるんだよ!」
ゼウス「我は、神の意思でここに現れた。神の顕在させた漆黒の炎が我をここに導いた。貴様らも、そして我も神の遊戯に惑わされる一人よ」
カヨコ「お...お前はァ!」
ゼウス「フッフッフッ!天啓により参上した、我の名は!」
ツトム「あ、アナタは『サウスサウスポー』の異名を持ち、尚且つ神の眷属であるゼウスさんですか?!」
ゼウス「やはり、我は人気者だな。どこに行っても、我のことを知っている人物は出てきてしまう。やはり、そこらにいる愚物とは違うのだろうな。これも、我が持つ輝きの一部か(この一言で5回位の決めポーズ)」
セイヤ「なんかコイツムカつくなぁ。ボコボコにしてやるぜ」
セイヤが、ゼウスに近付く。
ゼウス「おっと、我に近づかないほうがいい。我には悪魔が取り憑いている。我は、その悪魔の呪いにかかった一人さ。貴様らも取り憑かれたくなければ、我に近付くのはやめておいた方がいい」
カヨコ「あぁ?悪魔だぁ?何言ってんだ?んなの、いねぇよ!」
ゼウス「んだと?この左腕の包帯が見えないのか?」
ユウヤ「あぁぁ!その左腕には!レイニーデビル?!」
カゲユキ「レイニーデビルだと?!」
カヨコ「知っているのか雷電───じゃなくて、カゲユキ!」
カゲユキ「うむ。レイニーデビルは人の悪意や嫉妬などの負の感情を引き出して、願いを叶える低級の悪魔だ!」
ゼウス「おい!我に取り憑いているのは低級の悪魔なんかではない!我の力を見くびるな!我は、強力な悪魔───そう、大奥義書にも記載されているベルゼビュートが取り憑いているのだ!」
ユウヤ「ベルゼビュートって、ハエじゃね?」
ゼウス「違う!いや、違わないけど...そう言うと弱く感じられるだろうからやめろ!」
セイヤ「なんだ、ハエが集ってるだけじゃねぇか!なら、そこらのクソと一緒だな!」
ゼウス「やめろぉぉ!───そう!我は心臓病なんだ!貴様らにも伝染るぞ!」
ユウヤ「心臓病が空気感染?!」
カヨコ「ってか、悪魔に取り憑かれていて右目には眼帯で、心臓病って満身創痍じゃねぇか!倒れられても不安だから、帰って寝てろ!」
ゼウス「───ほう、女子にそこまで優しくされるのはいつぶりだろうか。我は、神の眷属故に常に理性的であるよう心がけているため女子と話す機会が皆無なのだ」
ユウヤ「それは、ただお前が厨二病をこじらせすぎて誰も近付いてこないだけじゃね?」
ツトム「ユウヤ、そんなことを言ってあげるな!可哀想だろ?!」
ゼウス「そ、そうだそうだ!言葉の暴力だぞ!」
ツトム「ゼウス、お前はどちらかと言うと弱い者いじめをする側だろ!」
ゼウス「な、何を言っている!我は、神の眷属!神は差別なんかしない!森羅万象を愛し、森羅万象に愛されるのが神だ!そして神の眷属である私をボコボコにしたら天罰が当たるぞ!」
カゲユキ「なんか、虎の威を借る狐みたいなことを言い出したぞ!」
カヨコ「お前...それは本当かぁ?」
カゲユキ「虎じゃなくて、獅子が食いついた!獅子の威を借るサウスポーだ!」
ユウヤ「って、待って?サウスポーってどんな意味?」
ツトム「それはもちろん、左利きでしょう?」
セイヤ「まぁ、それは左利きだろうな?」
カゲユキ「左利き、です」
ユウヤ「え、じゃあ『サウス・サウスポー』って『南の左利き』ってこと?ただの一般人じゃん!AB型と同じくらいの確率で出没するだろ!」
カヨコ「───おぉい!お前、心臓病って嘘じゃねぇかよ!」
ゼウス「ギクリッ!」
カヨコ「おいおい、ワタシに嘘をつくなんていい度胸じゃねぇか!お前の神は、嘘をついていいなんて教えてんのか?そんな神なら、ワタシがこの手で直々にぶっ潰してやんよ!」
ゼウス「クックックッ...心臓病が嘘だとバレてしまったならしょうがない!神の眷属である我が神の代わりに貴様らに制裁を食らわせてやるよ!穿て!そして、平伏せ!我の圧倒的強さの前に!」
セイヤ「面白れぇ。ボクチンも喧嘩に入れやがれやぁ!」
カゲユキ「しょうがないですねぇ...この私も珍しく参加しましょうか。ですが、喧嘩ではありません。これから行われるのは一方的な惨殺さ。喧嘩もお金も興味がない。肉をつかみたい…それだけさ。お前らはただ泣き叫んでいればいい」
カヨコ「あぁ?!異名が『北の林修』のお前が、喧嘩が強いわけがねぇだろ!ネプリーグに帰りやがれ!」
ゼウス「ふん!我の圧倒的な力の前に泣き腫らせ!いくぞ、我の超必殺!次元歪曲!!(普通のパンチ)」
セイヤ「ふざけてんのかぁ!オラァ!」
ツトム「ま、マズいよ!東西南北の異名を持つヤンキーが勢ぞろいしてるよ!本当に、ここで大戦争が起きちまう!」
ユウヤ「でも、なんか大丈夫じゃね?皆、ひょうきん者だぜ?」
カヨコ「あぁ?誰がひょうきん者だぁ?」
カヨコ、ユウヤの襟を掴む。
ユウヤ「ひぃぃぃ!すみません!すみません!ひょ、ひょうきん者じゃないです!ひょうきん者じゃないです!」
セイヤ「じゃあ、何だって言うんだ!」
ユウヤ「ひっ、ひっ、ひきょ、卑怯者ですぅ!」
ツトム「さらに、駄目じゃんか!」
カゲユキ「人のことをひょうきん者だとか卑怯者だとかマザコンだとか好き勝手言ってくれますね!!マザコンでいいじゃないですか!」
ユウヤ「マザコンとは言ってない!」
ゼウス「神を侮辱したな!これは、到底許されるような行為ではない!我のインビジブルスマッシュでさばきを下してやろう!」
ユウヤ「ひぃぃ!すみません!すみません!ひひぃぃん!ヒヒーン!ヒヒーン!」
ツトム「ユ、ユウヤが馬みたいになってる!」
カヨコ「クソガキャア!」
ついに、ユウヤが殴られる。ユウヤは、後方に吹っ飛ぶ。もう、びっくりするくらい吹っ飛ぶ。
セイヤ「お前の友達はどっかに吹っ飛んで言ったぜ?んで、アンタはどうするよ?別に、赦してくださいって言って土下座するんだったら赦すかどうか考えなくもないぜ?ボクチンは寛容だからな!」
ツトム「ゆ、ゆ、赦してくださーい!(土下座)」
セイヤ「断る!(ツトムの頭を踏みつける)」
カゲユキ「可哀想ですねぇ...そして、実に滑稽ですねぇ...」
ゼウス「ふん、神が裁くほどでもなかったというわけ───お前はッ!」
メガネが取れた状態で、ツトムは立ち上がる。
カヨコ「なっ、お前は!お前はぁ、最強のヤンキー『天空の覇者』だとぉ?!?!」
ツトム「バレちまったか...しょうがねぇ...」
セイヤ「さ、最強のヤンキー『天空の覇者』って...あの?!」
カゲユキ「マズいですねぇ...確か『天空の覇者』は大蛇のように鋭い眼光で相手の動きを怯ませて、獅子のように激しい動きで相手をなぎ倒す男だったはず!」
カヨコ「そ、そして、話によると左利き...サウスポーだったはずだ!そして、そして!彼の口癖はぁ!」
ツトム「いつ、相手をボコすの?今でしょ」
セイヤ「で、出たー!林修と同じ言葉である『今でしょ』だぁぁぁ!」
カヨコ「だ、だからワタシ達のことを知っていたのか!」
ゼウス「神は言っている、ここで死ぬさだめではないと!我は逃げるぞぉ!」
カゲユキ「逃げるのが得策ですかね」
セイヤ「クッソ!ボクチンも逃げるしかねぇ!」
カヨコ「お、お、覚えてろよぉぉ!」
4人共はける。ツトム、メガネを拾う。
ツトム「ふぅ、これで一先ず安心かな。でも、僕が昔ヤンキーだったってことは知られたくなかったんだけどな...」
ユウヤ「いてててて...」
ツトム「あ、ユウヤ!大丈夫だった?」
ユウヤ「うん、なんか素っ頓狂なヤンキーにボコボコにされたような気がするけど...気の所為かな?」
ツトム「う、うん。気のせいだと思うよ。それと、素っ頓狂とか言わないほうが僕はいいと思うな」
ユウヤ「うーん、そうかなぁ...で、何の話だっけか?」
2人、雑談をしながらはけていく。
お読みいただきありがとうございます!