第七十一話 天使とは違うDMという新たな境地*・'(*゜▽゜*)'・*
10分後。
土下座状態の俺に、セイントちゃんが腕を組みながらう◯こを見るような冷たい目で超上から見下げてきた。
「お前『ドラゴン王国』に着くまで二度と喋るなウサ」
「ははあ」
「だから喋るなウサ!」
「了解であります」
「あ〜〜〜もうっ!」
げしげしげし!
イライラを隠さず、何度も何度も頭を踏み潰すセイントちゃん。
その威力はさっきまでとは違い、踏むたびに強くなっていき、下手すると骨まで折れそうな勢いでかなり痛いが、なんだろうこの心の奥底から気持ちいいと思える新たな感覚は。美少女に踏まれているおかげか、俺(自称)ドSなはずなのに脳内で痛みがどんどん快感に変換されていくぅぅぅぅ〜〜!
「ああああああぎもぢいいいいいいいいいい!!」
「わ、なんだウサ!」
犬のようにひとしきり叫んで、またすぐ土下座に戻る。
「まさかこれが【DM(ドM)状態】なのか」
セイントちゃんによって新たな境地に達した俺は、気がつけば「へっへっへ」と口を大きく開けながらセイントちゃんへとお尻ふりふりしていた。
「思う存分俺を踏んづけてくれセイントちゃん。
さあさあさあさあさあさあさあさあさあさあ!」
今の俺に痛みなどない、快感だけだ!
俺の超進化ぶりに、セイントちゃんは青い顔でドン引きしていた。
「こいつ、ますます気持ち悪くなったウサ」
と、汚物から足を引っ込めるような動作で俺から離れようとするセイントちゃん。
「何でだよおおおおおおおおっ!!」
「うわっ」
駄々をこねる子供のように、セイントちゃんの御御足へとアメフト選手もびっくりな動きで抱きついた。
「離れないでくれ、もっと俺を蔑んで、虫ケラのように踏んづけてくれえええええええええ!」
「ぎゃーーー! キモいキモいキモい! 僕から離れるウサ!」
セイントちゃんは拳をグーにして、バーサーカーのようにボコボコボコボコ殴ってきた。
痛い、気持ちいい、痛気持ちいいいいいい!
「でも」
威力と蔑む視線がまだ足りない。やっぱり拳じゃダメだ!
俺は再びMay chanになって駄々をこねる。
「拳じゃやだもん、セイントちゃんが俺を踏んづけてくれるまで絶対絶対この手を離さないもん!」
「ひぃぃ離れろウサ!」
「やだもん!」
「お前が足を掴んでいるから踏めないウサよ!」
……そうだった。
ごめんねセイントちゃん。ぴえんぴえん。アセアセ。
「今離してあげるねー、トト◯」
「ト◯ロって誰ウサ!?」
ツッコミを無視して、嫌がる(多分照れ隠ししている)セイントちゃんのすべすべな足から、May chanのまま優し〜く手を離す。
だがここでMay chanは終了するぜ。
ここからは先はずっと俺のターンだ!
「くくく、これでセイントちゃんが俺を踏んづけてくれるぜ」
と、ウキウキドキドキしながら土下座して待つこと2秒。
「脱出ウサ!」
兎のように席からぴょんとジャンプするセイントちゃん。
そして、自然な動作でミイナ達のいる席に座るセイントちゃん。
「は?」
俺の脳は一瞬フリーズした。
なんで、どうして俺から逃げるんだセイントちゃん……。
深い深い海のような悲しみに沈んだ俺は、席を立ってセイントちゃんをロックオンしながら、両手を広げてハグするポーズのまま迫る。
「セイントちゃんどうして俺から逃げるのおおおお!」
「ひぃ!」
俺と目が合っただけで青い顔になるセイントちゃん。
そんな彼女の前に、こめかみに怒りマークの浮かんだミイナが、拳を震わせて立ちはだかる。
「アンタがしつこいからでしょうが!!」
ゲンコツ!! ゲンコツ!!
「がはっ……」
雷神の一撃のような、重くてビリビリとした衝撃が、二連続で俺の全身を駆け巡る。
ミイナのゲンコツは、セイントちゃんの踏みつけとは違って気持ちいいものではなく、ちゃんとした痛みとして俺の体や心に届いた。
そろそろ本格的に寒くなってきたので、こたつにくるまってみかんかおでん食べたい(o^^o)




