アッチョンブリケ
幸太郎は剣を受け取ると、お頭のそばに置いた。
幸太郎は再び交信するふりをする。
「寿限無、寿限無、ゴコウノスリキレ・・・」
幸太郎は『寿限無』を高速で唱えた。
そして再び首を振った。
「おい、なんか今『パイポ、パイポ』とか聞こえたけどよ・・・」
「ああ、今のは魔力で圧縮した高速言語を使用したので、
そのように聞こえるだけです。
三次元力学定理におけるシュバルツシルト半径内での事象発生確率は、
ナメクジと塩化ナトリウムの相関関係を経て、
虚数の人類補完計画をアッチョンブリケし、イデの発動に至るという・・・」
「も、もういい、もういい。何言ってるのか、わかんねえよ・・・」俺もだ
「ここからが盛り上がる所なのですが・・・。まあそれは置いときましょう
結果を申しますと、お頭の魂はすでにファントム化を始めています。
まずいですね。もう仇を討ったことも受け付けません。怒りと憎しみが
魂を蝕み始めているのです」
「じゃ、じゃあお頭は・・・?」
「おそらく数日以内にファントムまたはレイスとして魔物になると思いますね。
そうなったら、もう、あなた達でも見境なく襲うでしょう」
「なんてこった・・・お頭・・・」
「ネクロマンサーの私がこんなことを言うのもなんですが・・・
魔物になってしまう前に、早く冥界へ戻してあげるのが良いでしょう。
それが、お頭へしてあげることのできる、唯一の恩返しでしょうね」
(C)雨男 2021/11/08 ALL RIGHTS RESERVED




