第八十一話 魔王様!!??∑(゜Д゜)
ジン達が地下水路に入る少し前。
「むにゃん……zzz――」
「よしよし、よく寝てるの」
自身の太ももに頭を乗せて寝ているアサオを頬を撫でるドラコ。
なんとも微笑ましい光景だが、この時間はそう長くは続かなかった。
ピシッ。
突如部屋の中、何もない空間にヒビが入る。
「……来たの」
ヒビを見たドラコの顔から、さっきまでの笑みが消える。
空中にあったヒビはどんどん上や下に伸びていき、細長く部屋の天井から床まで広がっていく。
「ヒョヒョヒョ!」
「ガハハハハハ!」
「……はぁ」
ヒビの先から、エコーがかかりながら奇妙な笑い声とため息が聞こえる。
そしてなんと、ヒビの間からニョキッと手が生えた。
「ヒョヒョヒョ、開けますよ」
手が横に広がると同時に、空間のヒビもぐにゃりと円形に広がり、真っ暗な宇宙空間のような空間が現れ、中には3人の男が立っており、彼らはその中から出てきてドラコの前で立ち止まる。
「ヒョヒョヒョ、お久しぶりですドラコ様」
真ん中に立っていた、魔術師のローブを被った二十代後半くらいでタレ目の男がドラコに話しかける。
「……久しぶりなの」
「ヒョヒョヒョ、相変わらず私が嫌いのようですね」
魔術師のローブを被った男が「ヒョヒョヒョ」とバカにするように笑う。
「ガハハおい、そこで寝ている男が例の生贄か!」
「『ポイズン』黙るの、今ドラコは『テスタ』と話してる途中なの」
ポイズンと呼ばれた全身紫色の肌をしているムキムキのレスラーを更にゴツくしたような男が、ドラコの【竜眼】に睨まれる。
「……ガハハ、すまない」
萎縮しながら、ポイズンは口元に力を入れ、筋肉で自身の口を密着した。
気持ち悪い行為だが、黙ってくれたのでこれ以上は何も言わないドラコ。
「ヒョヒョヒョ、怖い怖い。
で、その男が例の――」
「生贄なの」
「おお、やはり」
テスタと呼ばれた男はローブの中に手を入れる。
そして手を出すと、そこには小さな小人サイズの悪魔が手のひらにあぐらをかいて乗っていた。
「魔王様、最後の生贄です」
「……ふむ、よくやった」
「ははあ」
アサオを見て、人形サイズとは思えない禍々しい声でテスタを褒める魔王様と呼ばれた小人。
「では早速儀式を始めるぞ、場所はここの地下を使わせてもらうぞドラコ」
「……」
ドラコは憎々しい顔で黙る。
「ヒョヒョヒョ、よもや断ったりしませんよねドラコ様」
ドラコの様子を嘲笑うかのように、テスタが話しかけた。
イラつく喋りに少しだけ殺気が漏れるも。
(ドラコは手を出しちゃダメなの!)
と自身に何度も何度も言い聞かせて抑え、比較的冷静になって答えた。
「……好きにするの」
「ヒョヒョヒョヒョヒョ」
「テスタよ、笑ってないで寝ている生贄を連れて儀式をするぞ」
「ヒョヒョヒョ、御意」
ピクっ!
「待つの!」
アサオに触れようとしたテスタの腕を掴むドラコ。
「ヒョヒョヒョドラコ様、何故邪魔をするのですか?」
「ドラコ、返答次第では――」
「侵入者なの」
パチンと指を鳴らすドラコ。すると、部屋の天井に設置された水晶玉からプロジェクターのように光が流れ、真っ白な壁一面に映像が映し出された。
「……なんだこいつらは」
「ヒョヒョ? 変ですね、ドラゴン族のようですが、何故こんな場所にいるのか」
思案する魔王様とテスタ。
ドラコは一人を除き、見覚えのある彼ら彼女らの存在を伝えた。
「おそらくアサオを取り戻しに来たの」
「何」
「あのドラゴン族を知ってるのですか?」
「もちろんなの、あれはドラゴン族じゃなくて人間なの」
「人間だと!?」
「そうなの、ちなみに『エンペラーゴブリン』と『魔獣王ラグナウルフ』を倒した連中なの」
「なんだと!!」
魔王様が禍々しい声で映像の人間に対して叫ぶ。
「ヒョヒョ、これはいけませんね、もしドラコ様のおっしゃる通りなら、儀式を邪魔されるかもしれません」
「それだけはならん! テスタ、ポイズン、それと『カイザ』お前達であの人間を始末してこい」
「御意」
「むぐぐ……プハッ、わかりやした!」
2人の男達は返事をするも、右側の男だけぼーっとしていた。
「おいカイザ、返事は!」
「ふぁ〜〜い」
カイザと呼ばれた十代後半くらいで全身がメカメカしい姿の青年は、魔王様に睨まれダルそうに欠伸をしながら返事をする。
「とっとと行って始末してこい! ワシはここで待っておるぞ!」
そう言って、魔王様はドラコの部屋にあるふかふかのソファにちょこんと座った。
そこはちょうど水晶玉からの映像がよく見える特等席だ。
「それでは魔王様、後ほど」
「早く行け!」
「ヒョッ!」
魔王様の恫喝にテスタはビクッと震え、ここに来た真っ暗な空間の中に逃げるように飛び込んで消える。
「ガハハ!」
続いてポイズンが笑いながら真っ暗な空間の中に飛び込んで消えた。
「ふぁ〜、ダル……」
「早く行かんか!」
「ふあ〜、はいはい」
最後に欠伸をしながらカイザが真っ暗な空間の中に入って行った。
食品の値上げラッシュ、
辛い(;_;)




