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異世界徒然行脚 『Isekai Walking~nothing else to do~』  作者: 雨男
ネクロマンサーと城塞都市カーレ 4
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レベルが上がってる


 ファルが『ファルネーゼ』に戻り、ハッチも閉じた。



これで干物工場に残っているのは幸太郎たちとガーラだけ。





「幸太郎さんたちは、どうしますか? ユタで一泊してから帰りますか?」





ガーラが微笑んで質問する。



しかし、幸太郎は真っ直ぐカーレに帰ることにした。





「まだ日もありますし、私たちはカーレに戻ります。


今なら、閉門まで充分時間がありますから。


ジャンジャックやグレゴリオ殿も仕事で忙しいかもしれません。


また機会を見て、ゆっくり話す事にします」





幸太郎たちはギブルスの干物工場を出て、カーレへの帰路についた。



ガーラは器用に馬に乗ると、もう一頭の手綱を取り、



フラーノ・ファーム方向へと走ってゆく。








カーレへの道すがら、幸太郎はモコとエンリイに



『レベルアップ』を伝えた。



何故、レベルが上がったのかは、全然わからない。



子供たちの亡霊に訴えかけたことがレベルアップに繋がったのか。



魂を成仏させたことに起因しているのか、



はたまた魂が壊れかけたのをムラサキに治してもらったのが



結果として現れたのか。



あるいは全部か。





だが、ゲームの世界ならともかく、現実世界でレベルアップの



理由を探すのは大して意味が無い。



『同じ経験を何度もやったら、全く同じ経験値が何度も入る』



なんてことは無いだろう。



幸太郎と全く同じことをやって



他の誰かが成長するかも不明だ。



同じ事をやって、同じように成長するのはゲームの中だけである。



それに『もう一回やれ』と言われても、



幸太郎はコリゴリだ。魂に亀裂が入るという激痛は、



どんな理由があっても、もう二度と味わいたくなかった。





「今回はね、HPは変わっていないんだ。11のまま。


俺の最大MPは162から202へと大幅に上昇。


そしてネクロマンサーとしてのレベルが51から、


なんと108になってる。すごいな、これ。


100を越えてるよ、倍以上だ」





まあ、レベルが上がったからと言って、



何ができるようになったのかは、よくわからないが、



MPの上限が上がっているのは素直にうれしい。





「すごいですね、ご主人様・・・。


ゴースト、ゾンビ、スケルトンで軍団が作れますよ」





「なんか幸太郎サン自身が『冥界門』みたいになってきたね」





「まあ、また色々検証してみよう。


で、モコとエンリイも上がってる。


モコのレベルも66。HPは59のまま。


でもMPは93と一気に急上昇。


『サイコソード』が6回撃てるな。


エンリイも上がってる。レベルは85。HPは68で変化なし。


でもMPは96だ。『如意棒』は4回撃てる。


もうちょっとで5回に手が届くほどの上昇だ。


なんか、ものすごい大幅な強化だ。


2人とも、B級冒険者って言っても通りそうな気がする」





「これって、ムラサキ様のお力が影響してると思います」





「ファルネーゼ様はどうだったの? 


『パーティー登録』してたんでしょ?」





「お察しの通り。実はこっそりしてたんだ。


何しろ、登録された本人は一切、何の苦労も無しに強くなれるという、


完全なチート能力だからね。やっておいて損は無い。


最初、ファルネーゼ様のジョブは『領主』と


表示されてたんだけど、今日は『影使い』になってた。


それでさっきチラッとステータスを見たら、


レベルが一気に47まで急上昇してたよ。


多分、その『ブラック・ジェミニ』ってスキルは


実戦で使える所まで強くなってると思う。


・・・まあ、領主に役に立つ能力じゃないとは思うけど・・・」





「次は役に立つでしょう!」





「そうそう、『今度』はね!」





「そ、そうかな? うん、そうだな・・・」





幸太郎の思ってる『今度』と、モコとエンリイが考えている



『今度』は内容が違う。








そんなことを話していると、カーレの門が見えてきた。



ユタとカーレは、本当に近い。もう夕日の時間だが、



余裕でカーレに入れる。








カーレに戻ってきた。幸太郎たちは、まず冒険者ギルドに



顔を出すことにした。



冒険者は、日雇い労働者みたいなもの。



いちいち報告する義務は無い。



しかし、『一応マナーかな』と幸太郎は思っている。



その後食事だ。





ところが、幸太郎たちがギルドの建物に入ると、



逆にカウンターの方から大声で呼ばれた。





「あーーーっ!! いい所に! 幸太郎さん、合同チームに


参加して下さーーーい!!」





いきなり事情もわからず『参加しろ』と言われて



幸太郎は面食らった。



いや、モコとエンリイも目をパチクリさせている。



幸太郎たちは、とりあえずカウンターのルイーズから



説明を聞くことにした。





「えーっと、まずは、今、ユタから帰ってきました。


はい、大丈夫です。


それで・・・『参加しろ』とは、いったい何のことでしょう?」





「はい! ゴブリンの巣穴を探す、調査チームに参加を


お願いしたいのです」





「『ゴブリンの巣穴』・・・? 私たちが持ち帰った


ゴブリンの耳の続きの話ですね?」





「その通りです。幸太郎さんたちがE級に昇格した日に、


商人ギルドと、町の警備隊からゴブリンについて調査の依頼が


入りました。翌日、早速調査チームが編成され、


ビエイ・ファームの東から南東方向を中心に探索するはず


だったの・・・ですが・・・」





「『ですが』って、もしかして・・・」





「はい、今日になっても、未だに誰1人帰ってきません。


先程、上層部は『任務失敗』と判断しました。


今、急遽、新たなチーム編成を行っている所だったのです」





「ねえ、その帰って来ないチームは、どんな人たちだったんだい?」





エンリイが質問した。さすがはC級。『失敗した理由』を



推測したいのだろう。





「D級の3人組パーティーと、同じくD級の4人組パーティーの


合同チームでした。全員男で、基本的には、どちらのパーティーも


斥候1人とアタッカーという編成です。『マジックボックス』持ちは


いません。ですから、基本的には『日帰り』を想定していたのです」





「強い?」





「どちらのパーティーも、かなりの腕自慢です。


ゴブリンに負けるとは思えません。最低でも敵にホブゴブリンか、


ゴブリンウォリアーがいると考えられます」





(基本的には両方とも同じ性格のパーティーか・・・)





幸太郎はぼんやりと、そんな事を思った。



エンリイの質問は続く。





「調査目的は?」





「『巣穴』の発見でした。決して巣穴の攻略ではありません。


『巣穴』を発見して、情報を持ち帰る。これだけです」





「ふ~ん、でも、7人、全員未だに帰ってこない、か・・・」





「ギルドでは全滅したと判断しています。欲を出して


『巣穴』に少し入ってみようと考えたのではないかと」





「うーん・・・。どうする? 幸太郎サン。ボクの感触だと、


かなりヤバめの案件って気がするよ?」





幸太郎は、少し首をひねって思案顔をした。





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