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異世界徒然行脚 『Isekai Walking~nothing else to do~』  作者: 雨男
ネクロマンサーと城塞都市カーレ 4
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ゴブリンの巣穴 8


 一方、幸太郎たちは罠を出来る限り解除、



面倒なものは回避しつつ、



一応安全な道を作りながら進んでいた。



鎌、そして『サイコソード』だ。面白い程パカパカ切れる。





「どうかな? もうちょっと離れた方がいい?」





「もう少し離れた方がいいと思います。さっきまで、


ギリギリ声が聞こえていました」





「でも、視界の方はオーケーだよ。もう木々や草に


阻まれてエーリッタたち、クラリッサたちは全く見えないね」





「よし、ではもうちょっと進んだら『夜魔の指輪』をつける。


そして『黒フードのネクロマンサー』出撃だ」





幸太郎たちは、さらに進む。そして、ルークたちに絶対に



バレない距離まで進んだ所で、幸太郎は別の服と靴に着替え、



仮面と黒フードを装着。





「まずはゴーストに『インビジブル』をかけて・・・」





10体のゴーストに『インビジブル』をかけて見えなくする。



そして森の奥へ飛ばす。ゴーストには



『ゴブリンを見つけたら戻れ』と命じた。



扇状に飛ばしたゴーストのどこが最初に戻るかで、巣穴の場所がわかる。



ゴーストは半実体だから、罠にはかからない。素通りだ。





しかし、幸太郎の計算とは違う結果で巣穴の位置は判明した。





「犬の吠える声がします! 透明ゴーストに反応している模様!」





モコの鋭い報告。



そして、同時に前任者7人が全滅した理由もわかった。





「そうか、ゴブリンは野犬を飼いならしていたのか・・・」





「『ゴブリンライダー』って言われる奴らだよ。


飼いならした野犬の背中にしがみついて高速移動するんだ」





「ご主人様の言ってた『高確率でゴブリンに見つかる罠』の


正体って番犬のことだったんですね。


確かに姿を隠していても、臭いでバレるでしょう。


でも見えないゴーストにも


反応するとは思いませんでした。厄介ですね」





「そして犬が相手なら、冒険者が頑張って逃げても、


いずれ追いつかれるはずだ。


足も速いし、匂いで追跡もしてくる。


その上、さらに罠・・・。前任者7人が全滅するのも当然か」





そんなことを話していると、左斜め前方から



ゴーストが最初に戻ってきた。



モコもその方向で間違いないと保証する。





「左斜め前、距離は・・・およそ2キロ・・・いえ2・4キロくらい。


犬の正確な数は不明。少なくとも4匹以上です」





「はぁ・・・相変わらずモコの聴力はすごいね~。


こんな森の中で聞き取りにくいのに、


そこまで正確に音を拾えるんだもん。


つくづく味方で良かったって思うよ」





エンリイが感心する。





「大したことじゃないわよ。あんな大声でバカみたいに


吠えるからよ」





モコはしれっと言った。だが、森の木々や草が音を吸収し、



葉擦れやざわめきが犬の声を上書きする。



こんな状況で聞こえる方がおかしいのだ。



実際、幸太郎とエンリイには、さっぱり聞こえない。





「全然、俺たちには聞こえないんだけどな。はははは。


しかし、さすがだよ、モコ。


これで位置はわかった。


相手の手の内も一部が判明。


では・・・あとは物量で押しつぶすとしようか。


エンリイも『如意棒』を準備してくれ」





「りょーかいっ」





エンリイが『如意棒』をホルダーから取り出す。



モコも『サイコソード』を持っている。



そして幸太郎は50体のゾンビを召喚した。





ゾンビを呼び出すのに1体5ポイントのMPを使用する。



50体なら合計250ポイント。



しかし、現在の幸太郎のMPは最大202ポイント。



『夜魔の指輪』を装着すれば、



MAXで404ポイントまで上昇する。



50体ものゾンビを召喚して、まだブラッドリーが呼べるのだ。





進軍開始。まずは巣穴の入り口までだ。





幸太郎がビックリしたのは、ゾンビが『走りだした』ことだ。



幸太郎のネクロマンサーとしてのレベルが



100を越えたせいだろうか? 



もはや、最初のころの『ウスノロ』の印象はどこにもない。





(げぇーーー!! 『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』から


『28日後』にバージョンアップしてやがる!!)





「ご、ご主人様!? ゾンビが、ゾンビが走ってますよ!?」





「初めてみるよ! なんか元気いっぱい!


幸太郎サン、なんで!?」





「いや、俺にもわかんないよ。どうもネクロマンサーとしての


レベルが100を越えたからじゃないかな?


俺は自力でネクロマンサーになったわけじゃないから、


仕組みは全然想像もつかない・・・」





幸太郎たちの漫才はともかく、恐ろしい光景だ。



50体のゾンビが罠も何も関係なく、巣穴の方向目指して、



突撃してゆくのである。





もちろん、途中で罠にかかるゾンビもいるが、



そもそも死んでるゾンビに大したダメージは無い。



オマケにパワーも上がっていた。上から降ってきた岩を



片手で受け止め、放り捨てる。



全く足止めにならないのだ。





「っと、こりゃいかんな。こっちが置いて行かれる。


俺たちも進もう。とにかく、


ゴブリンのボスは絶対に今日、殺す。


このまま巣穴へ入り、逃げる暇を与えない。


いくぞ、モコ、エンリイ」





「了解です!」





「おっけー、行こうよ!」








幸太郎たちは、普通に道を走り出した。



罠は全てゾンビたちが壊していった後だ。





幸太郎とエンリイにも犬の吠える声が聞こえてきた。



しかし、すぐに消えた。



どうやらゾンビの軍団とぶつかったらしい。





「犬の悲鳴が聞こえました。犬は全滅したようです」





モコが短く報告を入れる。





幸太郎たちがさらに進むと、少し開けた場所に、



大きな岩が見えた。その周辺にゴブリンと犬の死体が



転がっている。ここが巣穴で間違いないだろう。





「この大岩の左側に空気の通る音が聞こえます。


洞穴が下方向へ広がっている模様」





「ゴブリンは外の騒ぎで敵の存在に気が付いているはずだ。


小細工はいらん。押しつぶす」





幸太郎、モコ、エンリイ、そして50体のゾンビ軍団。



洞穴からぞろぞろとゴブリンが現れたが、ゾンビ軍団が圧殺する。



ゾンビは明らかに強くなっていた。スピードが段違いだ。



パワーも以前と違う。ゴブリンを片手で振り回すゾンビもいた。





巣穴の入り口に到着。もうゴブリンは迎撃に出てこないようだ。



巣穴の中で罠にかけようというのだろう。



しかし・・・幸太郎にそれは通じないのだ。





幸太郎は暗い洞穴の中に、次々に『陽光』を設置していく。



暗くて視にくい洞穴の中が真昼のように明るくなった。



隅々までハッキリ見える。



岩陰に隠れていたゴブリンも、



天井付近で待っているゴブリンも、



横道でナイフを構えているゴブリンも、



全て『丸見え』である。



そしてゾンビの軍団が次々に襲い掛かった。





「さて、まずは出入り口以外の『脱出口』を探さないと」





幸太郎は『この先』のために、どうしても、それが必要なのだ。






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