第八十話 バ●オハザードを思い出す潜入方法
串焼きを食べて腹も膨れたことで、俺達は行動を再開する。
「さあ出発するわよ」
ガキ大将のような風格のミイナを先頭に、町の中心部にあるシンボルのような城を目指して歩き始めた。
その道中、他の住民もNPCなのか気になった俺は、道行く人に声をかけまくっていたが、返ってきた返事は――。
「今日はいい天気ね」
と答えた買い物かごを持ったドラゴン族のおばさん。
「人参とキャベツが安いよ安いよ」
と答えたドラゴン族のおじさん。
「いっけな〜い⭐︎寝坊しちゃった⭐︎遅刻遅刻〜」
と答えた巨大なフランスパンをリコーダーを吹くようにくわえたセーラー服姿の巨大な赤いドラゴン。
「私、この任務が終わったら結婚するんだ」
と答えた儚げな顔で呟いてどこかに飛んで行ったセクシーなドラゴン族のお姉さん。
「爆ぜろリア充、はじけろ我がシナプス、バニシュメント、ディス、ワールドブレイカーーーー!!!」
と答えた町の中心部で声高らかに叫ぶ学ラン姿の青いドラゴン。
などなど反応は様々だったが、今回の国王救出にはなんの関係も無さそうなので全部忘れることにする。
そんなこんなしているうちに、
「着いたわね」
先頭にいたミイナの動きが止まる。
反応が遅れて二列目にいた俺は、ミイナの太ももにぶつかった。
「あ、ジン大丈夫」
ミイナが心配した顔で上から見下ろすが、正直全然痛くない、むしろもちもち肌に触れさせていただきありがとうございますだ。
「僕は平気です」
「そう、よかったわ」
「えい」
「ぎゃっ!」
真横からどかっと何かがぶつかり、石で整備された道に横向きに倒れた。膝と手を擦りむいて血も出たがスキルにより一瞬で完治した。
「痛いです」
「どうジンくん、私の太ももは」
「お前のしわざですか天使!」
ゲームキャラのように回避行動で道の上をスライドして、天使の真後ろに回り太ももをトーキックで蹴った。
「痛い!」
「お返しです!」
「ジンくんのくせに生意気だぞ〜、えいっ」
「わわわ、離すです!」
天使に両手で抱っこされた。ジタバタ暴れたが、Tara chanボディでは手足が短すぎて身動きが取れない。
「ふふふ、もう逃げられないよジンくん」
企み顔の天使がドアップで迫る。正直キモい。
「近い近いです」
「ふふふ、えい」
ぽふん。
「へ?」
視界が暗くてよくわからないが、体中がバランスボールのような柔らかい壁にぶつかる。
「ぎゅーー」
柔らかい壁は徐々に狭くなり俺を襲ってきた。暗い、潰される、息ができない、苦しい、一体何が起こっているんだ!
「むーむー!」
「アンタ達いい加減にしなさい!」
物凄い力で背中が引き寄せられ、天使から離れていく。
「はぁはぁ、助かったです」
「天使ふざけないで、ここはもう敵地なのよ」
怒ったミイナが俺を持った手で差す先には、城の入り口を守っているドラゴン族の兵士が立っていた。
もう城に着いていたのか。今気づいたぜ。
「ごめんお姉ちゃん」
ミイナに怒られた天使は顔を伏せ、暗い顔で謝る。ザマァ!
「……反省したようね」
「うん」
「なら次は気をつけなさい」
「うん!」
ミイナに許された天使は、一瞬でパァっと明るくなって開き直った。クソがぁ!
「ミイナちゃん、茶番はそこまでにして、どうやって城の中に潜入するウサ?」
「うーん、そうね〜」
キョロキョロ辺りを見渡すミイナ。するとすぐ。
「あそこなんてどうかしら」
と指差した先は人気のいない城の端っこ。
入り口に金属の柵がはまっている、明らかに下水道のような地下水路だった。
「うん、いいウサだね」
「他のみんなはどうかしら」
と聞いてきたが、臭そうだし正直入るのは嫌だ。
でもミイナには逆らいたくない。
なので俺は、ここで漢を見せることにした。
「むん。いいですよ」
顔を渋くして、余裕のある大人のように答える。
Tara chanの体と声のまま。
「私も賛成です」
「いいよお姉ちゃん」
「ありがとう、じゃああそこから城の中に潜入しましょう」
こうして俺たちは、地下水路から城に潜入することにした。
やっぱりベタだけど潜入するなら地下水路一択だよな。
一番の問題はどうやって鉄の柵を開けるかだったが、リンリンの力によって簡単に開けたので問題なかった。
ラーメンが食べたくなる寒さ。
なのできっと明日はラーメン食べてます^o^




