条件は満たした
「おい、仲間の魂は確かに成仏させてくれんだろーな?」
「もちろんですよ。魂を強制的に成仏させる魔法は
ネクロマンサーのもっとも基本的な魔法です」
「うーん・・・。まあ、仲間の魂さえ目の前で成仏させてくれるんなら
死体は譲ってもいいかって話になった。ただし! 一つ条件がある」
「なんですか? 生き返らせることは不可能ですよ?」
「そんな無茶なことは言わねえよ・・・。
実はさっきの戦いの中でお頭が死んじまったんだよ。
そこでお頭と話がしてえんだ。お頭しか知らないこととかあるし、
今後どうするべきか、とかな。
お前、ネクロマンサーなら死者と交信できるんだろ?」
「なるほど。了解です。お安い御用ですよ。
・・・ん?・・・後ろの檻は・・・?」
幸太郎はゆっくり檻のほうへ歩きだした。ここは賭けだ。
「おう、この娘は人狩りのさらってきた獲物のようだ。
今は俺たちの戦利品だぜ。こいつはやらねえぞ?」
幸太郎はゆっくり檻へ歩いて近づくと、檻のまえでしゃがんだ。
「ははは、いりまんよ。先ほども言いましたが
生きてる者には用はありません。
・・・ほう? なかなか可愛い顔をしている。
これは高く売れるでしょう」
必要条件の残り2つを満たした。あとは盗賊をコントロールするだけだ。
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