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第1話

「最近、クロ玉の数が増えてねえか……?」

俺の名前は神原薙(かんばらなぎ)

ただのそこらの高校生だ。

ただ1つ、普通の人間と違うのはわけのわかんねえクロ玉が見えることだ。

母さん曰く、このクロ玉は人間を喰うらしい。

昔、俺が幼い頃に無警戒にクロ玉に近づいてしまったことがあり、母さんは俺を庇って腕を噛まれ消えない傷跡を残してしまった。

その時に、母さんからクロ玉が人を喰らうこと、絶対に近づいてはならない事を告げられた。

今思い返せば、母さんがクロ玉を睨むなり、腕を噛まれたにも関わらずクロ玉が逃げていったことが不思議で仕方がなかった。

しかしあの時の事を掘り返すことなどできるはずもなく、未だ謎のままだ。

「クソッ…つまんねえこと思い出しちまった。」

「おーい!薙!朝からシケた面しやがってどうした!」

「お前が朝からうるさすぎんだよ、タケ。」

この朝からうるさいやつは若竹悟(わかたけさとる)

皆からタケと呼ばれている。俺の小学校からの腐れ縁の友人だ。

「うるさいとはなんだ!元気!なんだよ俺は!」

「はいはい。わかったよ。」

俺はいつも通り適当にあしらう。

「んだよ、ツレねえなぁ。ってそうだ。最近よ、ここらで変死体が発見される事件がめちゃくちゃ増えてるらしいな。」

「あぁ、連日テレビもその話題で持ちきりだな。犯人もまだ見つかってないんだろ?」

「そうなんだぜ!怖くて学校なんて行ってらんねえよ!な!家に帰るか!」

「お前は学校に行くのが嫌なだけだろ…。そもそも変死体はいつも真夜中に殺されている形跡が残ってるって言ってたから日中は安全だろ。」

「んなのわかんねえだろ!急に犯人が日中にも活動し始める可能性だってあるぜ?!」

「はいはい。屁理屈こねてねえで、急がねえと遅刻すんぞ。」

「やっべ!走るぞ!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

〜放課後〜

「ふぅ〜。今日も1日長かったなぁ〜!」

「長かったって…。タケ、お前今日の授業ほとんど寝てたじゃねえか。」

「まあまあ!そんな細かいことは気にせずに!帰りにカラオケでも寄ってかね?!」

「バカ、さっきのホームルームで例の事件があるから、寄り道せず帰れって言われたろ。」

「え?そうだっけか?そんなこと言ってたっけ?」

「タケ…。ホームルームまで寝てたのか…。」

「でもよー!せっかくの学生だぜ?!青春だぜ?!そんなことに捕らわれてる場合じゃないぜ?!タイムイズマネー!オッケー?!」

「そもそも、今日は母さんの帰りが遅いから、妹と晩飯の買い出しに行かなきゃ行けねえんだよ。だからまた今度な。」

「チェッ!まあ。なら仕方ねえか。また今度な!」

「おう。じゃあ、また明日な。」


「ただいま。」

「あ!お兄ちゃんおかえり!待ってたよ〜!お買い物!行こ!」

こいつは妹の(うい)。俺の妹とは思えないほど、優しくて人懐っこい妹だ。

「あぁ、行くか。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「あ!お兄ちゃん!卵が安売りしてるよ!今日はオムライスにでもしよっか!」

「そうだな。初のオムライスは美味しいし、それでいいよ。」

「よーし!頑張っちゃうぞ!」

「っておいおい…。何でこんなにレジ並んでんだ…。」

「皆…例の事件で日が暮れてから外に出るのが嫌なんだろうね…。」

「そういう事か…。困ったもんだな。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「こちら、井野鷹町担当巫女、来栖怜(くるすれい)。これより、この地域で大量発生している人喰(ひとくい)の駆除を行う。いけるね?輝夜(かぐや)。」

「(ええ。問題ないわ。いつでもいけるわよ。)」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「レジに並んでたらすっかり暗くなっちまったな。」

「うんー。そうだね。早く帰ろう!」

「あぁ…。」

なんだ、なにか違和感が…。いつもと違う…。

「クロ玉が…いない…。」

「クロ玉〜?」

「いや何でもな…」

そう言いかけた瞬間、目の前に突然、巫女装束を着た女が現れた。

「初!」

隣にいる初を咄嗟に守ろうとするが既に初は気絶させられていた。

「君が人喰をこの町に引き寄せている原因か…。」

「お前…。誰だ?」

「あれ?君、私のことが見えてるんだ…。そっか、通りで人喰が引き寄せられるわけだ…。」

「おい、さっきから何言ってるか全然わかんねえぞ!」

「わからなくてもいいよ。今から君は私に殺されるんだから。」

「は?!どうゆうことだよ!説明し…」

突如、腹部に激痛が走る。視線を下にやると、自分の腹に刀が突き刺さっていた。

「ごめんね。君には罪はないんだけど。これ以上、人喰の犠牲者を出しちゃうとこっちもまずいからね。」

「ふざ…けん…な…」

「あらら。まだ生きてるんだ。君、生命力も強いんだね〜。じゃあ、もう一刺しっ!」

「(待って!怜!何か!おかしいわ!)」

「なーに!所詮ただの人間でしょ!なにをそんなに怖がってるんだって!」

意識が遠のく中、そんな会話が聞こえながら、次は的確に心臓を刺してきたことが実感できた。

「(俺は…死ぬ…のか。こんな、わけのわかんない…状態で…)」

そんなことを心の中で呟いていると、突如身体が光に包まれていく。

「なにこれ?!」

「(怜!まずいわよ!巫女の力が!御神刀の力がこの男に奪われていっているわ!早く刀をこの男から抜いて!)」

「一体…何が…起きてるんだ…?」

段々と遠のいていた意識が覚醒していく。

「うっ!ダメ!御神刀に触れようとすると反発される!」

「(まずい!怜!これ以上は!持たないわよ!)」

視界が一瞬光に包まれ、視界が元に戻ると目の前には先程まで巫女装束を着ていた女が裸になっており、自分の服装を確認すると、巫女装束を身に纏っていた。

状況が全くわからないまま、目の前の裸の女に俺はビンタされていた。夜の井野鷹町にパンッと軽快な音が鳴り響いた。

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